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O.S.WEB MAGAZINE Vol.61

2023 Nov.-Dec.

これから挑戦する人もベテランフライヤーも! エンジンヘリを楽しむために知っておきたい基礎知識

空ものラジコンの中でも、そのメカニカルさと奥深さで人気のラジコンヘリコプター。現在ではリポバッテリーとブラシレスモーターの組み合わせで飛ばす電動ヘリが主流になっていますが、まだまだ模型用エンジンを搭載して飛ばすエンジンヘリも多くのフライヤーが飛ばしています。また、電動ヘリで入門してから、エンジンヘリに挑戦するフライヤーも多く、ここに来てますます増加傾向となっています。 そんなエンジンヘリですが、電動ヘリとは違った知識が必要となってくるポイントがいくつもあります。そこで今回はこれからエンジンヘリに挑戦するフライヤーに知っておいてもらいたいポイントをまとめてみました。それでは早速紹介したいと思います。


エンジンで飛行するラジコンヘリコプター。模型用エンジンの奥深さを味わえるため、まだまだ人気のあるカテゴリーです。
POINT①:ヘリ用エンジンと飛行機用エンジンの違い
模型用のグローエンジンは飛行機用とヘリ用に分かれており、飛行機用エンジンは2ストロークと4ストローク、ヘリ用は主に2ストロークエンジンとなっています。ところで、飛行機用とヘリ用の違いはどういったところにあるのでしょうか?クランクケースの内部、内燃機関としての構造は大きな違いはないが、主に2箇所、両者で異なる部分があります。 飛行機用エンジンとヘリ用エンジンの外観上の違いで最も異なるのは大きなシリンダーヘッドです。ヘリ用エンジンの方が大きいサイズとなっていますが、これは両者のフライトスタイルの違いによるもの。シリンダーヘッドには冷却フィンが設けられており、エンジンがオーバーヒートしないように冷却効果を高める機能があります。飛行機はその飛行中、プロペラ後流や飛行速度による風量でエンジン全体に十分な冷却が行われます。ヘリはホバリング時や3Dフライト時にスロットルの中間から高速域を長く使うことが多くそのためエンジンは常に高温燃焼を続けることになり、また、ほとんどのヘリはファンによりダクトを通しシリンダーヘッドのみの冷却が主体となっており飛行機に比べてオーバーヒートしやすい傾向にあります。それを防ぐために飛行機用に比べて大きなサイズのシリンダーヘッドとなっているのです。

