O.S.WEB MAGAZINE Vol.36
2021 Aug.ラジコン飛行機におけるエンジン搭載方法の種類と特徴
ラジコン飛行機に搭載されたエンジンを見ると、実にさまざまな形で搭載されていることが分かります。機体のタイプそのもので搭載方法が異なったり、いろいろな理由で本来とは異なる搭載方法を試したり…実はエンジンの搭載方法は非常に奥が深いのです。電動飛行機の場合は、現在ではアウターランナー式のブラシレスモーターが主流のため、回転しないバックプレートなどにマウントを取り付け、スペーサーを介して機体の防火壁へとボルト止めする方法が一般的で、モーター搭載時にはリード線の方向に気遣う程度です。しかし、エンジン機の場合には、クランクケースから大きく張り出したシリンダーと、排気ガス排出する大きなマフラーを、機首にどう納めるかが大きなポイントとなります。 そこで今回は、ラジコン飛行機におけるエンジンの搭載方法の種類とその特徴について紹介していきたいと思います。エンジンのドライブシャフトを中心に、シリンダーの角度を上向きに搭載した状態を「正立」と呼びます。初心者用のトレーナー機の場合に、外観よりもプラグヒートやチョークなど、エンジンの始動性や取り扱い易さを重視するため、機体からシリンダーが大きく露出する場合でも、正立に搭載することが多くあります。エンジンを真上から触ることができ、機体によってはエンジンが大きく露出しているので調整が非常に容易です。外観的にはやや他の搭載方法より劣ってしまうことは否めませんが、オーバーチョークになりにくく、プラグヒートやニードル調整もおこないやすいため、初心者のうちはエンジンが正立で搭載される機体がオススメです。


正立とは反対に、エンジンのドライブシャフトを中心に、シリンダーの角度を下向きに搭載した状態を「倒立」と呼びます。この搭載方法は、プラグヒートを接続する時に機体をひっくり返すなどの手間が生じるなど、エンジン始動にコツを要しますが、スタイル重視の搭載方法となっており、エンジンのカウリングからの露出を抑えることができます。特にスケール機の場合は、エンジンがカウリングからなるべく露出しないように、倒立を選択するフライヤーが多くいます。また、一昔前のスタント機の場合には、2ストロークエンジンを倒立に搭載している機体が多く、エンジン始動時には、機体を背面状態にしておこなうのが普通でした。空力性能を重視して、エンジンを倒立とし、チューンドサイレンサーも細い胴体内に納めていた時代が懐かしがるフライヤーの方も多いのではないでしょうか。
倒立で注意したいのは、点火プラグがシリンダー下方に位置するため、プラグが濡れてオーバーチョークになりやすい点です。特に2ストロークエンジンの場合には、排気口がシリンダー側面に位置しているため、倒立の状態だとシリンダー内に入り込んだ生の燃料を排出することができないため、いわゆる「燃料圧縮」状態になりやすいです。その場合には、機体を持ち上げてエンジンの排気口が下向きになるように回転させ、プロペラを手で回して余分な燃料を排気口から排出してあげるようにしましょう。なお、4ストロークエンジンであれば、バルブがヘッドにあるので余分な燃料は排出され、エンジン始動は容易になります。


エンジンのドライブシャフトを中心に、シリンダーの角度を横向きに搭載した状態を「サイドマウント」や「横置き」と呼びます。サイドマウント方式は、2ストローク、4ストロークとも排気口が下向きとなるため始動がやりやすく、オーバーチョークにもなりにくく、取り扱いも容易なため、アクロ機やスポーツ機などに広く用いられています。サイドマウントは2ストローク、4ストロークともエンジンの取り扱い自体は容易な搭載方法となります。


さて、模型用エンジンには大きくグローエンジンとガソリンエンジンの2種類があります。このうち、ガソリンエンジンを搭載する際は、グローエンジンにはない注意しなくてはいけないポイントがいくつかありますので、併せて紹介していきたいと思います。 ガソリン機のエンジン搭載方法には、グローエンジンに多く見られるような、クランクケース横のビームマウントを機体側のエンジンマウントに乗せてボルトで固定する形ではなく、エンジン後方のバックプレートに設けられたフランジを、棒状のスタンドオフエンジンマウントを介して機体の防火壁へと取り付ける方式が多く採用されています。O.S.のガソリンエンジンではGT33,GF40,GT60,GT120Tがこの方式を採用しています。 これは、ガソリンエンジンのキャブレターがグローエンジンと比較して大きく、クランクケース後方に設けられているものが多く、充分な吸気スペースの確保とメンテナンス性、およびスロットルリンケージを考慮した場合に、この方式がもっとも適しているからです。 エンジンを搭載する際には、グローエンジンと同様に、ドライブワッシャのプロペラ取り付け面から防火壁までの長さを計測し、カウリングの寸法と合わせてスタンドオフエンジンマウントの長さを調節する必要があります。スタンドオフエンジンマウントは、さまざまな長さのものが用意されていますので、その中から選定して取り付けるようにしましょう。 また、ガソリン機のエンジン搭載時には、振動対策と、イグナイターによるノイズ対策が必要となります。特に気を付けなければならない点としては、各部のボルトの緩みとサーボリード線など配線の固定です。ボルトの緩みに関しては、ネジロック剤などを使用することと、毎飛行後に各部の点検を確実におこなうことが大切です。 さらに、ガソリンエンジンのイグナイターによるノイズ対策としては、イグナイターを受信機からなるべく遠ざけた位置に取り付けることをお勧めします。


→製品詳細ページへ
今回は飛行機用グローエンジンの搭載方法とその特徴、そしてガソリンエンジンを搭載する際の注意点を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?コンテンツ2ではO.S.純正グローエンジン用ラジアルマウントの一覧を掲載しておりますので合わせて参考にしてください。 コンテンツ2へ←
搭載方法は一長一短ありますので、機体に合った搭載方法を選んで、快適に飛行を楽しめるようにしましょう。