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O.S.WEB MAGAZINE Vol.54

2023 Feb.

知っておきたい空用ガソリンエンジンの基礎知識

近年、電動飛行機を中心に飛ばすラジコンフライヤーが多くなっているなかで、スケール機マニアなど、エンジンの排気音も含めて楽しむ、根強いエンジン機派も多く、特に最近では、模型用として広く普及しているグローエンジンに加え、小型の模型用ガソリンエンジンを搭載したいわゆる「ガソリン機」を楽しむフライヤーも増えてきています。 今回は、そんなガソリンエンジンを扱う上で覚えておきたいポイントをまとめてみました。どれも、ガソリンエンジンを扱うならば覚えておいて損のない知識ですので、早速紹介していきたいと思います。


機体に搭載されたガソリンエンジン。グローエンジンとは異なったフライヤー心をくすぐる魅力に満ちあふれています。

①ガソリンエンジンのメリットとデメリットについて
模型用として広く使用されているグローエンジンは、構造が単純で、燃料も比較的安全なアルコールを主成分としたグロー燃料が使用され、複雑なキャブレターやスパークプラグの点火装置も不要なため、小型軽量かつ高出力のエンジンが数多く製作され、古くからラジコンフライヤーに愛用されています。 一方、ガソリンエンジンはグローエンジンと比較して引火性の高いガソリンを燃料とし、燃焼温度も高いために、エンジンの冷却フィンも大きくする必要があり、エンジン自体が大きくなりがちです。また、点火栓としてスパークプラグを使用するため、プラグにスパークを発生させるための高電圧を作り出す点火装置やその電源となるバッテリーなど、エンジン自体の重量に加え、付属部品の重量も加算されるため、ガソリン機のパワーユニットはグローエンジンよりも重くなる傾向にあります。 また、スパークプラグの構造からプラグの小型化にも限度があり、従来では重量と出力のバランスから、小型のガソリン機としては20cc前後が限度でした。しかし、30ccを超える排気量になると、重量と出力のバランスが解消され、それ以上の排気量のグローエンジンが極端に少なくなることからも、ガソリンエンジンは大型機用のパワーユニットとして定着しています。 一方で、最近では小型軽量化の技術の発達により、4ストロークグローエンジンのパーツを利用してガソリンエンジンにしたものや、30cc以下の小型ガソリンエンジンの軽量化に加えてパワーが向上し、小型のガソリン機でも充分に楽しむことができるレベルになってきています。 さらに、ガソリンエンジンは燃費がいいことに加え、燃料となるガソリンと混合用の2サイクルオイルを合わせても、グロー燃料と比較すると価格が安く、約1/5以下というランニングコストで済んでしまうため、大型機を楽しむフライヤーほど、コストパフォーマンスに優れ、始動も簡単でエンストもしにくいガソリンエンジンのメリットは大きいのではないでしょうか。


大型機用のパワーユニットとして愛用されているガソリンエンジン。近年はガソリンエンジンも軽量化が進んでいます。


燃費の良さと燃料そのものがリーズナブルなこともあり、ガソリンエンジンはコストパフォーマンスに優れています。

②エンジンの点火方式の違い
O.S.のラインナップにあるグローガソリンエンジンは、イグナイターを使用せず、専用のガソリン用グロープラグを用いて点火する方式となっていますが、従来から使用されている一般的な模型用ガソリンエンジンの点火方式には、大きく分けて次の二つの方式があります。 まずひとつが、古くから使用されているマグネット点火方式です。マグネット点火方式とは、エンジンのフライホイールに取り付けられたマグネットが、フライホイールの回転に伴って、わずかなすき間を隔てて取り付けられているイグニッションコイルなど点火装置側のマグネットを通過する際に、マグネット間で発生した電気を1次コイルへと供給します。 それを点火装置で増幅して高電圧を発生させ、イグナイターで回転位置を検出し、適切なタイミングでスパークプラグに高電圧を送り、プラグの電極間で発生するスパークにより点火させる方式です。この方式の場合には、フライホイールの回転から発電をおこなうため、点火用のバッテリーを必要としないのが特徴です。 もう1つの点火方式であるバッテリー点火方式は、マグネット点火方式に対し、イグニッションコイルの1次コイルへの電気の供給を、バッテリーから得る点火方式で、本来、模型用のガソリンエンジンでは、プロペラがフライホイールの役割をするため、大きく重いフライホイールは必要としません。したがって、バッテリー点火方式のエンジンのほうが重量的に軽くできるため、現在ではほとんどのガソリンエンジンはこの方式となっています。 これらの点火方式によって、スパークプラグの中心電極と接地電極の、0.6~0.8mmのすき間に高電圧による火花を発生させ、その火花によって圧縮された混合ガスに引火して爆発させ、エンジンを回転させています。


