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O.S.WEB MAGAZINE Vol.64

2024 Mach.

O.S.の歴史に燦然と輝く 空もの名エンジンコレクション

1936年にO.S.最初の模型用エンジン「OS TYPE-1 PIXIE」が発売されてから、はや88年。O.S.はその間に数々の画期的な模型用エンジンを世に送り出してきました。今回はそんな中から、O.S.Webマガジン編集部が独断でピックアップした12のエンジンを紹介していきたいと思います。
思い出の名エンジン①:ROTARY I-49(1970年発売)

やはりこの世界初の量産模型用飛行機用ロータリーエンジンは外すわけにはいきません。 1967年ドイツ(当時西ドイツ)のO.S.エンジン代理店であるグラウプナー社より依頼を受け、基礎設計の後、レシプロエンジンの製造設備には無かった平面研削盤やOS独自開発のトロコイド研削盤など生産設備も揃え、試行錯誤を繰り返して量産タイプを決定。1969年グラウプナー社への輸出から始まり1970年国内向けに発売を開始しました。ロータリーエンジンを製作販売するにはNSUとバンケル社が共同で所有している特許権についての契約が必要でしたが契約は同じ国のグラウプナー社が行いO.S.は製造を行うことで同意、そのためバックプレート部にはO.S.のロゴではなくグラウプナーロゴが刻印されています。

思い出の名エンジン②:FS-60(1976年発売)


O.S.4サイクルエンジンの歴史はこのエンジンから始まりました。現在も続くO.S.4サイクルの基礎となったという点で見逃せないエンジンです。4サイクルエンジンはそれまでは手作り感のある製品は世に出ていたのですが、このような完成度の高い量産型4サイクルエンジンは恐らく初めてで、非常に人気の高かったエンジンです。 人気が出た理由は、まずは4サイクルエンジンながら誰でも簡単に扱えたことでしょう。O.S.の製品開発の原点には「誰でも簡単に使うことができる製品の開発」がありますが、まさにそれを具現化したエンジンだと思います。また、4サイクル独特のサウンドが、特にスケール機マニアを中心に支持を集めたようです。当時の2サイクルエンジンは機体ありきで、エンジンを機体に合わせて開発していましたが、この「FS-60」に関してはエンジンありきで、後からモデラーたちが機体を作ってくるという、当時では非常に珍しいパターンでした。 現在の模型飛行機用4サイクルエンジンの基本となった「FS-60」はO.S.の歴史になくてはならない名エンジンです。

思い出の名エンジン③:MAX-40FSR(1975年発売)

このエンジンは40クラスのシニューレ掃気エンジンで、従来の40クラスエンジンと比較してまったくパワーが違ったことで非常に人気がありました。今まで40クラスのエンジンで飛ばせなかった機体が簡単に飛ばせるようになった画期的なエンジンです。 当時のスケール機は飛ぶようにするためにデフォルメしたりしていましたが、それが必要なくなったことでユーザーから大きな支持を集めました。このあたりでシリンダーやピストンなどの材質も一気に良いものになり、耐久性も良くなり、現在のモダンエンジンの基本ができました。これはいくら出荷してもすぐに注文が来てしまうほどの人気ぶりで、後から出した「MAX-25FSR」「MAX-10FSR」と合わせてどれだけ出荷したのか分からないほどです(笑) 当時は2サイクルのシニューレ掃気のエンジンは外国製しかなく、しかもあまり品質が良いものではありませんでした。そこでOSで開発して発売したのですが、自分の好きな機体を、自分がやりたいように飛ばすことができるようになったということでは、これも模型用エンジンのひとつのターニングポイントにある製品かもしれませんね。

思い出の名エンジン④:FT-120 Gemini(1979年発売)

