O.S.Official WEB

O.S.Official WEB O.S.Official WEB O.S.Official WEB

ホーム  O.S.WEB MAGZINE Vol.31 >2ストローク グローエンジンにおけるグロープラグの正しい使い分け

O.S.WEB MAGAZINE Vol.31

2021 Mar.

2ストローク グローエンジンにおけるグロープラグの正しい使い分け

模型用エンジンの中でも、一番多く使われている2ストローク グローエンジン。このグローエンジンになくてはならないアイテムが、今回の主役であるグロープラグです。グロープラグは、グローエンジンを始動する際にプラグを通電することでフィラメントが赤熱し、その熱を利用してエンジンを点火させるためのもので、一度点火したらエンジン内の熱によってずっと赤熱され、エンジンが回転し続けるようになります。つまり、このグロープラグがない限りエンジンは始動しないという、非常に重要なアイテムなのです。グロープラグは複数の種類がラインナップされており、使い分けることでエンジンのパフォーマンスが変わってきます。そこで今回はグロープラグの使い分けについて、O.S.のテストフライヤーである羽根田仁が解説していきたいと思います。

編集部:2ストロークのグロープラグは4種類用意されていますが、どのように使い分ければいいのでしょうか。

羽根田:
O.S.のグロープラグは、フィラメントの線形や太さの調整による熱価の違いによって種類分けされています。一般的にホットタイプとコールドタイプに分けられ、それぞれ用途によって使い分けが必要です。ホットタイプは燃料の濃い状態に強く、冬場の寒い日にもしっかりと適応できるタイプのもので、アイドリングも安定しやすく、小型から中型のエンジンによく使われます。O.S.の製品名でいくと「No.6」「No.7」と呼ばれるものがこれに当たります。また、濃い状態で回せるので、エンジンのブレークインに使う方も多いです。 一方、コールドタイプと呼ばれるものはニードルを絞っていくことができ、回転を上げて使うような時に使用しますので、夏場にパワーを出すために絞りたい時などに有効です。RC飛行機ならば大型のエンジンなどで使用しますが、アイドリングが悪くなるという面も持っています。「No.10」と呼ばれるものがこれに当たります。 そして、その中間に位置するのが「No.8」で、こちらは汎用的に使用することができるプラグとなっています。このプラグならば、夏場冬場関係なく使用でき、調整の幅も広いですので、初心者の方にもオススメです。

編集部:なぜホットタイプ、コールドタイプという名称なのでしょうか。

羽根田:
ホットタイプは濃い状態でも使うことができ、小型エンジンでも火が消えにくいことから「ホットタイプ」という名前になりました。それに相対する性能を持っているので「コールドタイプ」という名前が付いています。
②プラグを使う際の注意点

編集部:プラグを使う時の注意点を教えてください。

羽根田:
まず、プラグを変えたら必ずニードルを調整してください。見た目は同じかもしれないですが、プラグを変更した場合は再度ニードルの調整をしてアタリを出す必要があります。 また、温度の高いエンジンにホットタイプのものを使い続けるとプラグが切れてしまうことがあります。逆に温度の低いエンジンにコールドタイプのものを使ってもパワーが出しきれない場合があります。まずは、エンジンに最初から付いているプラグを使ってもらい、その後、好みに応じて変更していくのが良いでしょう。 そして、エンジンが始動しない場合はプラグが切れていることがります。目視で確認することもできますし、通電テストをおこなってプラグが赤熱するか確認することもできます。

編集部:プラグの交換時期と注意点を教えてください。

羽根田:
プラグは消耗品ですので、定期的に交換して、飛行場に持っていく工具箱の中にも予備のものを少し持っていたほうがいいでしょう。一番怖いのは飛行中にフィラメントが溶けてエンジン内部に落ちてしまうことです。こうなると、エンジンの中に異物が入ったことになってしまい、その異物が付着した部分だけ高温になり、エンジンの故障につながります。プラグが溶けて落ちた場合はエンジンの内部を洗浄しないと、新しいプラグを取り付けても異物の高温ですぐに切れることになってしまいます。 また、フィラメントの表面が荒れて白色化したり、フィラメントが変型したり汚れていたり、プラグ本体が錆びていたら交換しましょう。また、混合気が濃い状態でもエンジンが止まりやすかったり、アイドリングで止まりやすくなったら交換が必要です。

編集部:4サイクル用のプラグはどこが異なるのでしょうか?

羽根田:
4サイクル用はフィラメントが長くなっており、目視でも分かるくらい巻数が異なります。これは、エンジンの構造上、2サイクルよりも4サイクルのほうが長く赤熱していなくてはいけないからです。長く持続しないとスローが安定しないことになりますので、2サイクルとは異なる造りをしています。現在、O.S.からは「タイプF」という1種類を発売しており、このプラグはロータリーエンジンにも使用することが可能です。

編集部:ロングリーチプラグは空用の2ストロークエンジンに使えますか?

羽根田:
ロングリーチプラグのLCシリーズはプラグワッシャを一枚追加することで空用2ストロークエンジンにも使用可能です。 LC3がホット系ですが、ほぼNo.8と同じ特性、LC4はコールド系ですがNo.10とNo.8の中間的な特性です。ロングリーチプラグの性格でアイドリングは安定しています。

編集部:R5のプラグがありますがとのようなエンジンに適合しますか?

