O.S.WEB MAGAZINE Vol.27 2020 Oct.-Nov.

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O.S.新製品情報 MAX-12TG Ver.4

初心者でも分かる! グローエンジントラブルシューティング

難しいことは一切なし!GPカーを楽しもう! 第3章:エンジンメンテナンス編

新開発の産業用ドローン向け搭載型発電機! O.S.PROFESSIONAL「GT33REUレンジエクステンダー」

初心者でも分かる! グローエンジントラブルシューティング

はじめに

皆さんのエンジンは順調に回転していますでしょうか?最近の模型用エンジンは一昔前のものと比較して、非常に精度が良くなっており、故障も少なくなってきています。 それでもさまざまな要因でエンジンにトラブルが生じることがあります。そんな時に慌てず対処できるよう、今回はグローエンジンのトラブルシューティングをまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください!

トラブル1:エンジンが始動しない

①燃料がキャブまで来ていない
いくらクランクをしても燃料到達しない、もしくはニードルが最適な状態で燃料が引ききれないときは、2ストロークエンジンの場合、いったんプラグヒートを外し、キャブのドラムを全開にして吸入口を指でふさぎながら正回転方向にゆっくりクランクしてみてください。もしくは2ストローク4ストロークともに排気口を指で塞いでしても同じ効果となります。 燃料がキャブレターまで到達していないとエンジンは始動しません。
②燃料が入り過ぎて始動しない
いわゆるオーバーチョークです。この状態でスターターでエンジンを回した場合、ウオーターハンマーを起こしてしまいます。過度な燃料がシリンダヘッドまで上がってしまうと、液体は圧縮できませんからピストンを割るか、コンロッドを変形させてしまいます。手でクランクしてみて回らない時は、プラグを外して勢いよくクランクするか、スターターで回して内部の燃料を排出させてください。 燃料を飲みすぎてオーバーチョークになってしまった場合は、このように機体を持ち上げてプロペラを回してマフラーから燃料を出します。
③点火しない
プラグの劣化か電圧不足が考えられます。プラグを外してヒートできてもフィラメントがゆがんでいたり劣化しているとエンジンの不調につながります。切れている場合も含めて古いプラグは必ず交換しましょう。 また、ヒート電源の電圧が低下している場合もエンジンが掛からないことがあります。プラグを外してヒートできても、圧縮が掛かるとほとんど消えてしまうためです。親電源を充電するか、交換してください。 エンジンが始動しない場合、プラグの劣化を疑う必要があります。フィラメントが切れていたりしたら交換するようにしましょう。

離陸後すぐにエンストしてしまう

①ニードルの絞りすぎ
タンクとキャブの位置が地上ではほぼ水平位置だったものの、離陸後の上昇姿勢によって液面差により混合気が薄くなった状態になっていることがあります。できるだけ止まらないようにするには、スロットルを少し戻すことで対処するしかありません。そのままスロットルを全開にしていた場合は、ほぼ100%エンストします。何とか止まらないようにして、すぐに着陸させてニードルを濃いめに調整し直してください。 エンジンが始動してもすぐにエンストするようだったらば、ニードルの絞りすぎが疑われます。
②回転が上がらない
前項と同じ場合もありますが、プロペラのダイヤ(直径)とピッチがそのエンジンに合っていないことが原因となる場合があります。ダイヤ、ピッチともに小さめなものを取り付けている場合はあまり問題ありませんが、双方が大きすぎる場合はニードルのピークが分かりにくくなります。エンジンにも負担が掛かるし、4ストロークの場合はノッキングを起こしやすくなります。必ずエンジンの取扱説明書にある範囲でプロペラを選択するようにしましょう。 回転が上がらない場合、大きなプロペラを付けすぎている場合があります。エンジンごとに指定されたサイズのプロペラを取り付けましょう。
③息つぎを起こす
振動によりタンク内部で泡が発生していることが考えられます。配管途中でピンホールができていて、キャブまでの間に空気が混入していることが疑われます。振動が原因の場合はタンクをスポンジ等でくるんだりして防振対策をする。シリコンチューブにピンホールができている場合はすぐに交換するようにしましょう。
O.S.純正のバブレスウエイトはタンク内の泡を吸い込みにくく泡の無い燃料をエンジンに送ることができます

トラブル3:オーバーヒートを起こす

①ニードルの絞りすぎ
最適なニードルを決めたつもりでも、飛ばしているとタンク内燃料が少なくなり、混合気が比例して薄くなることを見逃していないでしょうか。これは満タン時は一番に濃い状態まで絞って最高回転が出ているとすると、徐々に燃料を消費するにつれ薄くなっていきます。それと同時に、燃料が少なくなればなるほどオーバーヒートの兆候が現れ、ガス欠寸前ではオーバーヒートを起こしてしまいます。対策としてはピークを確認したら、必ず数コマ戻すことを忘れないようにすることです。そして、飛行前に機体を立ててみてスローからハイが付いてくることを確認しましょう。ここで息つくようであれば、さらにそこから数コマ戻すようにしましょう。
②ニードル・スプレーバー部の詰まり
燃料中のゴミや微細クズが集り、一番流路の狭い部分に詰まってしまっているのかもしれません。そのため、ニードルを絞ったのと同じ状態になりオーバーヒートを起こしています。このような場合はニードルを分解し、エアーガンなどで詰まっているものを吹き飛ばします。 そして、再度ゴミが流入しないように燃料フィルターを点検し、問題があれば交換します。また、燃料補給時は必ず燃料フィルターの手前から給油します。意外と燃料フィルターが途中に入ったまま入れている人を多く見かけますので注意が必要です。
③充分に空気が当たらず熱が逃げ切らない
スケール機などでエンジンがカウルに覆われている場合、空気が当たらず熱がこもってしまいオーバーヒートを起こしやすいことがあります。
④直接プロペラ後流が当たらない
飛行中の風量では充分に冷却できないエンジンもあります。このような場合もできるだけ甘めのニードルセッティングで対処します。内燃機関の混合気による冷却は直接風よりも重要です。パワーが足りなくなったときは、ニトロの含有量をワンランク高い燃料に替えることでパワーを確保できます。

