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O.S.WEB MAGAZINE Vol.37

2021 Aug.

何が違う?どちらがオススメ? エンジン飛行機と電動飛行機徹底比較!

ラジコン飛行機は大きくエンジン機と電動機に分かれます。以前はエンジン機がそのほとんどでしたが、ブラシレスモーターやリポバッテリーの進化によって、現在では電動機が主流ときています。 しかし、どちらかしか飛ばした経験がないと、両者にどのような特徴やメリットがあり、どのような知識が必要なのか、意外と知らないという方も多いようです。そこで今回はそんなエンジン機と電動機を徹底比較。双方の特徴や魅力を余すところなくお伝えいていきたいと思います。

比較①:必要となるスキルの違い
現在では、電動(EP)機とエンジン(GP)機のどちらもRC飛行機のパワーユニットとして遜色がなく、優劣つけがたい時代となっていますが、電動機とエンジン機とでは、その取り扱い方法や価値観をはじめ、必要とするスキルに大きな違いがあります。 両者が必要とするスキルの違いを考えてみますと、まず、電動飛機の場合には、電動パワーユニットに関する取り扱いの知識が必要であり、ブラシレスモーターのサイズやKV値、モーターをコントロールするアンプの許容電流値、モーターに必要な電力を供給するためのバッテリーの適切な放電能力と、想定する飛行時間が可能となる蓄電容量の選択など、ある程度の電気的な知識が必要となり、ハンダ付け作業や動力用リポバッテリーの管理を含め、電動機特有の技術が必要となります。電動機はエンジン機に比べ飛行時間は10分程度と短く一日フライトを楽しむ為には数本バッテリーを準備するか現場で充電する方法があります、バッテリーや充電器の進化により充電時間は短くなりましたが、それでもフライト可能な状態になるまで30分以上はかかるので最低2本以上バッテリーを用意するほうがいいでしょう。


軽快に飛行する電動機。現在では、電動パワーユニットの発達により、エンジンを上回るパワーを発揮するようになりました。

次に、エンジン機の場合には、エンジン自体の内燃機関としてのメカニカルな構造に対する知識や、燃料を給油し、チョークによってエンジン内部にオイルを行き渡らせるとともに、キャブレターを介してシリンダー内を適切な混合気の状態とし、プラグヒートやクランキングをおこなうといった、エンジンを始動するための手順に加え、始動後のニードルやスロー調整など、繊細なキャブレター調整の機械的な技術と知識を身に付ける必要があります。 エンジン機は燃料タンクの容量にもよりますが、電動機に比べフライト時間は長くなります。グローであればフライト回数にもよりますが4リッター缶を持参すれば1日は飛行を楽しめます。ただしタンクに残った燃料の処理やガソリンエンジンの場合は混合ガソリンの状態を確認する必要があります。スターターやグロープラグ用電源の準備も必要です さらに、電動機の飛行スタイルはエンジン機とは異なり、飛行場に着いてから、燃料や始動用具を準備する必要もなく、機体にあらかじめ充電しておいたバッテリーを取り付けて、プロポのスイッチを入れ、コネクターを接続するだけで飛行させることが出来るという手軽さが特徴です。 一方、エンジン機には飛行中のエンジン音や排気オイルの臭いなど、エンジン自体のもつ魅力があり、電動機には手軽さなど電動特有の良さがあるので、現在では、初心者の方が入門機を選択する段階から、周囲の環境や自分の好みによって、電動機またはエンジン機の好きな方を選べるという、良い時代になったと言えるのではないでしょうか。

ダイナミックな飛行を見せるエンジン機。エンジンの音や排気の匂いなど、エンジン機特有の魅力があります。

比較②:メンテナンス性の違い
電動機とエンジン機では、日常の機体メンテナンスにも大きな違いがあります。気軽な電動機は一見してメンテナンスフリーと思われがちですが、電動機は墜落事故を起こした場合、リポバッテリーの発火による火災など、エンジン機よりも大きな事故に発展する可能性もあるため、機体の点検など、安全に飛行させるためのメンテナンスが必要です。 電動機のメンテナンス上もっとも重要なのが、大きなエネルギーを蓄えるリポバッテリーです。取り扱い上の注意点としては、外装が軟らかいアルミラミネートフィルムのため、誤って傷つけた場合には内部がショートしてガスが発生し、爆発的に火を噴くこともあるので、無理な力を加えて変形させたり、硬いもので傷つけないように注意してください。 また、飛行中過放電させると内部にガスが発生して膨れ、そのまま無理に充電すると発火することもあるため、必ず30パーセント程度の残量を残すよう、フライトタイムを測り、飛行可能時間を見極めておく必要があります。 さらに、リポバッテリーを保管する場合、気温上昇によって過充電状態となる場合があるので、必ず充電器の放電機能(ストレージ・モード)などを利用して、50~60パーセントの状態とし、不燃性の丈夫なケースに入れて保管するようにしましょう。また、使えなくなったリポバッテリーを廃棄する場合には、塩水に浸けて数日間放置し、泡が出なくなるまで完全に放電させた後、燃えないゴミとして各治自体の規定に従って廃棄するようにしてください。