バッテリー点火方式のエンジンの場合には、別に高電圧を作り出すCDIと、CDIに電力を供給するためのバッテリーが必要となります。

③2ストロークと4ストロークの特徴と違い
グローエンジンやガソリンエンジンを問わず、2ストロークエンジンと4ストロークエンジンの構造的な違いとは、2ストロークエンジンでは、クランクケース内の圧力変化を利用して給気するため、クランクシャフトに開けられた穴や、キャブレター後方に取り付けられた板状のリードバルブを吸気バルブとし、ピストンが下がると開くようにシリンダー下部に設けられた開口を掃気および、排気口としているのに対し、4ストロークエンジンではシリンダーヘッドに吸、排気バルブを設け、クランクシャフトの回転をカムとコンロッドを通じてタペットに伝え、タイミングよくバルブを開閉する、いわゆるOHV方式が多く使われています。 次にそれぞれのエンジン内部での動作を見ていきましょう。2ストロークエンジンの動作は、①混合気の吸入→②圧縮・点火→③膨張→④掃気・排気の4つの工程をクランクシャフトが1回転する間におこなっています。 一方、4ストロークエンジンの場合には、①混合気の吸入→②圧縮→③爆発→④排気の4つの工程を、クランクシャフトが2回転する間におこなうようになっています。つまり、2ストロークエンジンが1回転に1回爆発しているのに対し、4ストロークエンジンでは2回転に1回の爆発しかしていないことになります。


同じ排気量のエンジンであれば、2ストロークの方がより高回転で大きなパワーを発揮するのに対し、4ストロークエンジンの場合は低い回転数で大きなトルクを発生する特性があることになります。ですので、大型機でより大きなパワーを求めるならば2ストロークを、スケール機で実機のようなメカニカルな雰囲気と、マイルドな排気サウンドを求めるならば4ストロークエンジンを選ぶフライヤーが多くなっています。


2ストロークガソリンエンジン(左)と4ストロークガソリンエンジン(右)。見た目は大きくは変わらないものの、その中身はかなりの点で異なっている。

④ガソリンエンジン搭載時の注意点
ガソリン機のエンジン搭載方法には、グローエンジンに多く見られるような、クランクケース横のビームマウントを機体側のエンジンマウントに乗せてボルトで固定する形ではなく、エンジン後方のバックプレートに設けられたフランジを、棒状のスタンドオフエンジンマウントを介して機体の防火壁へと取り付ける方式のものが多くなっています。 これは、ガソリンエンジンのキャブレターがグローエンジンと比較して大きく、クランクケース後方に設けられているものが多く、充分な吸気スペースの確保とメンテナンス性、およびスロットルリンケージを考慮した場合に、この方式がもっとも適しているからです。 エンジンを搭載する際には、グローエンジンと同様に、ドライブワッシャのプロペラ取り付け面から防火壁までの長さを計測し、カウリングの寸法と合わせてスタンドオフエンジンマウントの長さを調節する必要があります。スタンドオフエンジンマウントは、さまざまな長さのものがありますので、その中から選定して取り付けるようにしましょう。 また、ガソリン機のエンジン搭載時には、振動対策と、スパークプラグによるノイズ対策が必要です。さらに、特に気を付けなければならないのは、各部のボルトの緩みとサーボリード線など配線の固定です。ボルトの緩みに関しては、ネジロック剤などを使用することと、毎飛行後に各部の点検を確実におこなうことが重要です。 配線に関しては、胴枠に開けた穴を通す貫通部などで配線を保護するための配慮が必要で、貫通穴のバリを取り除き、ゴム製グロメットなどを使用すると確実です。穴開け部は鋭利な刃物のような状態となっていることが多く、これにエンジンの振動が伝わると「超音波カッター」と同じような効果により、簡単に配線を切断してしまうことになります。 また、ガソリンエンジンのスパークプラグによるノイズ対策としては、受信機をエンジンからなるべく遠ざけた位置に取り付けることと、長いリード線には、中間にフェライトコアなどを取り付けることが有効です。
ノイズ対策としては、長いリード線には、中間にフェライトコアを取り付けた例。ガソリンエンジンはノイズ対策をしっかりとおこないたい。


