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O.S.WEB MAGAZINE Vol.62

2023 Dec.-2024 Jan

飛行機用グローエンジンの正しい始動方法

寒い季節も本番になってきましたが、皆さんの愛機のエンジンの調子はいかがでしょうか?正しい始動と調整がおこなわれたエンジンはしっかりとしたパフォーマンスを発揮し、快適な飛行が楽しめるはずです。 さて、今回はそんな飛行機用グローエンジンの適切な始動方法とその調整法についてみていくことにしたいと思います。エンジンは順序を守って正しいプロセス行わないと決して始動することはありません。逆の意味では、どうしても始動しない場合は、その原因となる点を消去法で潰していき、ひとつひとつチェックしていくことで原因が究明できます。これを手間だと思わず、こういった過程も含めて模型用エンジンの魅力と思っているフライヤーも多くいらっしゃいます。 始動と調整は一度覚えてしまえばずっと使える知識で、決して難しいものではありません。ぜひこの機会に、電動だけでなくエンジン飛行機に挑戦し てもらえれば嬉しく思います。

機体に搭載されたグローエンジン。今回はそんな飛行機用グローエンジンの始動と調整を見ていきます。
POINT①:グローエンジンを始動するために必要なアイテム
電動飛行機の場合には、正しい手順によって充電されたリポバッテリーを搭載し、電源を接続すれば、スイッチひとつで手軽にRC飛行機の操縦を楽しむことができますが、内燃機関であるグローエンジンを始動するためには、エンジンの始動用具が必要です。 始動用具として、まず必要となるのが機体に燃料を給油するための燃料ポンプです。Uコン機など、燃料搭載量が数10cc程度と小さい場合には、チョークポンプや大型の注射器などでも間に合いますが、数100㏄の燃料タンクを搭載しているラジコン飛行機の場合には燃料ポンプが必需品となります。

グロー燃料を給油するための燃料ポンプ。手動や電動式のポンプがあり、好みや機体の大きさによって使い分けます。

燃料ポンプには、電動式や手回し式のものがありますので、大型機の場合には電動を、小型機の場合には手回し式といったように、用途と好みによって選べば良いのですが、気を付けなければならないのは使用する燃料の種類で、グロー燃料の油種に対してポンプが適合しているかを確認しておくようにしましょう。また、燃料を送るチューブも同様で、グロー燃料であればシリコンチューブを、ガソリンであればビニール製やネオプレンゴムのものを使用する必要があります。 次に、グローエンジンの始動に欠かせないのが「プラグヒート」です。最近では電源の種類もさまざまなものがあり、12ボルトバッテリーやリポバッテリーから電源を取るものや、充電式電池を使用するポケットブースター、通電の状況やオーバーチョークなどプラグの状態が一目でわかるパルス式のものなどが各メーカーによって販売されているので、自分のスタイルに合わせたものを選ぶようにしましょう。

充電式バッテリーを組み込む「ポケットブースター」と呼ばれるプラグヒート。携帯に便利だが、長時間の使用には注意が必要です。

また、機体にプラグヒートを搭載し、プロポのスイッチ操作によって「オン」「オフ」をおこなえる方式のものもあります。この場合、エンジンスローでプラグヒートが「オン」となるようにしておくと、エンストなどの心配も少なくなるという利点があります。 さらに、エンジン始動用の電動スターターについても、最近ではバッテリーの進化によって、コンパクトなバッテリー式のスターターでもほとんどのサイズのエンジンを始動することが可能です。

電動のエンジンスターター。最近のものはどれも小型で強力なものが揃っています。
上記の燃料ポンプ、プラグヒート、電動スターターに加え、プラグレンチなど手工具をひとつにまとめて、始動用具として持ち運べるようにしておくと便利でしょう。


始動用具ではないですが、始動するためにはグロー燃料が必要です。O.S.では高品質のグロー燃料「NITRO-X」を発売中です。

POINT②エンジン始動の方法
では、ここからは実際にグローエンジンの始動を順を追って見ていきたいと思います。まず、エンジンをスタートする際は必ずスターターを使い、手で回して始動するようなことは絶対にやめましょう。 さて、グローエンジンに限らず、内燃機関でよく言われているように、エンジンの始動には「良い圧縮」「良い混合気」「良い点火」の3要素が重要であり、このなかのひとつでも欠けるとエンジンは始動しません。逆に、この3要素すべてを良い状態にすることで、エンジンは簡単に始動します。 グローエンジンを始動する前に、機体の大小にかかわらず、安全対策として機体飛び出し防止用の杭が使用できる状況であれば、ぜひ利用するようにしましょう。

