O.S.WEB MAGAZINE Vol.38
2021 Sep.-Oct今こそチャレンジ! 憧れのエンジンヘリを飛ばそう!
ここ15年ほどの間にRCヘリはその様相を大きく変えました。一昔前まではRCヘリと言えばエンジンヘリがほとんどで、わずかに小型の電動ヘリが存在していましたが、リポバッテリーの登場と進化、そしてそれとともにモーターやアンプの改善が重なり、RCヘリは電動で飛ばす時代が到来したのです。最初は450クラスをメインとした小型~中型の機体が多かったものが、その流れはあっという間に大型ヘリまで到達し、さらにはF3Cの日本選手権や世界選手権といった舞台でも、そのほとんどが電動ヘリが主役となりました。 一方で、ここに来てエンジンヘリの魅力が再認識され、再びエンジンヘリに回帰する流れが来ています。これは、以前エンジンヘリを飛ばしていたフライヤーだけでなく、電動ヘリで入門してから初めてエンジンヘリを飛ばすというフライヤーも出てきており、各地で以前飛ばしていたエンジンヘリを再び引っ張り出すフライヤーが多くなってきているようです。

そんなエンジンヘリの魅力とはどういった点でしょうか。まずひとつはエンジンそのものの魅力です。非常に小型ながら、れっきとした内燃機関である模型用エンジンは、そのスタイル、質感、見た目を含め非常に魅力的なものです。モーターやバッテリーとは異なった、内燃機関たるカッコ良さや面白さはエンジン特有のものではないでしょうか。 また、エンジンヘリには電動ヘリとは違い、非常に細かい調整が必要なことも魅力のひとつというフライヤーも多くいます。これを「手間」と考えるか「魅力」と考えるかはフライヤーそれぞれですが、季節や場所、燃料などによって異なるニードル設定は難しい反面、バシっとアタリが出た時の快感とその後の爽快なフライトは電動ヘリにはない部分であり、ここをじっくりと楽しむのもまた、エンジンヘリの魅力のひとつと言えます。 もうひとつ、電動ヘリにはなくエンジンヘリにはあるものがエンジンサウンドです。2サイクルエンジン独特のサウンドはエンジンヘリだけの特徴で、このサウンドを聞きながらエンジンを調整していくのが楽しく、さらに上空でエンジンサウンドを響かせながら快適なフライトをする愛機を操縦するのは非常に魅力的なものです。 このように電動ヘリとはまた違った魅力があるエンジンヘリコプター。今回はそんなエンジンヘリにスポットを当てて、エンジンヘリ初心者から久しぶりにエンジンヘリを飛ばすベテランフライヤーまでぜひ読んで頂きたいと思います。

①RCヘリの機体

エンジンに対応した機体をまずは用意するところから始めましょう。初心者ならば一番小さな30クラスか50クラスで入門することをオススメします。90クラスとなるとパワーがあり座りも良いが、価格も高くなってしまい、はじめのうちは機体を壊しがちな初心者だとトータルのコストが高くなってしまいます。
②送信機

③受信機

④受信機用バッテリー

電動ヘリと異なり、エンジンヘリは受信機用の電源を用意する必要があります。Nicd(ニッカド)バッテリーを使うことが多いが、最近では受信機用バッテリーにLiFe(リフェ)バッテリーやLiPo(リポ)バッテリーを使うシーンも増えてきました。
⑤ヘリ用エンジン

⑥グロー燃料

⑦燃料タンク

⑧燃料チューブと周辺アイテム

⑨サーボ

⑩ジャイロ

⑪マフラー

⑫ローター

⑬エンジンスターター

⑭プラグヒーター

⑮ピッチゲージ

エンジンヘリを楽しむ上で必ず覚えなくてはいけないのが、エンジンの始動とニードル調整の方法です。始動方法はそれほど難しくなく、一度覚えてしまえば問題ありませんが、ニードル調整に関しては経験がモノを言う部分があり、飛ばす場所や季節、燃料などによって細かい調整が必要となってきます。 RCヘリのニードル調整については飛行機と異なり一度浮かせてみないと分からない部分が多く、まずはエンジンを始動してホバリングをしてみて、機体の挙動やサウンド、排気の量などでエンジンの状況を判断し、それに応じたニードル調整をしていくことになります。このあたりは基本となるポイントを押さえつつ、少しずつ調整をかけていってエンジンの具合を見ながら経験を積むのが、エンジン調整のベテランになるための一番の近道です。エンジンは生き物と言う方もいらっしゃいますが、季節が変わるとそのセッティングもまったく異なってきます。その違いを楽しみながらセッティングを施していってみてはいかがでしょうか?O.S.ではエンジンヘリコプターをフライトさせるノウハウを集約した「O.S.HELICOPTER WORLD」をPDFで公開しております。是非参考にしてください。

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■ヘリ用エンジンの始動方法














④ヘリ用エンジンのニードル調整方法


混合気が「薄い」場合のニードル調整


グローエンジンの燃料として使用されているグロー燃料。その主成分はメタノール、ニトロメタン(ニトロ)、オイル、添加剤で構成されています。引火性が高く、さらに揮発性が高いメタノールを主成分として、ニトロを加えることで混合機を濃いめにすることができ、結果的に多くの燃料をエンジンに注入することができるためパワーが出るようにすることができます。
オイルは燃料内に入れておくことで、エンジン内の各部が円滑に動くようにするために入っています。このような成分でできているグロー燃料はその種類によって飛行機用やヘリ用、RCカー用といったジャンルで分かれており、さらにニトロとオイルの比率を変えたものや、オイルの種類や粘度を変更したものなどがラインナップされており、自分のフライトスタイルに応じたグロー燃料を使うことが大切です。
さて、グロー燃料の種類を変えた場合、エンジンのセッティングはどうすればいいのかご存知でしょうか。答えから先に申しますと、燃料を変更したら必ずニードル調整をおこなわなくてはいけません。これはオイルの成分が変わるためで、実際に燃料を変えてエンジンを始動してみると、それまでアタリの出ていたエンジンでもまったく調子が狂っていることがあります。
グロー燃料の選び方はいくつかありますが、初心者ならばスタンダードなものを使うのが良いでしょう。スタンダードな燃料は扱いやすくできており、何より価格がリーズナブルなので、思う存分練習をおこなうことができます。 一方で、上達してくると飛ばしていてもう少しパワーが欲しいと思うようになることもあるでしょう。そのような際はニトロが多く入ったパワータイプの燃料を使うこととなります。ニトロが多いと混合気が濃い目で飛ばすことができさらにパワーを出すことができます。また、30クラスのような小型エンジンの場合、高ニトロの燃料を使うとパワーを得ることができ、さらにオーバーヒートしにくいので、意図的にニトロが多めの燃料を使う方もおります。
グロー燃料は、種類を変えてみて飛ばし比べをするのも面白く、その都度ニードル設定をすることであらゆる場面や燃料に対応できるようになります。ひとつの燃料に固執せず、柔軟にさまざまな燃料を試してみるのもオススメです。





エンジンヘリコプターはエンジンが奏でるエキゾーストサウンドや鼓動、排気の匂いなど電動ヘリコプターには無い五感に感じる魅力があります。その半面エンジン調整や燃料のチョイス、メンテナンス等フライトまでにある程度の経験を必要とする作業も必要です。
今年もラジコンを飛ばすには最高の季節になりました。是非この機会に魅力的なエンジンヘリコプターにチャレンジしてみてはいかがでしょう。