羽根田:
R5のプラグは超コールドタイプで一世代前のカー用レーシングエンジンやボート用レーシングエンジンに使用用途がありましたが、現在ではそれらのエンジンはターボプラグが標準になり、あまり使われなくなりました。一般のエンジンにも取り付けは可能ですが、アイドリング等エンジンの回転が安定しなくなりますので特殊な用途以外は使用は避けてください。
編集部:ありがとうございました。

グローエンジンを点火させるために必ず必要なアイテムであるグロープラグ。O.S.からは用途に応じた複数のプラグが発売しています。


2サイクルエンジンの上部に取り付けられたグロープラグ。フィラメントが赤熱してエンジンが点火し、その後はエンジン内の熱で常に赤熱することで、エンジンの回転が止まらないようになっています。


4サイクルエンジン用のグロープラグ「タイプF」を取り付けたエンジン。4サイクルの構造上、長く赤熱するタイプとなっています。


もっとも一般的なプラグとしてよく使われる「No.8」。あらゆる一般的なエンジンに使用できる万能派で、幅広いシーンで使用することができます。

③標準プラグから各種プラグに変更して違いをチェック! 

それではここからは実際にグローエンジンのプラグを変えながら、回転数を計測して、プラグを変更した場合にエンジンにどのような影響が出るか見ていきたいと思います。最初に標準プラグである「No.8」を取り付けて計測し、その後でさまざまなプラグに変更して違いを見ていきます。

最初に標準プラグである「No.8」を取り付けて計測し、その後でさまざまなプラグに変更して違いを見ていきます。

テスト使用機はOK模型の「CAVALIER」で、エンジンはO.S.「MAX-55AX」、プロペラはAPCの12×7としました。

■テスト環境■
日時:2021年2月9日
場所:三重県木津フライングクラブ飛行場
気温:3℃
■使用機材データ■
機体:OK模型「CAVALIER」
エンジン:MAX-55AX
燃料:NITRO-X STANDARD RED (15-18)
プロペラ:APC 12x7

「No.8」のピーク時の回転数は10,330rpmでした。

No.8」のアイドリング時の回転数は1,800rpmでした。

ホット系で小型エンジンおよび中型エンジンのブレークインに向いている「No.6」に変更します。No.8のピークから90°戻した位置から回転数計測を開始。

ニードルセットを変更。「No.6」のピーク時の回転数。上が回らないが、アイドリングは「No.8」より若干低く安定しています。

「No.7」は「No.8」より若干ホット系で気温が低い時期にオススメ。ほぼ「No.8」と同じ特性を持ちます。「No.8」のピークから90°戻した位置から回転数を計測開始します。

ニードルセットを変更して出した「No.7」のピーク時の回転数。「No.8」より若干落ちていることが分かります。

アイドリングは「No.8」より若干低く安定しています。

コールド系で気温が高い時期にオススメの「No.10」。大型エンジンやヘリエンジンによく使われます。「No.8」のピークから90°戻した位置から回転数の計測を開始。回転が下落し、「No.6」や「No.7」よりも回転が安定しません。

ニードルセットを変更して出した「No.10」のピーク時の回転数。55AXでは上が回り絞りすぎてエンジンが焼ける恐れがあります。

アイドリングは「No.8」とほぼ変わりませんでした。

O.S.のグロープラグの中でも、ホット系ロングリーチで、プラグワッシャを一枚追加した「LC3」。こちらも「No.8」とほぼ変わらない特性なので、「No.8」と同じニードルセッティングで使用可能です。

アイドリングも「No.8」よりも若干低く設定することが可能です。ロングリーチの特性でアイドリングは安定しています。

コールド系ロングリーチで、プラグワッシャを一枚追加した「LC4」。「No.8」と「No.10」の中間的な特性を持ちます。「No.10」と同様に回転が下落し、回転が安定しません。

ニードルセットを変更して出したピーク時の「LC4」の回転数。上は若干回ります。気温の高い時にはオススメのプラグです。

:アイドリングは「No.8」より若干上昇しました。

④まとめ

今回はグローエンジンに欠かせない、グロープラグについて見てきましたがいかがでしたでしょうか?グロープラグは、その日のエンジンの状態や飛ばし方、環境などによって使い分けをおこなうことが大切です。この記事のデータを参考に、ぜひいろいろなプラグを使い分けて、その違いを実感してみてください。
※エンジンの回転数はあくまで参考データです。気温、気圧、高度、使用機材によって回転数には誤差が生じます。

■O.S.グロープラグ価格改定のお知らせ■

弊社製品グロープラグにおきまして、プラグコイルに使用しているRh(ロジウム)やPt(プラチナ)が極端に高騰しており、販売価格の維持が困難な情況となりました。OSグロープラグご愛用者の皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、令和3年3月1日よりやむなく販売価格の改定を実施させていただきます。何卒ご理解、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
価格改定のお知らせへ←


グロー燃料「NITRO-X」に「REDシリーズ」が登場!←

O.S.WEB MAGAZINE Vol.31 INDEX

リンク

TOP