ヘリに搭載されたヘリ用エンジン。飛行機用と比べるとシリンダーヘッドが大きいのが特徴です。
POINT②:エンジンヘリのタンクと配管について
電動ヘリを飛ばすためにバッテリーが必要なように、エンジンヘリを飛ばすには燃料が必要となります。そのグローエンジン用の燃料を入れておくのが燃料タンクです。燃料タンクはグロー燃料に侵されることがないようにポリエチレン樹脂製のものとなっており、耐油性のゴムキャップが取り付けられています。 燃料タンクと配管で一番気をつけなくてはいけないのは配管に用いているシリコンチューブの劣化です。これらは常にグロー燃料に浸っている状態になります。グロー燃料はメチルアルコールを主な成分として、これに化学合成オイルやひまし油が入ったものとなっており、これらの成分によってチューブは劣化しやすくなります。また、シリコンチューブが機体のキャビンやフレームに当っているとその部分から劣化やヒビが入りやすくなるので、もしそうなってしまったら迷わず交換しましょう。 また、燃料を安定的にエンジンに供給するには、タンク内のシリコンチューブに付いたオモリが非常に重要になります。オモリがタンクのあらゆる場所に届き、機体がどのような体制になってもタンク内の残った燃料を供給できるような動きになるようにしなくてはならなりません。3Dアクロフライトを楽しむフライヤーの中には、メインタンクとは別にリザーブタンクを付けているフライヤーも多く見かけます。これはメインタンクとキャブレターの間に取り付けるもので、常に燃料で満たされた状態になるため、急激な姿勢変化があってもしっかりと燃料をエンジンへ供給することができるものとなっています。 また、タンクからキャブレターへつなぐチューブには燃料フィルターを取り付けることも可能です。塵や砂埃が入らないようにするための工夫で、目の細かさによっていくつか種類があるが、あまり細かいもの(精度の良いもの)を使うと燃料が薄くなる傾向にあることは覚えておきましょう。
3Dアクロ機の急激な姿勢変化に対応する為に搭載されたリザーブタンク。
POINT③:エンジンヘリのマフラーについて
エンジンヘリを楽しむために必須なアイテムがマフラーです。別名サイレンサーとも呼ばれるもので、その名の通りエンジンの排気音の消音機能を持ったアイテムとなっており、これなしではエンジンヘリのサウンドは凄まじいものになってしまうだけでなく、とてもまともに飛ばせないような機体になってしまいます。また、排気を機体にかからないように適切な方向へ逃がす役割もあります。 マフラーには先ほど述べた消音効果を狙ったサイレンサータイプのものと、エンジンのさらなるパワーを引き出すために開発されたチューンドマフラーがあります。初心者の場合はシンプルなサイレンサータイプのものを使えば良いのですが、ベテランフライヤーで特に3Dアクロなどを楽しみたいフライヤーは、チューンドマフラーを使ってみるのも良いでしょう。 このチューンドマフラーは内部の構造によりエンジンのパワーをさらに引き出すことができるようになっています。具体的にはその製品によってさまざまですが、マフラー内にマニホールドを設け、エンジンの圧をマフラー内の燃焼室へ効率的に導きマニホールド部分の圧が高くなり、その後の燃焼室の圧も高くするなど、いろいろなアイデアでエンジンのパワーを引き出すことに成功しています。 また、マフラーによっては、マフラー内の圧を燃料タンクに送り込んで、安定した燃料供給を実現しているものもあります。いわゆるマフラープレッシャーと呼ばれるもので、自分が使用するエンジンによっては燃料供給装置がない場合はマフラープレッシャーを使って燃料をエンジンに送り込む必要があります。
エンジンのマフラーは消音効果だけでなく、安定した燃料供給やエンジンのパワーを引き出すなど多くの役目があります。
POINT④:スロットルリンケージについて 
電動ヘリの場合、モーターの回転数はESCでコントロールします。スロットルを下げれば回転数は落ち、最スローにするとモーターは回転を止めます。ではエンジンはどのように飛行中に回転数を変化させているのでしょうか? エンジンヘリの場合、ESCの役目を担っているのがスロットルサーボです。エンジンの近くにサーボを配置し、キャブレターで作られた混合気をどの程度エンジンに送り込むかを制御する役目を担っており、これによってエンジンの回転数を制御できるようになっています。 そういった意味でスロットルリンケージは非常に大切な部分であり、しっかりとリンケージをおこなっておかなければなりません。スロットルリンケージの手順は、一般的にはスロットルサーボのニュートラルでサーボホーンが直角になるようにします(機種によって異なる場合があります)。次にキャブレターのレバーもハーフの状態にして、その状態でリンケージすることでドラムが半分開いている状態を作ります。さらにスロットルスティックがフルハイでキャブレターのドラムが全開になるように、プロポのトラベルアジャストを使って調整します。また、最スローでキャブレターのドラムが数ミリ開いている状態を作り、エンジンがアイドリング状態になるようにします。最後にエンジンを止める手段としてスロットルカット機能を設定しておき、カット状態でキャブレターのドラムが全閉になるように調整する必要があります。