リポバッテリーを保管する場合には、充電容量を50~60パーセントの状態とし、不燃性の丈夫なケースに入れて保管すること。

エンジン機の場合には、振動による各部のボルトやビスの緩みチェックと増し締め、次に機体に付着した排気オイルの除去が必要となります。機体の油分を取り除くには、フィルムや塗装面を傷めない柔らかい生地のウエスと、油分を分解するガラスクリーナーなどが一般的に使用されています。 そして、エンジンのメンテナンスは、飛行が終了したならば、エンジンを空回しして内部に残った燃料や排気ガス成分を完全に排出した後、防錆剤をキャブレターや排気口から数滴注入し、エンジンをクランクして内部に行き渡らせていきます。この作業によってかなりの防錆効果が得られ、次の飛行まで、エンジン内部やベアリングを「錆」から守り、大切なエンジンを長い期間使用することが可能となります。

エンジンを長く使うためには、飛行後に内部に残った燃料や排気ガスを完全に排出し、防錆剤をキャブレターや排気口から数滴注入し、エンジンをクランクして内部に行き渡らせておきます。 O.S.エンジンに最適な純正O.S.SPEEDメンテナンスオイルのご使用お勧めします  

比較③:必要となる機材の違い
電動機とエンジン機とでは、飛行させるために必要となる機材はまったく異なります。電動機を製作し、初飛行をおこなう前には、スロットルをフルパワーとした時に、モーターやコントロールアンプ、バッテリーの許容最大電流値を超えた電流が流れていないことを確認しておくことが必要です。 そのために、電流計やワットメーターなどのアイテムは必需品です。測定器は、直流電流値を計測可能なクランプメーターか、リポバッテリーとコントロールアンプの間に入れることによって、電流値および電圧、消費電力などが確認出来るマルチメーターがあると確実です。 また、最も重要なリポバッテリーを安全に充電するために、各セルを個別に充電するバランスコネクターを備えたリポバッテリー用充電器と、バッテリーの状態を正確に把握できるバッテリーチェッカーが必要です。バッテリーチェッカーには、各セルの電圧を表示するものや、残容量をパーセントで表示するもの、また、数値とバーグラフの両方で表示し、各セルの電圧のバラツキも確認できるものなどがあり、多機能で使いやすいものが多く発売されていますので、そちらを用意しましょう。

リポバッテリーを安全に充電するために、各セルを個別に充電するバランスコネクターを内蔵したコンパクトなリポバッテリー用充電器の例。充電器は12V入力のものが多いため、家庭用100Vから充電するためには安定化電源も必要となる場合があります。

次に、エンジン機を飛行させるために必要となる機材は、主にエンジンの始動用具となります。模型用エンジンとして広く使用されているグローエンジンを始動するためには、グローエンジン用の燃料が必要となります。そして、燃料を機体のタンクに給油するための燃料ポンプも必要です。燃料ポンプには、手動や電動のものがあり、燃料の種類への適合を確認したうえで、自分の飛ばす機体の大きさや好みによって選ぶようにしましょう。 また、グローエンジン始動時にはプラグヒートが必要です。プラグヒートは、充電式のバッテリーを利用した小型のポケットブースターや、12ボルト鉛バッテリーから電源をとるものなど、さまざまな種類のものがあります。 さらに、エンジン始動時には電動スターターを利用します。電動スターターにはバッテリーを内蔵したものや、12Vバッテリーに接続して使用するもの、大型エンジンにも使用できる高トルク型のものなど、さまざまなものが発売されているので、使い勝手の良いものを選ぶようにしましょう。


エンジンを始動するための電動スターター。バッテリーを内蔵したものや、12Vバッテリーに接続して使用するもの、大型エンジンにも使用できる高トルク型のものなどが発売されています。