まずはタンクに燃料を満タンに入れていきます。

グローエンジンの基本的な始動方法は、まず燃料を満タンに給油し、ニードルバルブを2~3回開きます。次に、プラグヒートを接続しない状態でスロットルを2~3コマ上げ、電動スターターで5~6秒程度回して燃料をタンクからエンジンのキャブレターへと呼び込みます。燃料パイプが見えず、燃料の動きが判らない場合には、電動スターターで回しているエンジンの「音」を注意して聴いていると、燃料が廻って潤滑油がエンジンに行き渡った時点で「音」が変わり、回転が滑らかになるのが分かるはずです。

プロポと機体の電源を入れ、スロットルスティックを2~3コマ上げておきます。


プラグヒートせず、スターターでプロペラを回転させ、燃料を呼び込みます。

燃料がエンジン内に廻ったならば、プラグヒートを接続し、プロペラをしっかりと持って回してみて、上死点付近で「コツン」とショックがくれば、プラグと燃料の状態が良い証拠で、エンジンはすぐに始動する状態になっています。 この状態で、スロットルを最スローから数コマ上げたところで、電動スターターでエンジンを回すと、エンジンはすぐに始動するはずです。エンジンが始動したならば、暖まって回転が安定するまで数秒ほど様子を見て、安定しているようであれば徐々にスロットルを上げ、中スロー位まで回転を上げたところでプラグヒートを外し、エンジンの始動は完了となります。

次にプラグヒートをして、スターターでエンジンを回します。順調であればここでエンジンが始動するはずです。


エンジンが始動したら、プラグヒートを外してエンジンが止まらないかチェックします。

POINT:③グローエンジンの調整方法 
電動飛行機では味わうことのできない部分として、エンジン飛行機には内燃機関であるエンジン始動の儀式も含め、気圧や湿度といった天候にも左右される繊細な模型エンジンを、毎回最高の状態に調整するという楽しみがあります。 模型用エンジンを、アイドリングから最高回転の状態まで、エンストの心配もなく、スロットルスティックの動き通りレスポンスよく運転するためには、どの回転域においても最適な混合気に調整することがポイントであり、その調整をおこなう作業がニードル調整になります。

エンジンが始動した調整をおこないます。エンジンの調整はニードルバルブを開いたり閉じたりして、混合気の濃さを調整していきます。

グローエンジンの一般的な調整方法は、エンジンを始動し、回転が安定したところで徐々にスロットルを上げて行き、フルハイの状態で、まずは最高回転のニードル調整をおこないます。このときのポイントは、ニードルをゆっくりと閉めていき、最高回転になったところから、必ず2~3コマ戻すことです。戻す量については、エンジンや燃料によってもさまざまですが、一般的には数コマ戻す程度です。これは、地上から上空へ上がると、混合気は若干薄くなるためで、地上ではわずかに混合気を濃い状態に設定しておく必要があるためです。

上空では混合気は若干薄くなるため、ニードルをゆっくりと閉めていき最高回転になったところから、必ず2~3コマ戻すのがポイントです。 O.S.YouTubeチャンネルで動画をUPしていますので参考にしてください。

最高回転が安定したならば、次に低回転域の調整をおこないます。アイドリング状態で10秒程度待ってから、スロットルスティックをすばやくハイにし、多めの排気煙を出しもたつきながら吹き上がる場合には、混合気が濃い状態ですので、スロー調整ネジを回して薄くしていきます。また、音に力がなく息をついて吹き上がるか、エンストする場合には、逆に混合気は薄いので、スロー調整ネジを回して濃くしていきます。この作業を繰り返し根気よくおこなうことがポイントです。

O.S.YouTubeチャンネルでニードル調整の動画をUPしていますので参考にしてください。
まとめ

しっかりと調整のついたエンジンは最高のパフォーマンスを発揮し、快適な飛行を約束してくれます。ぜひ正しい始動と調整方法を覚えてみてください。

今回は飛行機用グローエンジンの始動と調整方法について見ていきました。エンジンは気候や場所などによってさまざまな姿を見せます。しかし、アタリの出たエンジンは最高のパフォーマンスを発揮してくれて、快適な飛行が楽しめるはずです。ぜひ、今回の記事を参考にグローエンジンの始動と調整方法を覚えてください。

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