この水平対向2気筒エンジンは「FS-60」が2気筒になったもので、メカニカルな部分とサウンドで人気を博しました。そしてO.S.ではこの頃からエンジンの外観のスケール感というものも特に意識するようになりました。スケールモデラーからすると、サウンドも見た目もスケール感溢れるエンジンがカウルの中に収めることができるということがとても良かったようです。 水平対向2気筒エンジンというのはガソリンエンジンですとだいぶ昔からあったようなのですが、グローエンジンで量産型というのはなく、スケールモデラーに絶大な人気がありました。見て頂くと分かるのですが、このエンジンにはマフラーがありません。バルブのタイミングがおとなしいのでマフラーなしでも充分にサウンドを楽しむことができ、逆に音がダイレクトに出てくるので非常に良いサウンドに仕上がっているエンジンです。

思い出の名エンジン⑤:MAX-28F-H(1982年発売)

1970年代は、ラジコンヘリには「MAX-25FSR」にヒートシンクを付けて飛ばしていたのですが、この「MAX-28F-H」が出たことで25クラスのヘリがようやくまともに飛ぶようになりました。ちょうどHIROBOのシャトルが出始めた頃になります。 このエンジンが出た頃はまだジャイロがなく、送信機側でラダーミキシングで飛ばしていた時代です。ヘリの入門者はそれまで「MAX-25FSR」に外付けヒートシンクを付けたもので飛ばしていたのですが、それに代わって多くのユーザーがこのエンジンで入門するようになりました。恐らくO.S.の中で、ひとつのエンジンとして一番年間の生産量が多かったエンジンのひとつです。このエンジンが元となって、現在の「MAX-32SX-H RING」や「MAX-37SZ-H」につながっていくことになります。

思い出の名エンジン⑥:MAX-61VF ABC GS A-1(1982年発売)

このエンジンは、当時FAIが模型飛行機の上限として定めていた10cc(60クラス)までの排気量の中で、より大きな機体を飛ばすために開発されたエンジンです。排気量は60クラスのままで、より大きなプロペラを回すためにエンジンにギヤダウンユニットを内蔵したという変わり種のエンジンです。エンジンとギヤボックスが一体となっており、スケール機などによく搭載されたエンジンになります。マーケットの変化を捉えながら、新しいアイデアを盛り込んでいくO.S.の考え方をまさに形にしたようなエンジンです。

思い出の名エンジン⑦:MAX-61RF ABC HANNO SPECIAL(1989年発売)

このエンジンは、当時の名フライヤーであるハンノ・プレトナー氏がF3A世界選手権で優勝したことを祝して製造されたモデルです。プレトナー氏は以前から競技会でO.S.エンジンを使用して、「MAX-60FSR」を搭載して1977年に初めてF3A世界選手権を制しています。この優勝がO.S.エンジンとしても初の世界選手権制覇でした。そのプレトナー氏からのリクエストを取り入れたチャンピオンモデルとしてリリースしたのが、この「MAX-61RF ABC HANNO SPECIAL」になります。当時は海外の多くのフライヤーからもさまざまな要望が来ていて、そのリクエストに応えるべく、懸命に開発しました。

思い出の名エンジン⑧:MAX-61SX-H RING(1992年発売)

当時のエンジンヘリは30クラスか60クラスしかありませんでしたので、60クラスはフライヤーにとって憧れのエンジンでした。それまでO.S.では飛行機用エンジンを開発し、それを転用してヘリ用エンジンにしていたのですが、このエンジンは初めてヘリ専用設計のエンジンとして誕生しました。このエンジンは、当時O.S.が目指していたF3Cの世界選手権制覇を念頭に置いたエンジンです。一般フライヤーの要求するレベルではなく、やはり世界選手権で優勝することを目標にすると、エンジン開発のレベルが飛躍的に高くなることを実感しました。最終的には橋本学選手がこのエンジンを搭載してF3C世界選手権を制覇し、念願が叶ったという意味で、やはり歴史に残るエンジンです。

思い出の名エンジン⑨:MAX-91SZ-H RING(2005年発売)

2003年に石川県の能登で開催されたF3C世界選手権で使用した「MAX-91SX-H RING C-spec」は小林稔選手と一緒に闘って3位表彰台を獲得したのですが、さらに勝てるエンジンの開発を進め、できあがったのがこの「MAX-91SZ-H RING」です。 このエンジンのデビュー戦が2005年にスペインで開催されたF3C世界選手権だったのですが、この大会で「MAX-91SZ-H RING」を使用した伊藤寛規選手が初めて優勝しました。このエンジンは回転数が低いところでトルクが出るような性能を追求したのですが、これがスペインの空気ともピッタリと合い、見事に表彰台を独占することができました。

