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ホーム  O.S.WEB MAGZINE Vol.60 入門者・初心者フライヤー必見! グローエンジン飛行機の基礎知識

O.S.WEB MAGAZINE Vol.60

2023 Oct.

入門者・初心者フライヤー必見! グローエンジン飛行機の基礎知識



①はじめに
ラジコン飛行場では電動飛行機を非常に多く見るようになりました。電動パワーユニットの発達により、エンジンに勝る性能を発揮するブラシレスモーターが多くなったことに加え、リポバッテリーの高性能化もあって電動でラジコン飛行機を飛ばすメリットが大きいこと、そして手軽さから電動機が大きなシェアを占めています。 しかし、特に年輩のフライヤーの中には、グローエンジン機を好む人もまだまだ多くいます。少年時代に見た模型飛行機のエンジン音と、当時のグロー燃料に使用されていたヒマシ油系の排気ガスの独特な匂いなど、当時の感動と興奮は、いくつになっても決して忘れるものではなく、模型用エンジンには、大人を童心に帰らせる魅力があります。やはり模型飛行機の原点はエンジンを搭載した機体でなければならないという、強いこだわりを持つエンジン機フライヤーも多いのではないでしょうか。 電動飛行機とは違って、メカニカルな模型用エンジンは飛行させるまでの手間がかかるが、エンジンを始動させるための手順を踏む作業そのものも、模型飛行機の楽しみのひとつとです。燃料を入れ、キャブへと燃料を呼びこみ、プライミングとクランキングによって、エンジン内に燃料とオイルを行きわたらせて、始動に適切な状態をイメージしながら、クランク一発で始動したときの満足感は、電動飛行機では味わうことのできない魅力があります。 そんなエンジン飛行機を飛ばすには、電動機とは異なる知識が必要になります。そこで今回は、模型用グローエンジンを搭載したエンジン飛行機を始める上で、覚えておきたい最低限の基礎知識を紹介していきたいと思います。

美しく飛行するエンジン飛行機。エンジン機には電動機とは異なった魅力があり、長年愛好しているフライヤーも多数おられます。
②入門用の機体選び
エンジン飛行機に限らず、ラジコン飛行機を始める場合には安定性が高く入門用として設計されたトレーナー機を選ぶことが大前提となります。もし、最初から電動機ではなくエンジン機でスタートするならエンジンを搭載するトレーナー機を選ぶことになりますが、機体が小型機になるほど操縦は難しく、エンジンの取り扱いも難しくなります。逆に大型機になると墜落時のコスト及び安全面でのリスクが大きく、専門知識も必要となるため初心者向きではありません。 したがって、エンジン飛行機の入門機としては、上空での安定性と視認性の良い機体の大きさに加え、エンジンの取り扱いが容易な40~50クラスのトレーナー機が、コストパフォーマンス的にも最適です。 このクラスであれば、バルサ製の半完成ARFキットが多くのメーカーから発売されているので、比較的入手しやすく、選択肢も多くあります。なお、ラジコン飛行機を始める場合には最寄りの模型店などに相談し、ラジコン電波安全協会のラジコン操縦士保険に加入し、ラジコンクラブに入会して先輩方の指導のもとに練習することが大切です。
また、機体を飛行する際には事前にドローン情報基板システム(DIPS)へ機体(JUから始まるナンバー)やリモートIDの登録が必要となります。

