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ホーム  O.S.WEB MAGZINE Vol.42 エンジンの性能をフルに引き出すために覚えたい!飛行機用グローエンジンのブレークイン!

O.S.WEB MAGAZINE Vol.42

2022Jan.-2022 Feb.

エンジンの性能をフルに引き出すために覚えたい! 飛行機用グローエンジンのブレークイン!

①模型用エンジンのブレークインとは
模型用エンジンを購入して、初めてエンジンを始動する際はいつでも緊張と期待が混じった気持ちになるのは、モデラーの方々なら理解して頂けるはず。しっかり始動するのか、どんなエンジンサウンドやパワーを秘めているのか、楽しみは尽きないものです。 そんな模型用エンジンの性能をフルに引き出すためには、最初にしっかりとブレークイン(慣らし運転)をおこなうことが大切です。ブレークインとは実際に使用する条件(燃料、回転数、エンジン温度等)に、新品のエンジンを徐々に慣らしていくことを言います。混合気の濃すぎる状態(ニードルバルブの開けすぎ)やアイドリングのような低速運転を続けても意味はなく、正しい手順でおこなうことが大切です。 そこで今回は2サイクルと4サイクルの飛行機用グローエンジンを搭載した機体で、実際にブレークインをおこない、その手順を紹介していきたいと思います。
②2サイクル飛行機用グローエンジンのブレークイン
まずは2サイクルの飛行機用グローエンジンを使ったブレークインを見ていきたいと思います。以下、今回のテスト機の仕様です。
  • エンジン:O.S. MAX-55AX
  • 燃料:O.S. NITRO-X STANDARD RED 15-18
  • 機体:OK模型 キャバリエ・クラシック
  • プロペラ:APC 12×7

  • まずは初めて回すエンジンですので、各部のチェックをおこないます。



    プロペラはしっかりと締まっているか確認しましょう

    サイレンサーがきちんとエンジンに取り付けられているか確認してください。

    エンジンを機体に搭載した状態でブレークインする場合は、機体スタンドなどを使って機体をしっかりと固定した状態でおこないます。ではここからブレークインをおこなっていきます。



    ①まず、燃料を機体のタンクへ給油します。

    今回使用したのはNITRO-X STANDARD RED 15-18です。赤色が付いているので燃料の残り具合などが見やすく便利です。タンクに給油したら(燃料の液面がキャブレターのセンターより高い場合)、市販の燃料ストッパー等でキャブレターに燃料が流れ込まないようにします。エンジンを始動する直前にストッパーを解除するようにします。



    ②始動する前にグロープラグのフィラメントが赤熱するか、通電してチェックしましょう。

    ③次にニードルバルブを開きます。一度全閉にして、そこから2〜2.5回開きます。

    ④プロポの電源を入れます。

    ⑤機体の受信機の電源を入れます。

    ⑥プロポのスロットルを1/4程度開きます。

    ⑦始動する前にチョークをおこないます。

    これはエンジンを始動するために適正な量の混合気をエンジン内部に供給する必要があるためです。燃料を呼び込むために5〜6秒ほどスターターでエンジンを空転させます。


    ⑧グロープラグをブースターでプラグヒートします。

    ⑨スターターでエンジンを始動させます。

    1〜2秒ほど回すとエンジンの爆発音が聞こえてエンジンが始動するはずです。



    ⑩プラグブースターを外します。

    外した際にエンジンが止まってしまうようでしたら、約30度ニードルバルブを閉めた位置で外します。もし10回やってもエンジンが止まってしまうようでしたら、プラグブースターを外し、数分待った後、再びプラグブースターを接続してクランク(スターターを押し付ける)します。もしくは、グロープラグを取り外し、スターターでエンジンを空転させてエンジン内部の余計な燃料を排出して始動します。この際は、チョークはしないようにしてください。


    ⑪エンジンが止まらないようであれば、スロットルを全開にします。

    「ブー!」と濁った排気の状態で1分ほど運転します。プラグブースターを外すとエンジンが止まる場合は、ニードルバルブをエンジンが止まらないところまで閉じて回転を上げていってください。


    ⑫次にニードルバルブを閉めていきます。

    エンジンサウンドが「ピー!」と澄んだ排気音の状態と、「ブー!」と濁った排気音の状態の運転を10秒ほど繰り返すように、ニードルバルブを調整しながら、燃料タンク1杯分を運転してください。


    ⑬排気音を確認しながら調整する。

    調整は「ブー!」と濁った排気音から「ピー!」と澄んだ排気音の状態に変化する境界付近で不安なく連続回転が可能な回転数が得られるように調整していきます。なお、このニードルバルブ位置は「最良のニードルバルブ位置」よりも開いた位置となります。