トラブル4:燃料配管のトラブル

①シリコンチューブのつぶれ
狭い部分を配管しますので、数本が互いに干渉して折れ曲がっている場合は、なるべく短い距離でシンプルに配管をすることで折れ曲がりを防ぎます。
②配管途中にピンホールがある
目に見えないくらいのピンホールでも、そこから確実にエアーを吸います。燃料ポンプ等で圧を掛けると吹き出しますのですぐ分かります。すぐに交換しましょう。
③タンク内の問題
これまでのところで問題がない場合は、原因のほとんどはタンクになります。内部燃料パイプがキンク(折れ曲がり)している、吸い口の重りが脱落している、内部チューブが劣化して穴が開いている、などが考えられますが、これらは一度タンクを降ろして調べてみなければ分かりません。 燃料配管の問題でエンジンがかからない場合もあります。あらゆる姿勢で燃料が供給できるようにしておきましょう。

トラブル5:異音がしてエンストする

①ピストンの焼き付き
内部の潤滑不足で起こることがあります。慣らし運転が不充分なのに回しすぎた、ニードルを絞りすぎた、燃料が古すぎた、などの理由で起きます。焼き付き以前の軽い引っ付きぐらいでしたらピストンとリングを交換すれば直りますが、シリンダ内部にキズが付いているような場合はスリーブも交換しなければなりません。特に大事なものはピストンリングで、指で回して見て膠着していないかどうか調べてください(リング付きエンジンの場合)
②ピストンの割れやコンロッドの折れ
上記の場合に加え、コンロッドやクランクケースまで破損している場合もあります。ここまで破損するとクランクシャフト前後のベアリング内部にカケラを噛んでしまっていますので交換することになります。 ピストンやコンロッドの破損などでエンジンから異音がする場合、メーカーに修理を依頼し、交換するようにしましょう。

トラブル6:エンジン取り付けによるもの

①マウント部や防火壁取り付けの緩み
特に防火壁取り付けボルトは緩みやすいところです。組み上げた当初はしっかり止めたつもりでも、振動等で木部が痩せてくるとビスは一気に緩みます。なかなか手が入りませんが、定期的に点検したいところです。 防火壁取り付けボルトはエンジンの振動もあり緩みやすい箇所です。定期的に締め付けておくようにしましょう。
②プロペラ締め付けボルトの緩み
ほとんどの場合、ナットが緩むと一瞬にしてエンジンは止まります。これはフライホイール効果がなくなるからで、スピンナーが付いている場合はそのまま落下して来ます。飛んでいるときならまだしも、エンジン始動時に起こすと非常に危険ですから、定期的に増し締めをおこなうようにしましょう。

トラブル7:4ストローク特有の異音

①アイドリングでカチャカチャ音が大きい
タペットのクリアランスが大きくなるとこのような音がするようになります。指定されたクリアランスになるよう、タペット調整をおこなってください。また、稀にロッカーアームに問題がある場合もありますので調整時に一緒に調べてみましょう。O.S純正タペット調整キット← 4サイクルエンジンの場合、タペットのクリアランスが大きくなるとカチャカチャとした異音がすることがあります。
②ノッキング
4ストロークにおいてノッキングは大敵です。多くの場合はニードルの絞りすぎにより起きます。飛行中のフルスロットル時にキンキン、カリカリという音が聞こえた場合は、すぐに着陸させてニードルを濃いめに設定してください。そのまま飛ばし続けるとエンジン破損につながります。 4ストロークエンジン搭載機が飛行している際に、キンキンやカリカリといった金属音がするような場合、ニードルの絞り過ぎによってノッキングを起こしていることがあります。

トラブル8:飛行後のトラブル

①サビが発生する原因 
飛行後は燃料を完全に抜くようにしましょう。燃料の主成分、アルコールは水との親水性が非常に高く、習慣的に燃料を抜かないでいると金属部がサビてしまうことになります。フライト後もエンジン内部に燃料が残らないように燃焼させておき、メンテナンスオイルを注入してから保管するようにしましょう。
O.S,SPEEDメンテナンスオイル← グローエンジンにとって錆は天敵。定期的に防錆剤を注入しておくことが大切です。
②機体の保管方法で起こる問題
車庫や物置に保管した場合は機体、エンジン、メカともに劣化することが多くなります。気温差が大きかったり、湿度が高い場合は特にその傾向が強くなりますので、できるだけ人間が生活するスペースに近いところへ置くようにしたいものです。
③エンジンを下にして立てて保管した
エンジン内部の残存オイルは燃焼後には硝酸成分が多く、それ自体が酸化していますのでサビの原因になります。エンジンを下にして保管した場合は一番錆びやすいクランクシャフトベアリングをオイルに漬けた状態になります。これはなるべく避けるようにしてください。また、タンク内部の吸い口オモリが内部配管に絡まってしまってチューブをキンクさせる原因になりますが、こうなってしまうとなかなか気が付きませんのでご注意ください。 しっかりと調整の取れたエンジンは、性能をフルに出すことができ快適な飛行を愉しめます。

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