O.S.WEB MAGAZINE Vol.52
2022 Dec..冬到来!寒い時期に備えニードル調整の基礎知識を再確認。
「ニードル調整前のチェック項目
まずここでは、ニードル調整に入る前段階として、ニードルがうまく決まらない時に発生していることが多い外的要因をチェックしていきたいと思います。
■ニードル調整前のチェック項目■
上記のチェック項目以外でも、ニードルが決まらない理由として多く事例はありますが、このように直接関係のない部分での問題は、必ず調整前に解決しておくことが重要です。
また、見えづらいタンク内部で問題が発生している事例もあります。タンク内部の配管がつぶれたり、シリコンチューブの折れ曲がっていたりすることも、エンジン不調の原因となるだけでなく、タンク内部のオモリが外れてしまって、燃料が満タン時は調子よく回っているものの、燃料が少なくなってくると途端に調子が悪くなったりエンストしてしまうこともあります。さらに、マフラープレッシャーを抜いたまま離陸させてエンストやオーバーヒートさせてしまったという事例もあります。 こういった事例は事前のチェックで未然に防げるものばかりです。ぜひ、ニードル調整をおこなう前に、目視で確認するクセを付けていきましょう。
ラジコン飛行機におけるニードル調整の基本
それでは、一般的なグローエンジンのニードル調整について紹介していきたいと思います。最近のグローエンジンは一昔前に比べて性能も上がっており、アタリが付いているとそのままのセッティングでもしっかり性能を発揮してくれる時もあります。しかし、ほとんどの場合は、年間を通じて季節が変わったり、久々に飛ばす際は必ず二ードル調整が必要になります。 ニードル調整が必要になってくる時期は、季節の変わり目、特に気温が変化するタイミングです。具体的には、冬から春になって気温が上昇してきた時と、秋を過ぎて冬にさしかかり気温が下がり始めた時です。理由としては、燃料中に含まれるオイル分は気温の変化によってその粘度が変化し、一番狭くなっているニードル部を通過する流量が一定ではなくなるためです。燃料がサラサラな時とドロドロな時で流量が異なってくるのです。 具体的な現象としては、夏場は始動してすぐにエンジンが気持ち良く吹き上がっていたのに、寒くなったらスロットルスティックを上げても回転が付いて来ず、そのままにしていると、やがて「スコンスコン…」となって回転が止まってしまう現象が現れます。これは、ニードルが薄くなっているために起こるもので、エンジンが冷え切っていることもありますが、2~3コマ、ニードルを開いて、混合気を少し濃い状態にすることで再び快調に吹きあがるようになります。
一方で、気温が上がってきて暖かくなってきた時もニードル調整が必要となります。エンジンの始動時には気づかないのですが、スロットル全開で飛行させても普段よりなぜか速度が乗ってこない時があります。通常の飛行スタイルであればそんなに気にならないかもしれませんが、これは「やや濃い目のセッティング」になっているためになる現象であり、ニードルを数コマ絞って薄くすることで、たいていの場合、普段のパワーに戻ることでしょう。 初心者の方で意外と多いのが、ニードル調整をする際に、いったんピークまでニードルを絞っていってそこから数コマ戻す、というお手軽な調整で飛行させている場合です。 しかし、飛行機は離陸直後、高度を確保するまでの上昇時はやや上を向いた姿勢となります。その際に、エンジンよりも低い位置に燃料タンクがありますので、地上でニードル調整をしてピークを出した時よりも薄めになりがちです。この時のエンジンの調子をよく観察しておくことが大切です。
ニードルを絞りすぎている場合、2ストロークでは徐々に回転が下がってきたり、エンジンが止まりそうになったりします。一方、4ストロークではカリカリッとノッキング音がします。さらに、双方に共通する現象として、マフラーからの排気煙がほとんど出ないような症状が現れます。 機体によって、エンジンの搭載角度や燃料配管の長さは違いますが、特にエンジンを倒立で搭載している機体では、キャブレターの位置が正立マウントよりも低くなるので、その点も考慮に入れて、ニードル調整をおこないましょう。また、燃料タンクの配管も、長くなれば流路抵抗が増えてしまい、ニードルの調整幅が狭くなりがちです。配管は必要最低限の長さにしておくのもニードル調整をやりやすくするコツと言えるでしょう。
ラジコンヘリにおけるニードル調整の基本
模型用エンジンを搭載したラジコンヘリの場合は、ラジコン飛行機よりも最適なセッティングが見つけにくい傾向にあります。ラジコンヘリは飛行機と異なり、地上でスロットルを全開にすることができないためです。ヘリ用エンジンは最初にエンジン始動する際に、ニードル全閉から○回転戻しで始動するよう、取扱説明書に記載されています。まずはここから始めてみて、機体をホバリングさせて、その際の状態をスロットルレスポンスやエンジンの排気煙の量を見ながら確認し、その後、機体を降ろして地上でニードルを絞っていくように調整します。 ここでのポイントは、混合気が濃い状態から徐々に薄い状態へと調整していく点で、最初から混合気が薄い状態で調整をしてはいけません。最初は「ブツブツ…」といったサウンドで、機体もホバリングさえできないと思いますが、徐々にニードルを絞っていくことで、スロットルへの反応が良くなり、パワーが増えていくのがフィーリングとして分かるようになります。
ラジコンヘリのエンジンでは、後はどこまでニードルを絞っていくかの判断になります。判断するポイントとしては、わかりやすいのは排気の量です。マフラーから排気がほとんど出ないようですと絞り過ぎです。また、スロットルがやたらに敏感になっている場合や、一定の高さでホバリングしているのに、エンジン回転が徐々に上がってしまう場合も絞り過ぎです。 ラジコンヘリはエンストを起こすと即墜落となります。そのため、エンストを怖がってしまい絞り過ぎの状態で飛行させているフライヤーを多く見ます。ただ、メインニードルのセッティングがあまりに濃い状態でない限りは、濃すぎることでエンストになることはあまりありません。
こういった際は、エンジンのスロー側のニードルを調整していきます。その時のポイントとしては、スロットルを立ち上げる時に、モタつかないようなセッティングを施すようにしましょう。よく見かけるシーンとして、エンジンをスタートしてから、離陸地点に着くまでにエンストしてしまうのを防ぐためにドンドン絞ってしまうパターンです。 ラジコンヘリのフライトに最適なセッティングとは、20秒ほどアイドリングを続けると止まってしまうぐらいのポイントです。その証拠として、ベテランフライヤーは皆、できる限り濃いめの調整で飛行させていることがほとんどです。
まとめ
今回はラジコン飛行機とラジコンヘリのニードル調整について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? ニードル設定は1年を通じて同じセッティングで飛ばすことはまずなく、季節の変わり目や飛行場所等で細かく変わってきます。慣れるまでは難しいかもしれませんが、理解し始めると逆にニードル設定が面白くなってくるはずです。ぜひ、ニードル設定の基本を覚えて、ご自身で愛機のエンジンのアタリを付けてみてください。飛行機のニードル調整動画もO.S.Youtubeチャンネルで配信していますので、そちらも参考にしてください。