O.S.WEB MAGAZINE Vol.40

2021Nov.-Dec.

O.S.飛行機用ESC「OCA-3」の F3A用セッティングを紹介！

O.S.の飛行機用新型ESC「OCA-3」は発表直後に関わらず、多くの方に反応を頂いております。特にF3A競技を愛好されているフライヤーの方々から多くのお問い合わせを頂いており、本製品への期待を感じるものとなっています。そこで今回はこの「OCA-3」の各設定項目について、O.S.所属のF3Aフライヤー羽根田仁が、F3A競技向けのセッティングを紹介していきたいと思います。以下、設定の参考にして頂ければ幸いです。

F3A世界選手権に出場した実績を誇る、O.S.所属のF3Aフライヤー羽根田仁が「OCA-3」のF3A競技向けセッティングについて紹介していきます。

専用プログラマー「OCP-3」について

「OCA-3」シリーズは、専用プログラマー「OCP-3」を使ってさまざまなパラメーターを設定することが可能です。「OCP-3」は「OCA-3」専用のプログラマーとなっており、自身のフライトスタイルや機体に応じて細かい設定を施すことができます。対応モデルは「OCA-3070HV」と「OCA-3100HV」のみで、価格は4,950円（税込）となります。

「OCA-3」のF3Aセッティングについて

それでは早速ですが、各設定項目を解説とともにF3A機のセッティングを見ていくことにしましょう。
①カットオフ電圧の設定について

羽根田：カットオフ電圧は3.0Vに設定しています。初期値の3.2Vですと、上昇系の演技等の多くの電流を必要とする演技でカットが働くことを防ぐためです。
②カットオフタイプの設定について

羽根田：初期設定の「Reduct power」（出力半減）を使用しています。F3A機の場合、モーターストップ＝墜落となる可能性がありますので、カット電圧に達した際に、出力が半減してもモーターが駆動することで着陸が可能なためです。
③モーター進角の設定について

羽根田：「OMR-4043-165」の場合、0°に設定しています。「OMR-4043-165」はインナーローターモーターのため、進角がさほど必要ではありません。仮にトルク感が少なく感じる場合は、1°に設定することでよりトルクフルなフライトが可能です。
④アクセラレーションの設定について

羽根田：初期設定の100に設定しています。「OMR-4043-165」の場合は、初期値の値でリニアなレスポンスとなります。ダイレクトモーターを使用する際は100を基準にお好みのレスポンスに合わせて値を変更してください。
⑤スイッチング周波数について

羽根田：「OMR-4043-165」の場合、32kHzを使用しています。ポール数（モーターの磁石の数）が10ポール以下の場合には、32kHzを使用することでモーターがよりスムーズに回転します。
⑥モーターブレーキ量の設定について

羽根田：「OMR-4043-165」の場合、20%に設定しています。リダクションユニットの場合、減速ユニットによって降下時のブレーキが効きますので、10%から30%の範囲を基準に設定してください。ダイレクトモーターを使用する場合は、30%から60%の範囲を基準に設定してください。
⑦ブレーキスピードの設定について

羽根田：0.2秒に設定しています。設定ブレーキ量までの到達時間を設けることで、ブレーキがスムーズにかかり、スピードコントロールがよりスムーズになります。F3Aの場合は0.2秒から0.3秒を基準にお好みの値を設定してください。
⑧スタートパワーの設定について

羽根田：「Very Soft」に設定しています。リダクションユニットの場合、起動時のモーターのトルクによってベルトにダメージを与える可能性がありますので、起動時のモーターのトルク感を鈍感にし、ダメージを与えないようにしています。ダイレクトモーターを使用する場合は、初期値の「Soft」を基準にレスポンスが鈍感に感じる場合、「Hard」へ変更してください。
⑨アクティブフリーホイールの設定について