比較④:飛行までの手順の違い
飛行場に到着してから飛行させるまでの手順においては、電動機またはエンジン機であっても、ほとんどの機体は主翼を分解した状態で運ぶこととなるため、飛行場に着いたならば、主翼の組み立てが必要となり、サーボコネクターの接続やリンケージ、ウイングボルトの締め付けなど、確実な組み立てと各部の動作点検をおこなう所は共通です。

電動機またはエンジン機であっても、ウイングボルトの締め付けやリンケージの確認作業については電動機でもエンジン機でも共通です。

機体点検後の手順として、電動機の場合には、まず動力用リポバッテリーの搭載となりますが、その前に、必ずバッテリーが満充電となっているかをバッテリーチェッカーにより確認してください。ちなみに、リポバッテリーの充電は、安全上からも、飛行場において飛行の直前に充電するのが理想的です。 バッテリーを搭載したならば、プロポの電源を入れ、バッテリーのコネクターを接続しますが、この際に、バッテリー端子を絶対にショートさせないよう細心の注意を払うようにしましょう。誤って端子をショートさせた場合には、アーク溶接のような激しい火花が発生し火傷を負う恐れもあるほか、バッテリーが発火することもあります。そのため、飛行直前までコネクターには絶縁キャップを被せておくのが安全です。動力用バッテリーを接続したならば、電動機の飛行準備は完了となります。 エンジン機の場合には、まず燃料を満タンに給油し、エンジンを回して燃料をエンジンに呼び込み、プラグヒートを接続し、再度スターターによりエンジンを始動させます。エンジンが始動したならば、回転が安定するまで低速のまま数秒ほど様子を見た後、徐々にスロットルを上げ、中スロー位まで上げたところでプラグヒートを外し、全開にしてニードル調整へと移行し、飛行準備は完了となります。 エンジン機の場合には、始動の作業とエンジン音により、周囲に知らせることができますが、電動機の場合には、プロポのスティックを上げるだけで音もなく、いきなりプロペラが回り出しますので、電動機を飛行させる場合には、周囲に飛行させる意志表示を明確におこない、安全を確認した上でバッテリーを接続するように心がけましょう。

エンジン機の飛行準備は、まず燃料を満タンに給油し、燃料をエンジンに呼び込むことから始め、次にプラグヒートを接続し、プロポのスロットルスティックを最スローからわずかに上げた状態にします。スターターでエンジンを回し始動したら回転を中スロー程度に上げ、安定したところでプラグヒートを外し、徐々にエンジンを全開とし、ニードル調整を行いましょう。

比較⑤:トレーナー機での違い 
RC飛行機に入門しようとする初心者が、トレーナー機を選ぶ際に必ず悩むのが、電動機(EP機)またはエンジン機(GP機)のどちらを選んだら良いかということではないでしょうか。おそらく現在であれば、模型店やRCクラブの先輩方に相談すれば、電動機を勧められる可能性が高いでしょう。 最近では、各地のラジコン専用飛行場において、パワーユニットとして電動機が増えています。製作の際に、最初からモーターやアンプ、バッテリーなどの選定が適切であれば、エンジン機のような難しい調整やエンジン始動の手間も必要とせず、バッテリーを接続してスイッチを入れるだけで、簡単に飛行させることのできる電動機は操縦練習に集中することが可能なため、手軽な電動機から入門する初心者も多くなっています。 しかし、RC飛行機をはじめようとする初心者のなかには、模型用エンジンに魅力を感じている方も多いのではないでしょうか。特に年輩のマニアほど、模型飛行機の原点はやはりエンジン機だというマニアは多く、少年時代に見た模型飛行機のエンジン音と、ヒマシ油の燃えた排気ガスの匂いなど、はじめて模型飛行機を見たときの感動と興奮は、時を経て大人になっても決して忘れるものではなく、何歳になっても、模型エンジンは大人を童心へと帰らせる魅力を持っているのです。 そんな初心者の方の場合、エンジン機を自在に飛ばすことを目指すのであれば、エンジンの取り扱い練習も兼ねて、後々活用できるエンジンを搭載した、トレーナー機を選ぶのも良いでしょう。つまり、操縦技術のみを早く習得したいのであれば電動トレーナー機を、模型用エンジンにこだわりがあればエンジン機を、後々自分のやりたいと思う目的によって、好きな方を選ぶことをオススメします。