思い出の名エンジン⑩:MAX-140RX FI(1999年発売)

ヘリ用エンジンを開発していくのと並行し、新しい試みとして、電子燃料供給システム(EFI)を搭載したF3A競技用エンジンも開発していました。このエンジンはFutaba(インジェクターシステム)とO.S.(エンジン)で共同開発した、センサーがエンジンの回転数を読み取ってその回転に必要な燃料供給量を計算してインジェクターから噴射するというエンジンなのですが、連日Futabaの開発陣とテストを繰り返していました。当時はFutabaのTOPフライヤー鈴木貢司さんに何度も飛ばしてもらい、テストにつぐテストを重ねました。F3Aの2サイクル最後の時代のエンジンですが、鈴木貢司さんがアジア・オセアニア選手権で使用して見事優勝しました。

思い出の名エンジン⑪:MAX-91HZ-R(2010年発売)

このエンジンは、ヘリ用エンジンとしてはO.S.で初めて燃料タンクを加圧するタイプのエンジンです。それまでは自然吸気ばかりだったので、レギュレーターの開発をするためにアメリカで、現地の技術者の家に泊まり込んでテストを繰り返した末に完成したエンジンです。60クラスの頃はF3C競技がメインターゲットでしたが、この頃から3Dフライトという新しいフライトスタイルが出てきました。しかし、それまでの自然吸気エンジンでは3Dフライトには対応できませんでした。3Dの激しい姿勢変化に対応するためにはタンクを加圧して、あらゆる姿勢で安定した燃料供給をするしかありません。そこで独自にレギュレーターを開発し、誕生にこぎつけたエンジンとなります。新しい時代の飛ばし方が出て来るとエンジンも進化するのですが、まさにその典型例ではないでしょうか。

思い出の名エンジン⑫:FSα-72 BLACK BEAUTY(2010年発売)


このエンジンは2010年に発売した限定モデルで、ベースは「FSα-72」です。全体がブラックカラーとなっており、ブラックアルマイトのクランクケース6枚のフィンは削り出し仕上げでした。また、各部のHEXボルトにもステンレスのものを使うなど、凝りに凝ったデザインが非常に人気となったエンジンでした。 また、その前の年にやはり限定発売した「FSα-56 Classic」も評判のエンジンでした。「FSα」シリーズがシリンダーヘッドが青だったので、年配の方を中心に落ち着いた色があっても良いかと思いポリッシュのヘッドカバーを採用した「クラシック」として限定販売したものです。


WEBマガジンでは歴代登場したモデルを「歴史を刻んだO.S.ENGINE」として掲載しています 下記のバックNo.から是非ご覧になってください。

BACK No.

  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.01 戦前のO.S.エンジン(1936-1946)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.02 戦後のOSエンジン(1946-1958
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.03 高度経済成長期のエンジン(1959-1967)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.04 高度成長期以降のエンジン(1968-1978)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.05 高度成長期以降のエンジン2(1979-1982)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.06 各分野の競技専用エンジンや入門者用エンジンの充実 前編(1983-1985)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.07 各分野の競技専用エンジンや入門者用エンジンの充実 中編(1986~)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.08 各分野の競技専用エンジンや入門者用エンジンの充実 後編(1987~88)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.09 高性能を追求したエンジンとエントリーユーザー向けエンジンがさらに充実(1989~91)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.10 高性能を追求したエンジンとエントリーユーザー向けエンジンがさらに充実②(1992~95)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.11 高性能を追求したエンジンとエントリーユーザー向けエンジンがさらに充実③(1992~95)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.12 双葉電子工業とのコラボレートにより新世代模型エンジンが登場。(1998~99)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.13 次世代グローエンジンの充実と高性能カー用エンジンの登場。(2000-2001)
  • 歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.14 各カテゴリーの高性能エンジンが次々に登場。(2003-2005)


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