羽根田：F3Aに使用する場合は設定を「ON」にしています。アクティブフリーホイールを使用することで、降下時のスロットルポジションに対する回転数を維持します。これによって等速感のあるフライトが可能です。上空のフライト時には送信機のコンディション機能等を使用し、スロットルスティックを最スローの状態でもモーターが回転する状態にセッティングすることで効果を発揮し、最小回転数の値を変更することで好みのブレーキ量への変更が可能です。
⑩電流制限の設定について

羽根田：初期値の100%に設定しています。使用するプロペラにもよりますが、F3Aの場合、最大で90A程度ですので、制限をかける必要はありません。
⑪ガバナーの設定について

羽根田：「OFF」に設定します。F3A競技の場合、スロットルポジションに対して回転数が変動することがレギュレーションに反するため、使用していません。F3A競技以外での使用は可能ですので、使用される場合は「ON」にしてください。
⑫Min SpeedとMax Speedの設定について

羽根田：ダイレクトモーター（アウターローター）で使用する場合、Min Speedは1、Max Speedは8の初期値にします。Max Speedに関しては、使用するモーターによって値が変化しますので、8の値にてスロットル全開で回転数が最高回転数に達しない場合、数値を上げていただき、反対にスロットル全開までに最高回転数に達する場合には、数値を下げてください。
⑬ガバナーゲインの設定について

羽根田：初期値の20%にて使用します。モーターのポール数が多いほど、数値が上がる傾向となりますが初期値の状態でもフライトは可能です。
⑭スロットルの設定について

羽根田：初期設定の自動にしています。自動にすることでスロットルポジションの調整が必要なく、即使用が可能です。
OCA-3」を実際に使ってみて

羽根田：アクティブフリーホイール機能が追加されたことで、F3Aに必要な降下時のブレーキがよりリニアになり、等速感のあるフライトが可能です。ガバナー機能についてはF3Aの競技会には使用できませんが、スロットルポジションが水平飛行時のままでも、ほとんど速度を落とさずに上昇が可能になるなど、面白い機能です。

■このESCのセールスポイントを教えてください

羽根田：

従来の「OCA-170HV」「OCA-1100HV」と同様のブレーキ機能を備えており、従来品と同様の使用も可能です。さらにアクティブフリーホイール機能が追加されたことで、スロットルポジションに対してのブレーキ量をコントロールできるようになり、降下時の速度のコントロールが容易となりました。汎用とはなりますが、ガバナー機能も搭載しており、電動入門クラスからF3Aユーザーまでの幅広いユーザーに適合する商品となっております。

■OCA-3070HV■

入力信号周期：50～400Hzに対応

入力電圧範囲：14.8V-52.2V（4S LiPo-12S LiHV)

ピーク電流：90A（ 5秒 20℃ 冷却風 5ｍ/s）

最大電流：70A（ 180秒 20℃ 冷却風 5ｍ/s)

BEC搭載：BEC無し(フォトカプラーによる入力信号の絶縁）

進角設定：固定 0～25° １°単位で選択

PWM周波数：8kHz 16kHz 32kHz　選択

アクティブフリーホイール：ON/OFF

ブレーキ量設定：0～100%まで2%単位で設定

ブレーキ時間：０秒から2.0秒まで0.1秒単位で設定

電流制限：OFF/40%～120%まで5%単位で設定

ガバナー：ON/OFF（F3A競技を除く）

スロットル設定：自動/数値設定　停止位置/最大位置

外形寸法：37mm(W)x95mm(L)x16mm(H)

重量：124g(リード線 )

電源リード線：13AWG 長さ100mm シリコン被覆

モーターリード線：14AWG 長さ100mm シリコン被覆

入力信号リード線：22AWG 3-Wire (黒-赤-白) 240±10mm

設定用リード線：22AWG 3-Wire (茶-赤-橙) 140±10mm

設定方法：OCP-3によりパラメータ設定可能

保護機能：スタート保護/低電圧カットオフ/無信号時カットオフ/過熱保護/ アンチスパーク/バッテリーセル数自動認識

価格：22,220円（税込）

■OCA-3100HV■