O.S.WEB MAGAZINE Vol.56
2023 April.エンジン機を飛ばすなら知っておきたい 飛行前・飛行後のメンテナンス!
そんなグローエンジン機ですが、快適なフライトをおこなう上では、メンテナンスが欠かせません。しっかりとしたメンテナンスがあってこそ、エンジンは長くその性能を発揮してくれるのです。
そこで今回は飛行前と飛行後のエンジン機のメンテナンスについて、紹介していきたいと思います。
飛行前のメンテナンス

①機体各部のねじの緩み
エンジン機は電動機と比べるとどうしても振動が大きく出る傾向にあります。そのため、飛行中の振動で機体各部のねじに緩みが生じている時があります。そのまま飛行させてしまうと非常に危険ですので、飛行前に必ず緩みがないかチェックして、緩んでいる箇所は締め直しておきましょう。 特にエンジンの振動を直接に受けるエンジンマウントや防火壁周辺は、しっかりと確認して劣化していないか見ておきましょう。
また、サーボも小さいねじで止まっていますので緩みが生じやすく、空中でサーボが動いてしまうのは墜落に直結しますので、しっかりと締めておくようにしてください。

②燃料の配管
エンジン機特有の問題として、エンジンと燃料タンクの配管に問題があり、エンジンが点火しないトラブルがあります。 まず考えられるのがシリコンチューブのつぶれです。機体の狭い部分を配管しますので数本が互いに干渉して折れ曲がっている場合は、なるべく短い距離でシンプルに配管をすることで折れ曲がりを防ぎます。
また、配管途中にピンホールがある場合もトラブルになりがちです。目に見えない位いのピンホールでも確実にエアーを吸います。燃料ポンプ等で圧を掛けると吹き出しますのですぐ分かります。こうなっていたらすぐに交換してください。
燃料タンクそのもので問題が起こっていてもエンジンは点火しません。内部燃料パイプがキンク(折れ曲がり)していたり、吸い口のオモリが脱落していたり、内部チューブが劣化して穴が開いている、といったことが考えられます。こういった場合は、いちどタンクを下ろして調べるようにしましょう。

③プロペラの取り付け
プロペラも飛行前にチェックしたいポイントのひとつです。 ほとんどの場合、ナットが緩むと一瞬にしてエンジンは止まります。それはフライホイール効果がなくなるからで、スピンナーが付いている場合はそのまま落下して来ます。また、エンジン始動時に起こすと非常に危険ですので、飛行前に確認して、必要であれば増し締めをおこないましょう。

④プラグの状態
グローエンジン機ではプラグを赤熱させて、その熱で燃料が着火し、以降はその余熱で爆発を繰り返します。そのプラグが断線していたりすると、そもそも着火しませんので、エンジンは始動しません。プラグは消耗品ですので、エンジンが点火しないようでしたら取り外してみて状態を確認します。もし、ヒートしないようでしたらすぐに交換しましょう。
飛行後のメンテナンス

①防錆剤の注入
エンジンは飛行後にメンテナンスをおこなわないと、すぐにエンジン内部に錆が発生してしまいます。このため、飛行後はエンジンを空回しして内部に残った燃料や排気ガス成分を完全に排出した後、防錆剤として「O.S.SPEEDメンテナンスオイル」をキャブレターやエンジンの排気口から数滴注入し、エンジンをクランクして内部に行き渡らせます。燃料の主成分、アルコールは水との親水性が非常に高く、習慣的に燃料を抜かないでいると金属部が錆びてしまいますので、このメンテナンスは必ずおこないましょう。
エンジン内部の残存オイルはそれ自体が酸化していますので錆の原因になりがちです。エンジンを下にして保管した場合は一番錆びやすいクランクシャフトベアリングをオイルに漬けた状態になります。この方法で保管する場合は燃料タンクから燃料を抜き取り、飛行後エンジンをアイドリング状態でエンジン内部の燃料を完全に使い切るようにして、クランキングをしてエンジン内部に残っている燃料を廃出後、メンテナンスオイルを注入して再度クランキングをしてメンテナンスオイルを充分にエンジン内に回してください。そうする事によりベアリング部分にメンテナンスオイルが溜まり錆の進行を遅らせる事ができます。

②機体各部の確認
飛行前と同様、エンジンの振動でねじが緩んでいないか、搭載しているメカはしっかりと取り付けられているか確認します。また、着陸時の衝撃でランディングギアにダメージはないか、プロペラが地面に擦って先端が欠けていないか、など細部まで確認しましょう。

③機体の拭き取り
飛行後のエンジン機は、飛行中にエンジンから出る排気で機体全体に排気オイルがベットリ付いている場合がほとんどです。もちろんこのままでは機体に悪影響が出ますので、飛行後はしっかりと拭き取りましょう。機体の油分を取り除くには、油分を分解するガラスクリーナーのようなもので、フィルムや塗装面を傷めない柔らかい生地のきれいなウェスを使って機体を清掃します。特にマフラーから排気が直接当たる部分はよく拭き取るようにしましょう。

④機体の保管
自宅ではエンジンを下にした状態で機体を立て掛けておく方も多いと思います。。この時にエンジン内部に燃料や燃焼後の残存オイルが残っていると一番錆びやすいクランクシャフトベアリングが残存オイルなどに漬けた状態になります。この方法で保管する場合は燃料タンクから燃料を抜き取り、飛行後もエンジンをアイドリング状態でエンジン内部の燃料を完全に使い切り、メンテナンスオイルを注入して保管してください。
そうする事によりベアリング部分にメンテナンスオイルが溜まり錆の進行を遅らせる事ができます。

③まとめ
今回はエンジン機での飛行前と飛行後の確認とメンテナンスについて見てきました。エンジン機は確かに電動機と比べるとメンテナンスが多く必要ですが、そのメンテナンスも含めて模型用エンジンの魅力となっています。快適な飛行をおこなうために、日頃からのメンテナンスをぜひよろしくお願い致します。