エンジンの回転数をコントロールするスロットルサーボとリンケージ。サーボが動くことでドラムが開閉し、回転数を制御します。
POINT⑤グロープラグについて
ヘリ用に限らず、グローエンジンはどのようにして点火して爆発するのでしょうか?その役割を担うのがシリンダーヘッドに取り付けられたグロープラグです。 このグロープラグの白金製のコイル部分が熱せられて熱を持ち、その熱を利用して着火するという極めてアナログな方式を取っています。プラグには2ストローク用、4ストローク用といった用途に応じたものから、点火タイミングを決める熱価の違いによってホット、ミディアム、コールドといったさまざまなタイプが用意されており、自分のエンジンや機体に応じたプラグを使い分けることができます。初心者の場合はスタンダードタイプのグロープラグを使うのが一番で、ベテランフライヤーになったら好みに応じてグロープラグを使う分けるのが良く、一般的にグロー燃料のニトロが多い場合はコールドタイプを、エンジンのブレークインや小型エンジンの場合はホットタイプを使用することが多いです。 エンジン始動時はこのグロープラグのフィラメントを外部電源であるプラグヒートで熱してエンジンを始動させます。一度エンジンが始動すれば、後はシリンダー内の余熱で爆発が続くのでプラグヒートは外してしまって構いません。もし、グロープラグのコイルが断線してしまったりしていると適切に通電ができず、エンジンを始動させることができませんので、グロープラグの様子は定期的に確認して、もし断線してしまっているようならば交換する必要があります。
ヘリ用エンジンに取り付けられたグロープラグ。プラグは消耗品のため、断線などしていた場合はすぐに交換しましょう。
POINT⑥:ヘリ用グロー燃料について
グローエンジンに用いられるグロー燃料はメチルアルコールを主成分として、さらに潤滑油としてひまし油や化学合成オイルが混合されたものに、さらに燃焼促進剤としてニトロメタンが加えられたものとなっています。このオイルとニトロメタンの量の違いによって燃料の種類が異なります。ニトロメタンを含む率が多いほど エンジンのパワーは大きくなります。競技会によっては燃料にもレギュレーションが決まっているものもありますので、事前に確認しておくようにしましょう。
グローエンジンの燃料となるグロー燃料は、種類によってニトロメタンの割合が変わってきます。O.S.では高品質のグロー燃料「NITRO-X」を販売中です。
POINT⑦:エンジンヘリと電動ヘリの飛ばし方の違い
これまで電動ヘリを飛ばしていた人が初めてエンジンヘリを飛ばしてみると違和感を感じるのがスロットルではないでしょうか。電動ヘリとは異なり、エンジンヘリはそのレスポンスが一呼吸置いてから来るような感覚があります。電動ヘリはその特性上0か1か、スティックの動きにリニアに反応しますが、エンジンヘリの場合はジワジワと効いてくるようなレスポンスが特徴です。このマッタリ感のあるレスポンスが多くのフライヤーを虜にしています。これは決してエンジンヘリのレスポンスが悪いというわけでなく、その特徴をうまく活かした飛ばし方があるということ。例えばピルエット系の演技などは電動ヘリでは反応が早すぎると感じてしまう場合があるが、これがエンジンヘリになるとちょうど良い感じの落ち着きがあり、しっかりと美しい演技をすることができることもあります。 また、エンジンヘリのメリットとして燃費の良さも挙げられます。特にホバリング練習をするような初心者の場合、電動ヘリのリポバッテリーと比較すると圧倒的にエンジンヘリの方が燃費が良く、かなりの時間を飛ばしても燃料がほとんど減っていないことに驚かされるでしょう。飛行場で充電する術がない人の場合、何本もリポバッテリーを持って行かないといけないことを考えると、エンジンヘリの燃費の良さは大きなメリットと言えるでしょう。

しっかりと調整されたエンジンはヘリの快適飛行に大きく貢献してくれます。エンジンヘリならではの飛ばし方を楽しんでみてください。
まとめ
今回はエンジンヘリの基礎として知っておきたいポイントを紹介してきました。エンジンヘリは電動ヘリにはない面白さと奥深さを兼ね備えたジャンルです。模型用エンジンでラジコンヘリを飛ばす楽しみをぜひ味わってみてください。

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