飛行する電動トレーナー機。難しい調整も必要なく、バッテリーを搭載するだけで簡単に飛行させることのできる電動機は、操縦練習に集中することが可能です。

比較⑥:スケール機での違い
スケール機の場合には、ヘビーなスケールマニアの方ほど「実機らしさ」を追求するという面から考えると、エンジン音や排気の出ない電動機よりも、飛行時のエンジン音や排気の煙など、より実機に近い4ストローク・グローエンジンや、4ストローク・ガソリンエンジンを搭載する方が多いことは充分に想像できるでしょう。 特に、第二次世界大戦の戦闘機の場合には、圧倒的にエンジン機とする方が多く、超大型スケール戦闘機のローパスなどは、実機を彷彿とさせるようなエンジン音が大きな魅力であり、スケールマニアの方であれば誰もが、いつかは飛ばしてみたいと思う領域でしょう。 しかしながら、スケール機における電動動力ユニットのメリットがないわけではありません。機種によっては電動機としてスケール機を楽しむ方も多くいます。たとえば、PC-21やターボレイブンなど、実機がターボプロップエンジンを搭載している機体の場合には、レシプロエンジンの「ブォーン」という音よりも、タービンエンジンの「キィーン」という音の方が合っており、「キュィーン」というモーター音の電動動力ユニットでも違和感が少ないです。 また、飛行中のエンストによる片肺飛行が致命的な結果を招く、双発エンジンや4発エンジンのスケール機では、飛行中にエンストするリスクの小さな電動機として組み上げているスケールマニアの方もいます。さらに最近では、完成機として気軽にスケール機の飛行を楽しむことのできる、EPOなど発泡素材の戦闘機でも、ブラシレスモーターを搭載した電動機が多くなっており、手軽なスケールフライトを楽しむ方も年々増えています。

EPOなど発泡素材の電動スケール機。発泡素材で気軽に飛行を楽しめることから人気があり、電動でスケール機を楽しむ方も増えています。

比較⑦:アクロ機での違い
アクロ機といえば、最近では機体重量を上回る推力を発生するパワーユニットを搭載し、「コブラ」や「トルクロール」など、失速状態での機体の制御を、大径プロペラから発生する強力なプロペラ後流を利用し、大きな面積を持ち、60度以上もの極端に大きな舵角まで動かすことのできるラダーやエレベーター、エルロンを駆使してコントロールする、いわゆる3D機のことを指します。 エンジン機の場合には、その出力特性により、特にプロペラの小さな小型エンジン機の場合には、3D演技中のスロットルワークに非常に高い技術を必要とし、数年前までは、トリッキーでダイナミックな演技を見せる3Dアクロといえば、100ccや150ccクラスの大型ガソリン機でなければ、性能的に不可能でした。 その後、3Dアクロ専用として設計された、超軽量で大きな主翼面積をもつ「ファンフライ機」というジャンルの機体が登場し、多くのマニアが3Dアクロの練習を始め、「コブラ」や「トルクロール」という言葉が一般的となって、「トルクローラー」と呼ばれる3Dアクロを中心に楽しむ方も増えました。 そして、現在では、軽い機体の開発と急速に発達した電動動力ユニットとよって、大径プロペラを回すことが可能となり、小型機でも気軽に3Dアクロをおこなうことが可能となっています。 現在、フライヤーによって意見は分かれるところですが、3Dアクロ機の場合には、一般的に50ccクラスを境として、それより小型の機体の場合には圧倒的に電動機に人気があり、それ以上の大型機になると、バッテリー管理や飛行時間、取り扱いやコストパフォーマンスなどの観点から、ガソリンエンジン機を用いるという方が多いようです。

大型のガソリン機。大型機ほど、エンジン機のほうが飛ばしやすいというアクロマニアの方は多いようです。

まとめ
今回はラジコン飛行機を例に、エンジン機と電動機の違いについて比較しながら紹介してきましたがいかがでしたでしょうか? エンジン機にはエンジン機の、電動機には電動機それぞれの魅力があり、自分のフライトスタイルや機体の特性、外観やサウンド、手間やスキル等、さまざまな面から考えてどちらを選択するのか考えて頂ければと思います。O.S.では信頼の模型用エンジンとモーターやESCを数多く取り揃えています。ぜひ皆さんの機体に搭載して頂き、快適なフライトをお楽しみ頂ければと思います。

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