ノイズ対策としては、長いリード線には、中間にフェライトコアを取り付けた例。ガソリンエンジンはノイズ対策をしっかりとおこないたい。

⑤ガソリン機の燃料タンクと配管について
ガソリン機の燃料には、草刈り用の2ストロークガソリンエンジンを搭載した刈り払い機と同様に、潤滑用のオイルを混ぜた混合ガソリンを使用することとなりますが、ここで注意しなければならないことは、アルコールを主成分としたグロー燃料とガソリンとでは、その耐油性の違いから、燃料タンクやエンジンへの配管に使用する燃料パイプの材質が異なり、グローエンジン機用の燃料タンクはガソリン機には使用できないという点です。 模型用としてグローエンジンに広く使用されているシリコンチューブは、メチルアルコールを主成分とするグロー燃料にはすぐれた耐油性を持っていますが、石油系のガソリンに対しては非常に弱く、もし間違って使用した場合には、短時間で侵され膨潤してしまうでしょう。 ガソリンエンジンを搭載した機体の配管には、タイゴンやニトリルゴム、ビニールチューブなど、石油系燃料に耐性のあるものを使用し、燃料タンク本体のポリエチレンは大丈夫なので、タンクキャップのアルミパイプを貫通させるゴムや、タンク内のオモリへと繋がる取り出し用チューブには、ニトリルゴム製のガソリン専用のものに交換する必要があります。 また、ガソリン機の場合には、適切な素材による配管をおこなっても、時間の経過とともにチューブが硬くなり、燃料漏れや接続部から抜ける可能性があるため、接続部は結束バンドなどで固定し抜け止め処理をするとともに、チューブを半年から1年おきに点検または交換する必要があります。 機体に搭載する燃料タンクの大きさは、ガソリンエンジンはグローエンジンに比べて燃費が良いため、グローエンジン機の約3分の2程度の大きさでよく、30ccクラスの機体で320~380cc、50ccクラスの機体で550~750cc程度のもので充分に飛行を楽しめます。 さらに、ガソリンエンジンに広く使われているダイヤフラム式キャブレターは、小さな穴が多くゴミに対して繊細なものであるため、エンジンへの供給ラインには、ガソリン対応の高性能フィルターを使用することも覚えておきましょう。
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ガソリンエンジンには、指定のオイルを使用する。一般的には、高グレードの2サイクルオイルとガソリンを、エンジンメーカーの指定の比率に混合したものを使用します。


ガソリンエンジンでは燃料タンクや燃料チューブについて、耐油性の違いからグローエンジン用は使用せず、必ずガソリンエンジン用のものを使うようにしましょう。

⑥まとめ
今回はガソリンエンジンを使用する際に覚えておくと便利な基礎知識をまとめて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?今回の基礎知識をベースに、しっかりとガソリン機を作り上げ、多くの魅力に溢れたガソリンエンジンで、ぜひ快適で力強いフライトを堪能してください。

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