    ⑭実際に飛行させながら調整する。

    2タンク目からは⑬のニードルバルブ位置で実際に飛行させてブレークインを続けていきます。この状態で3〜4回フライトをおこなっていきますが、ブレークイン時のフライトでは、あまり頭上げにならないように飛行させてください。また、この状態ではアイドリングも不安定で止まりやすいことを理解して、注意しながら飛行させてください。その後は徐々にニードルバルブを閉じていき、約10回の飛行を目安に最良のニードルバルブ位置になるように調整していきましょう。

    以上で2サイクルエンジンのブレークインは終了となります。

    ③4サイクル飛行機用グローエンジンのブレークイン

    次に4サイクルの飛行機用グローエンジンを使ったブレークインをおこなっていきたいと思います。基本的に2サイクルエンジンの行程と同じものになります。以下、テスト機の仕様になります。
  • エンジン:O.S. FSa-72II
  • 燃料:O.S. NITRO-X STANDARD RED 15-18
  • 機体:Futaba SkyLeaf Master
  • プロペラ:APC 13×6


  • まずは2サイクル同様、初めて回すエンジンですので、各部のチェックをおこないます。プロペラがしっかりと締まっているかチェックしてください

    次にサイレンサーもエンジンにきちんと取り付けられているか確認します。

    ①最初に燃料タンクに燃料を注入していきます。今回もNITRO-X STANDARD RED 15-18を使用します。

    ②グロープラグを取り外し、通電してフィラメントが赤熱するか確認します。

    ③送信機の電源をオンにします。

    ④受信機の電源も入れます。

    ⑤ニードルバルブを全閉にします。

    右(時計回り)に回し、止まったところが全閉です。次にニードルバルブを全閉から2.5〜3回開きます。



    ⑥次にスロットルを1/4程度開きます。

    ⑦エンジンに燃料を呼び込む。

    スターターでエンジンを3〜4秒空転させます。サイレンサーから生の燃料が少し出るくらいまで回しましょう。なお、このエンジンは構造上、手でフリップしての燃料の呼び込みやチョークはできません。始動には必ず高トルク型の電動スターターを使用してください。



    ⑧プラグブースターを取り付けてプラグヒートします。

    ⑨スターターでエンジンを始動する。

    プロペラを回転方向と逆方向へ圧縮が感じられるところまで回し次にスターターでエンジンを始動します。何か問題がない限り、これでエンジンは始動するはずです。始動したらスロットルをゆっくりと全開にして3〜4秒回していきましょう。もしこの間に回転が下がってくるようならば、ニードルバルブを1/4〜1/3回転ほど閉めましょう。



    ⑩スロットルを中速まで上げる。

    回転に問題がなければスロットルを中速まで上げ、プラグブースターを外し、ゆっくりとニードルバルブを閉めて回転を上げていきます。急にニードルバルブを閉めると、エンジンがストップしてしまうことがあります。特にエンジンが冷えている時はそのようなことが起こりやすいので注意が必要です。また、プラグヒートを外してエンジンが止まってしまう場合は、混合気が濃すぎる状態です。ニードルバルブを少し閉めてもう一度始動しましょう。



    ⑪次にスロットルを全開にする。

    次にスロットルを徐々に全開にし、ニードルバルブをゆっくりと開閉することで回転を上げたり下げたりしながら、少しずつ高速回転に慣れさせていきます。最初は低い回転から始めて、少しずつニードルバルブの絞り込み量を増やしていき、次第に高速回転の時間が長くなってきたら地上でのブレークインは完了です。目安としてはタンク2杯分くらいとなります。なお、ブレークイン時のスロットルは全開のままで、ニードルバルブの開閉で回転数を変化させるようにしてください。



    ⑫実際に飛行させながら調整する。

    ブレークイン中はエンジンのレスポンスがあまり良くありません。エンジンの回転はスロットル操作より少し遅れて付いてきます。急なスロットル操作ではエンジンがストップしてしまうこともあるので滑らかなスロットル操作を心がけ、機首上げ等の飛行はしなようにしてください。また、いつエンジンがストップしても大丈夫なように、なるべく低空の飛行は避けるようにしましょう。



    ⑬上空でのブレークイン中は滑らかなスロットル操作を心がける。

    地上でのブレークインが完了したら、次は実際に飛行させてブレークインを続けていきます。この際は、ニードルバルブをセットした状態でスロットルを閉めてもエンジンが止まらないよう、スロットルトリムを操作します。エンジン始動後は10秒ほどスロットル全開でエンジンを暖めてから離陸させます。ニードルバルブを飛行ごとに少しずつ閉めながら、10フライト目あたりに最高回転で飛行できるように調整していきましょう。最高回転で飛行できるようになったらキャブレタースロットルの最終調整をしてブレークインは完了です。

    ④まとめ
    今回は飛行機用グローエンジンのブレークインについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか?ブレークインはエンジンの性能を引き出すための重要な作業です。面倒くさがらず、新しいエンジンを使う場合はしっかりとブレークインしてあげることで、そのエンジンが持つ性能をフルに使うことができるようになるはずです。ぜひ、今回の内容を参考に、適切なブレークインをおこなったエンジンで、快適飛行を楽しんでください。

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