入門者の最初の機体としては、安定して飛ばしやすい高翼のトレーナー機をおすすめします。ただ、あまり小さな機体だと安定感を欠くので注意が必要です。
③模型用グローエンジンとは
今回紹介する「グローエンジン」とは、圧縮された混合気にグロープラグにより着火する点火方式のエンジンで、始動するときのみグロープラグに通電してフィラメントを赤熱させ、エンジン始動後はシリンダー内での燃焼爆発によってプラグのヒーターコイルが赤熱状態を維持し、その熱によって次の点火を誘発して回転を持続するエンジンです。 グローエンジンは構造がシンプルで扱いやすく、エンジンの重量が軽くパワーも大きいため、古くから模型用エンジンとして使用されています。 エンジンの大きさは排気量によって区別されます。その単位は排気量を立方インチで表現するため、呼び方は「10(イチマル)」、「15(イチゴー)」と呼ばれ、「60(ロクマル)」が約10cc、「120(ヒャクニジュウ)」でおよそ20ccの排気量となります。 O.S.のグローエンジンには2ストローク、4ストロークがあり、さらに単気筒のほか水平対抗、直列、星形などの多気筒のものも開発してきました。自分の好みやスケール機、アクロ機といったそれぞれの飛行スタイルに合わせて、最適なエンジンを選ぶことができます
グローエンジンは構造がシンプルで扱いやすく、ラインナップが豊富なので機体サイズに適したエンジンを搭載することができます。
④エンジン飛行機の機体素材について
現在のラジコン飛行機には、軽くて強度のあるさまざまな新素材が使用されており、飛行機の飛行性能は飛躍的に向上していますが、エンジン飛行機と電動飛行機とでは、機体に使用している素材が異なる場合があります。特に、最近の電動飛行機に多く使用されているEPSやEPP、EPOなどの発泡素材は、一般的にエンジン飛行機には使われることは多くありません。 その理由として、エンジン飛行機の場合にはオイルや溶剤を含む燃料を使用し、油分を含む排気ガスを排出するために、機体表面に付着すると発泡素材を侵してしまう可能性があることと、機体の全体重量のなかでも多くの割合を占める質量をもち、さらに振動を発生するエンジンは、全体的に柔らかく、エンジンマウント部分など、局所的に強度を持たせることが難しく、発泡素材の機体には適していないためです。 エンジン飛行機の素材としては、通常バルサやヒノキ、ベニヤなどの木材が一般的で、部分的な補強としてFRPやCFRPなどの繊維強化プラスチックが使用されます。また、機体表面は、排気の油分による汚れと、燃料に侵されない塗装仕上げやオラカバなどのフィルムによってカバーリングされた構造のものが一般的です。 ARFキットなど、フィルム仕上げの機体を長持ちさせるコツとしては、フィルムの貼られていない、エンジンマウント廻りの木部などには、燃料や油分の浸透を防ぐエポキシ樹脂を塗布しておくことが有効です。また、機体全体のフィルム表面に、クリヤーのウレタン塗料を塗装しておくと、フィルムの剥がれや油分の浸透を防ぐことができます。 また、塗装仕上げの場合には、使用する燃料によって、たとえばグローエンジンの機体であればウレタン塗料を、ガソリンエンジン機であればラッカー塗料を使用して仕上げるなど、使用する燃料に侵されない塗料を選択する必要があります。
エンジン機では排気があるため、フィルムでカバーリングされた機体が一般的。また、エンジンの振動があるためある程度の剛性も求められます。
⑤エンジン搭載方法による違い 
エンジンの機体への搭載方法は、機体のスラストラインとなる、エンジンのドライブシャフトを中心に、シリンダーの角度が上向きに搭載した状態を「正立」、下向きの場合を「倒立」、横向きの場合を「横置き」または「サイドマウント」があります。 エンジンの搭載方法は、機体の形状や用途によって決まります。初心者用のトレーナー機の場合には、機体からシリンダーが大きく露出してしまっても、外観よりもプラグヒートやチョークなど、始動性や取り扱い易さを重視した正立に搭載することが多く、スタント機など、空力性能を重視する機体の場合には、カウリング内にエンジンやサイレンサーを納めるために、倒立に搭載されることが多い傾向にあります。 また、スケール機の場合には、エンジンのメンテナンス性よりもシリンダーやマフラーなどのカウリングからの露出を最小限とし、機体のディテールを損なわないことを最優先とするために、倒立や斜め位置での搭載など、さまざまな形で搭載することになります。 模型用エンジンは、搭載方法により始動時の取り扱いが変わります。たとえば、トレーナー機のように正立に搭載されている場合には、エンジンの露出部分が多くスタイルは多少犠牲になりますが、オーバーチョークになりにくく、プラグヒートやニードル調整もおこないやすいため、エンジンの始動を容易におこなうことができます。 