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ホーム  O.S.WEB MAGZINE Vol.57 エンジンヘリのメンテナンスとエンジン始動のトラブルシューティング!

O.S.WEB MAGAZINE Vol.57

2023 May.-June

エンジンヘリのメンテナンスとエンジン始動のトラブルシューティング!

心地よいエンジンサウンドと、調整の面白さが魅力のエンジンヘリ。ラジコンヘリの主流が電動機になった今でもエンジンヘリは高い人気を誇り、フライヤーからも熱い支持を集めています。 今回はそんなエンジンヘリの心臓ともいうべきヘリ用エンジンのメンテナンスと、エンジン始動時のトラブルシューティングについて紹介していきたいと思います。

①ヘリ用エンジンのメンテナンスについて

小型の内燃機関である模型用エンジンは、飛行中大きな負荷がかかっており、外観に変化がなくても、内部ではさまざまな問題が発生していることがあります。 エンジンの上空でのトラブルは即墜落につながることもあるため、飛行後のメンテナンスと、定期的なオーバーホールは必須です。逆にこれらをしっかりとおこなうことで、エンジンは長い期間、その性能をフルに発揮してしてくれることでしょう。 ここでは、O.S.のヘリ用2サイクルグローエンジン「MAX-32SX-H 」をモデルとして、ヘリ用エンジンを分解し、オーバーホールをしていく過程を紹介したいと思います。なお、エンジンの分解は自己責任でおこなうようにしてください。


飛行中のエンジンヘリ。その中でエンジンは大きな負荷がかかっており、定期的なメンテナンスをおこなう必要があります。

早速、エンジンを分解していきます。まず、プラグレンチを使ってプラグを取ります。

次にキャブレターを外していきます。

エンジン本体からキャブレターを外しました。

続いてシリンダーヘッドを外していきます。

本体からシリンダーヘッドが外れました。

続いてカバープレートを外します。

本体からカバープレートが外れました。

次に、ナイロン製の柔らかい素材でできた棒でシリンダーライナーを押し上げ取り外します。

続いてピストンとコンロッドを外します。

さらにクランクシャフトからプロペラナットやスラストワッシャーを外します。

ナイロンハンマーを使ってクランクシャフトを外します。

本体からクランクシャフトが外れました。

見事に分解された「MAX-32SX-H 」。ここから各部を磨いてメンテナンスしていきます。

金属部分は軽油で磨きます。ただし、0リングがある部品とキャブレターは軽油に浸けないようにしてください。

エンジンの各部を触って、動きにガタがないか確認しながら組み立てていきます。先に防錆材を注入しておき、クランクシャフトを差し込みます。

続いてプロペラナットやスラストワッシャーを取り付けます。

ここにも防錆材を注入してからピストンとコンロッドを差し込みます。

ピストンとコンロッドが取り付きました。

シリンダーライナーは必ず下死点で入れていきます。

シリンダーライナー周りにも防錆剤を注入しておきましょう。

続いてバックプレートを取り付けるのですが、その前にコンロッドやピストン周りにも充分に防錆剤を注入しておきましょう。

次にバックプレートを取り付けます。

続いてシリンダーヘッドを取り付けます。

キャブレターが軽く動くか確認しておき、動きにガタがあるようなら交換が必要です。


キャブレターを取り付ける際は、Oリングが浮いた状態にならないようにするため、しっかりと押さえつけながら取り付けます。Oリングが浮いているとニードル以外から外気が入ってしまい、エンジンがオーバーヒートしてしまいます。

最後にプラグを取り付けて、エンジンのオーバーホールは終了です。
②エンジンがかからない時の原因
小型の内燃機関である模型用エンジンは、飛行中大きな負荷がかかっており、外観に変化がなくても、内部ではさまざまな問題が発生していることがあります。 続いて、エンジン始動の際のトラブルシューティングを紹介していきたいと思います。しっかりメンテナンスしているエンジンでも、なぜか現地でエンジンが点火しない場合があります。その際は、これから紹介する原因を潰していくことで、最終的に始動するはずです。
原因①:プラグヒートされていない
プラグヒートが原因でエンジンがかからないケースはよくあります。プラグがしっかりと赤熱しているか確認しましょう。
原因②:プラグの交換が必要な場合
これは原因1と似ていますが、逆にプラグ自体が断線しており、エンジンがかからない場合もあります。通電時にコイルが断線していることで、適切にプラグヒートができずエンジンが始動しない場合は、プラグを交換するしかありません。断線しているかどうかは目視で確認できるので、エンジンが掛からない場合はプラグを疑ってみるのもいいだろう。

プラグは消耗品のため、使っているとどうしてもコイルが断線して赤熱しなくなってしまいます。こういった場合は交換が必要です。
原因③:燃料がエンジンにいっていない
グロー燃料をタンクに入れたあと、エンジンスターターで何度かエンジンを回し、燃料をエンジンに呼び込んでからプラグヒートをしてエンジンをスタートします。しかし、何らかの原因でエンジンに燃料が届いていないとエンジンはかかりません。原因として、燃料パイプをクリップ等で塞いだままだったり、燃料パイプのフィルターがゴミなどで詰まっていて充分に燃料が届いていない、といった原因が考えられます。まずは燃料パイプの配管をもう一度確認してみてください。

燃料がエンジンまで届いておらず始動しないことを良く見かけます。配管周りをチェックしてみてください。
原因④:ニードルが全閉になっている
エンジンのニードルが全閉になっていると混合気が作れず、エンジンは始動しません。O.S.のエンジンは出荷時にニードルが全閉になっていますので、エンジン始動前にニードルを適切な量だけ開くのを忘れないようにしてください。

エンジンのニードルが閉まっているとエンジンはかかりません。始動時に開けるようにしましょう。
原因⑤:クランクシャフトが回転しない。
久々に使うエンジンなどは保管状態によっては中で燃料が固着するなどして、エンジンそのものが回らないことがあります。こうなってしまったらエンジンは決してかかりませんので、エンジンを分解して各部に油を挿しながらメンテナンスするか、O.S.にお送りいただければ有償で修理をおこないます。なお、エンジンを分解する際は自己責任でお願いします。

エンジン内部には定期的に防錆剤を塗布するなど、メンテナンスが必要となります。O.S.でも有償となりますが修理を受け付けておりますのでお問い合わせください。
原因⑥:スターターのパワー不足
エンジンスターターのパワーが足りず、エンジンを回しきれない場合があります。プロポや受信機のバッテリーの充電は普段から気にするが、スターターは意外と忘れがちです。万が一、どうにもならない場合、可能性として手でスターターを正転方向に回して、エンジンの圧を感じる上死点で回すことでスターターにパワーがなくても始動できることがあります。しかし、普段からエンジンスターターの整備もしておくことが大切です。

飛行場に着いてからスターターのバッテリーがないことに気づく人も多いです。前夜にしっかりと充電しておきましょう。
③まとめ
今回はエンジンヘリのエンジンメンテナンスと、始動時のトラブルシューティングについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? エンジンはきちんとメンテナンスをおこない、正しい使い方をすることで、確かなパフォーマンスを発揮してくれるだけでなく、長く愛機を快適飛行に導いてくれます。 しっかりとした整備で良い状態をキープし、いつでも快適飛行ができるように準備しておくことが大切。今回の記事を参照に、ぜひしっかりとしたメンテナンスを心がけてください。

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