O.S.WEB MAGAZINE Vol.05

RCヘリ用グローエンジンの正しい始動と調整方法

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    RCヘリ用グローエンジンの正しい始動と調整方法

エンジンヘリを楽しむには、最初にエンジンを始動させる必要があります。この小さな内燃機関を始動させる方法は実は難しくなく、手順させ覚えてしまえば初心者の方でも問題なくできるものです。しかし、始動させる手順は簡単でも手順通りに進めば必ずエンジンが始動するかどうかどうかというとそうではないところが模型用エンジンの面白いところ。その日のコンディションやエンジンの状況によって、ニードルや各種の調整が必要になってくるからです。この点は、バッテリーをつなげばすぐにモーター回転をスタートできる電動機との大きな違いと言っていいでしょう。  そこで今回はエンジン始動の手順を確認し、ニードルの調整やエンジンがかからない場合の対処方法をご紹介していきたいと思います。なお、今回はRCヘリ用のグローエンジンを対象にしています。RCヘリ用ガソリンエンジンについては始動方法などが異なるのでご注意ください。
    RCヘリ用グローエンジンの始動
    今回はRCヘリ用グローエンジンの始動と調整方法についてご紹介していきたいと思います。

 

【エンジンスターター】エンジンを始動させるために必要なスターター。グリップの部分にバッテリーが入っており、電動で回転させることでエンジンが始動します。

     

    【プラグヒーター】グローエンジンのプラグを赤熱させるための道具です。プラグを赤熱させ熱を持つことで、シリンダー内部の混合気に着火してエンジンが始動します。

 

【グロー燃料と燃料ポンプ】グローエンジン用の燃料であるグロー燃料と燃料をタンクに注入するための燃料ポンプです。今回使用したグロー燃料はO.S.の「ナイトロックス」。燃料ポンプは手動のものと電動のものがあります。

 

ここからはエンジンの始動方法を見ていきましょう。まず、タンクにグロー燃料をたっぷり注入します。

 

次にプロポの電源を入れ、機体も受信機用バッテリーをつなぎ電源を入れます。

 

加圧式のエンジンの場合はスロットルを全開に、そうでない場合はスロットルをアイドルから少しだけ上の状態にします。

 

スターターでエンジンを何回か回し、タンク内に圧を溜めます。

 

スロットルをアイドル状態に戻します。

 

プラグヒーターを取り付けてプラグヒートします。

 


再びスターターを回してエンジンを始動します。特に問題がなければこれでエンジンがスターターします。

 

エンジンがスタートしたら5~10秒ほど様子を見て、止まらなそうだったらプラグヒーターを取り外します。

 

これでエンジンが始動し、機体は飛べるようになりました。次はエンジンがかからない場合の対処とニードルの調整を見ていくことにしたいと思います。

エンジンがかからない時の原因 

原因①:プラグヒートされていない

グローエンジンに取り付けられているグロープラグは、混合気に触れる部分にニクロム線や白金製のコイルが露出しており、プラグヒーターなどで通電することでコイルを赤熱させ、その熱で混合気に着火する役割を担っています。このプラグがしっかりとヒートしないとエンジンはいつまでもかかりません。プラグヒーターが何らかの原因で充分にヒートできないようならば、プラグヒーターを交換してやることでプラグが赤熱し、エンジンがかかるようになることが多いです。

 

プラグヒートが原因でエンジンがかからないケースはよくあります。プラグがしっかりと赤熱しているか確認しましょう。

 

原因②:プラグの交換が必要な場合

これは原因1と同じようなことになりますが、逆にプラグ自体が断線しており、エンジンがかからない場合もあります。通電時にコイルが断線していることで、適切にプラグヒートができずエンジンが始動しない場合は、プラグを交換するしかありません。断線しているかどうかは目視で確認できるので、エンジンが掛からない場合はプラグを疑ってみるのもいいでしょう。

 

プラグは消耗品のため、使っているとどうしてもコイルが断線して赤熱しなくなってしまいます。こういった場合は交換が必要です。

 