逆に、エンジンを倒立に搭載している場合には、点火プラグがシリンダー下方に位置するため、プラグが濡れてオーバーチョークになりやすく、特に2ストロークエンジンの場合には、排気口がシリンダー側面に位置しているため、倒立の状態だとシリンダー内に入り込んだ生の燃料を排出することがでず、いわゆる「燃料圧縮」状態になりやすくなります。その場合には、機体を持ち上げてエンジンの排気口が下向きになるように回転させ、プロペラを手で回して余分な燃料を排気口から排出してやる必要があります。 サイドマウント方式は、2ストローク、4ストロークエンジンとも排気口が下向きとなるため、オーバーチョークになりにくく、プラグヒートやニードル調整なども比較的容易なため、アクロ機やスポーツ機などに多く見られる搭載方法です。
機体に倒立でマウントされたエンジン。機体の形状や種類によってエンジンのマウント方法も変わってきます。
⑥グローエンジンに使用する燃料について
グローエンジンの燃料は、主成分となるメタノールにヒマシ油や化学合成オイルなどが混合され、さらに燃焼性能を向上させるための添加剤として、ニトロメタンなどが配合されています。グロー燃料の潤滑油として化学合成オイルを配合したグロー燃料が主流となっています。O.S.では高品質なグロー燃料「NITRO-X」を発売しています。用途に合わせてニトロの含有率が選べるようになっており、幅広いラインナップを揃えていますのでぜひご使用ください。
グローエンジンの燃料となるグロー燃料。O.S.では安心して使って頂ける高品質のグロー燃料「NITRO-X」を発売しています。
⑦エンジンの始動方法 
一般的なグローエンジンの始動方法ですが、まず燃料を満タンに給油し、ニードルバルブを2~3回開きます。次に、プラグヒートを接続しない状態でスロットルを全開とし、電動スターターで5~6秒程度回して燃料をエンジンに呼び込みます。 次に、プラグヒートを接続し、プロペラをナイロンスティックのようなものでゆっくりと回してみて、上死点付近で「コツン」とくれば、プラグと燃料の状態が良い証拠で、エンジンはすぐに始動する状態となっています。この状態で、機体の前方に人がいないことを確認し、スロットルを最スローから4分の1程度上げたところで、スターターで回してやると、エンジンはすぐに始動するはずです。 エンジンが始動したならば、回転が安定するまで低速のまま数秒ほど様子を見て、安定しているようであれば徐々にスロットルを上げ、中スロー位まで上げたところでプラグヒートを外し、全開にしてニードル調整へと移行し、エンジンの始動は完了です。
エンジンを始動する際は必ず衝立を用意し、周囲の安全をよく確認してからスターターを回すようにします。
⑧エンジン飛行機のメンテナンス
エンジン飛行機に必要なメンテナンスは、第一に振動によるメカやリンケージなど、各部のボルトやビスの緩みチェックと増し締め、次に機体に付着した排気オイルの除去です。これは、飛行後に、油分を拭き取っておかないと、フィルムの合わせ目から油分が内部に浸透して木部にオイルが染み込み、接着面の強度が低下する恐れがあるためです。機体の油分を取り除くには、フィルムや塗装面を傷めない柔らかい生地のウエスと、ガラスクリーナーなどが一般的に使用されています。 グローエンジンのメンテナンスは、一日の飛行が終了したならば、スターターでエンジンを空回しして、エンジン内部に残った燃料や排気ガス成分を完全に排出する。その後、防錆剤としてメンテナンスオイルをキャブレターや排気口から数滴注入し、エンジンをクランクし、内部に行き渡らせておきます。この作業によってかなりの防錆効果が得られ、次の飛行まで、エンジン内部やベアリングを錆から守り、大切なエンジンを長い期間使用することが可能になります。

エンジンのメンテナンスとして一般的なのが、飛行後に防錆剤を注入すること。エンジン内部を錆から守るためにも必ず使用したい。
⑧まとめ
今回はグローエンジンを搭載したラジコン飛行機を始めるにあたって知っておきたい基礎知識を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? マニア心をくすぐるエンジンサウンドからエンジン調整まで、エンジン飛行機には電動機とは異なった魅力が詰まっています。いつか挑戦してみたいと考えていましたら、これを機会にぜひエンジン飛行機にチャレンジしてみてください!

O.S.WEB MAGAZINEVol.59 INDEX

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