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O.S.WEB MAGAZINE Vol.39

2021 Oct-Nov.

歴史を刻んだO.S.ENGINE Vol.01


O.S.エンジンの歴史を語る上で、全てのルーツ、そして原動力となったのが、創設者である、今は亡き小川重夫の機械工作物と模型への強い憧れとこだわりであったと言えるでしょう。 大正6年、この世に生を受けた小川重夫は幼少のころから機械いじりが好きで、機械工作やその製造方法に関するありとあらゆる知識を身につけていきました。さらに彼は、鉄道などの模型にも非常に大きな興味を持っていたのですが、特に小学校の時に出会った、模型飛行機には強い憧れを持っていました。この出会いが、後の小川精機を世界一の模型エンジンメーカーにまで成長させる原動力となったといっても過言ではありません。 O.S.エンジンの遍歴をO.S.資料室に現存する製品写真とともにご紹介します。  

戦前のO.S.エンジン 1936-1943
No.001

O.S.Type-1 PIXIE

1936(昭和11年)~不明

行程体積 1.665cc ボア12.75mm ストローク13mm 最高回転数:4000r.p.m.  圧縮比4.5 吸気:ピストンバルブ 排気バルブ:後部ループ掃気 重量120g

小川精機が模型用エンジンとして世に送り出した記念すべき第1号エンジン0.S. TYPE-1 PIXIEは アメリカ人バイヤーのポールホートン氏が持ち込んだアメリカ製模型飛行機用小型電着式(スパークイグニッション)ガソリンエンジンを参考にした模型用エンジンを制作したのがO.S.エンジン誕生のきっかけになりました。 創業者である小川重夫がエンジンを徹底的に分析し、その一部を模して、新たな設計のエンジンを製造しました。回転数は約4,000r.p.m.当時はすべて乾電池と感応コイルを積み、燃料もガソリン系統で圧縮比も低く、この程度の回転数が常識でした。ポールホートン氏の依頼から数ヶ月後にはサンプルをはるかに凌ぐ高い精度のエンジンを完成させたのです。昭和11年 約200台のO.S. TYPE-1 PIXIEが日本初の量産模型エンジンとしてアメリカへ輸出されました。

発売当時の取り扱い説明書

No.002

O.S.Type-2 

1937(昭和12年)~不明

行程体積 6.92cc ボア21.0mm ストローク20mm 最高回転数:5000r.p.m. 圧縮比5 吸気バルブ:ロータリーシャフト 排気バルブ:ループ掃気 重量350g
O.S.として製造したタイプ1エンジン・ピキシーを製造する傍ら、彼が考えていたのが、国産初オリジナルエンジンの独自開発でした。そのプランはタイプ1/ピキシーを大きく上回る出力を誇る大型エンジンで、排気量は6.92cc、ピキシーと同じ圧縮比ながら、5000回転まで回るエンジンで、吸気弁がロータリー式にされたところが、新しいアイデアを盛り込んだ最も特徴的な部分でした。こうして誕生したのがタイプ2です。

No.003

O.S.Type-3

 1938(昭和13年~不明)
行程体積 7.45cc ボア20.8mm ストローク21.8mm 最高回転数:5000r.p.m.  圧縮比:5 吸気バルブ:ピストン 排気バルブ:ループ掃気 重量380g

O.S.エンジン最初の完全オリジナル設計といえるものがこのタイプ3です。創業者 小川重夫にとっても、特別な意味をもつエンジンのひとつでした。その後、このTYPE-3をベースに試作モデルながら、水冷エンジン、直列3気筒エンジン、水冷4ストロークエンジンなどのプロトタイプが、なんと今からさかのぼること80年も前のO.S.エンジンの草創記に完成させられていました。こうした事実からも模型エンジンの進むべき方向性と、確かな技術力を明確に持っていたことがうかがい知れます。

MARINE(試作)
 1938(昭和13年) 日本初の模型用多気筒エンジン。一体型シリンダーブロックで中央の冷却がうまく行かなかったようです。
No.004 

0.S. Type-4

1939(昭和14年)
行程体積 4.57cc ボア18.0mm ストローク18.0mm 最高回転数:5000r.p.m. 圧縮比:5 吸気バルブ:ピストン 排気バルブ:ループ掃気 重量197g


No.005

0.S. Type-5

1939(昭和14年)水冷式
行程体積 5.408cc ボア19.0mm ストローク19.2mm 最高回転数:5500r.p.m. 圧縮比:5 吸気バルブ:ロータリーシャフト 排気バルブ:ループ掃気 重量300g
残念ながらこのエンジンはO.S.資料室にも現存していません。

No.006

O.S.Type-6(K6型)

1939(昭和14年) 行程体積 9.35cc ボア23.0mm ストローク22.6mm 最高回転数:6500r.p.m. 圧縮比:5.2 吸気バルブ:ピストン 排気バルブ:ループ掃気 重量300g


初めて鋳造の肉を薄くしてアルミスリーブとヘッドをはめ込むようにして軽量化を実現したモデル。OSエンジンの高性能ぶりがこのモデル以降真価を発揮、海外製にまさる性能が話題になりました。
発売当時のパンフレット
No.007

O.S.Type-7  1940(昭和15年) 行程体積 9.35cc ボア23.0mm ストローク22.6mm 最高回転数:7000r.p.m. 圧縮比:5.2 吸気バルブ:ピストン 排気バルブ:ループ掃気 重量320g No.008

O.S.Type-8  1942(昭和17年)

行程体積 9.498cc ボア23.0mm ストローク23.0mm 最高回転数:7000r.p.m. 圧縮比:6 吸気バルブ:ピストン又はリード 排気バルブ:ループ掃気 重量320g
発売当時の部品表
No.009

O.S.Type-9

 1943(昭和18年)
行程体積 9.498cc ボア23.0mm ストローク23.0mm 最高回転数:8000r.p.m. 圧縮比:6 吸気バルブ:ロータリーディスク又はリード 排気バルブ:旋回排気 重量325g 販売好調の波にのり1941年の12月10日に小川製作所から会社組織に変更。小川精機株式会社として創設されることとなったのです。  しかし、そのわずか2日前、真珠湾攻撃により日本は太平洋戦争に突入しました。模型飛行機は航空産業の礎となるとして文部省により奨励されましたが、それもつかの間。戦争の暗雲はO.S.の前途にも立ちこめてきました。O.S.エンジンはTYPE-6を地道に改良し、TYPE-7、8、9と着実な進歩の道を歩んでいきましたが、1943年の9月には小川重夫も出征。本土空襲が始まるころになると、模型用エンジン製造はストップをかけられ、軍需産業に駆り立てられました。
次回へ続く

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