原因③:燃料がエンジンにいっていない

 グロー燃料をタンクに入れたあと、エンジンスターターで何度かエンジンを回し、燃料をエンジンに呼び込んでからプラグヒートをしてエンジンをスタートします。しかし、何らかの原因でエンジンに燃料が届いていないとエンジンはかかりません。原因として、燃料パイプをクリップ等で塞いだままだったり、燃料パイプのフィルターがゴミなどで詰まっていて充分に燃料が届いていない、といった原因が考えられます。まずは燃料パイプの配管をもう一度確認してみてください。

 

燃料がエンジンまで届いておらず始動しないことを良く見かけます。配管周りをチェックしてみてください。

 

原因④:ニードルが全閉になっている

エンジンのニードルが全閉になっていると混合気が作れず、エンジンは始動しません。O.S.のエンジンは出荷時にニードルが全閉になっていますので、エンジン始動前にニードルを適切な量だけ開くのを忘れないようにしてください。

 

エンジンのニードルが閉まっているとエンジンはかかりません。始動時に開けるようにしましょう。

 

原因⑤:エンジンが回らない

 久々に使うエンジンなどは保管状態によっては中で燃料が固着するなどして、エンジンそのものが回らないことがあります。こうなってしまったらエンジンは決してかかりませんので、エンジンを分解して各部に油を挿しながらメンテナンスするか、O.S.にお送りいただければ有償で修理をおこないます。なお、エンジンを分解する際は自己責任でお願いします。

 

エンジン内部には定期的に防錆剤を塗布するなど、メンテナンスが必要となります。O.S.でも有償となりますが修理を受け付けておりますのでお問い合わせください。

 

原因⑥:スターターのパワー不足

 エンジンスターターのパワーが足りず、エンジンを回しきれない場合があります。プロポや受信機のバッテリーの充電は普段から気にするが、スターターは意外と忘れがちです。万が一、どうにもならない場合、可能性として手でスターターを正転方向に回して、エンジンの圧を感じる上死点で回すことでスターターにパワーがなくても始動できることがあります。しかし、普段からエンジンスターターの整備もしておくことが大切です。

 

飛行場に着いてからスターターのバッテリーがないことに気づく人も多いです。前夜にしっかりと充電しておきましょう。

エンジンのニードル調整について
エンジンはその日の気温や燃料の種類などによってニードルをこまめに調整する必要があります。適切な混合気を作ることで、エンジンはその性能をフルに出してくれます。この調整は電動機にはないもので、ニードル調整こそエンジンヘリを飛ばす上で非常に楽しい作業であり、また難しい面であるとも言えます。  ニードルを調整するには、まずエンジンをスタートして機体を浮上させてみるのが一番です。メーカーによっても異なりますが、説明書通りの設定だとやや濃い目の設定になることがあります。これは決して説明書が間違っているわけではなく、エンジンはさまざまな状況で利用されるので、設定の幅を広くもてるようにするためにしてあるのです。  では、ここからは状況別のニードル調整について見ていくこととしましょう。しっかりとニードル調整をしてアタリを出し、エンジンの性能をフルに引き出してあげましょう。

 

ニードル調整をおこなうにはまずは一度機体を浮かせてみて、どのような症状が出ているか確認することから始めます。

 

適切なニードル調整ができたエンジンはその性能をフルに出すことができ、快適な飛行が楽しめます。

 

混合気が濃い状態の症状と対処法

 混合気が濃い状態の場合、エンジンはパワーが出ず、本来の性能を出すことができなくなってしまいます。  症状としては普段よりも排気が多くなり、ガブガブとした濁り音がエンジンから聞こえてきます。いくらスロットルを上げようにもパワーが出ず、快適な飛行とは程遠い状態になってしまいます。また、気温の高い夏は燃料の粘度が下がり、混合気が濃くなちがちなので注意が必要です。  濃い場合の対策はメインニードルを絞っていくことが挙げられます。2コマくらいずつ絞っていき、都度ホバリングをしてみて、先ほど挙げたような症状が出ないかどうか確認していきます。キッチリとアタリが出ると、機体は見違えるほど飛ばしやすくなり、エンジンの調子も上がってくることでしょう。

 

排気が通常よりもかなり多く出ている機体。混合気が濃くなってしまっていることが考えられます。

 

夏は燃料の粘度が下がり、サラサラになることで混合気が濃くなりがちです。

 

混合気が濃い場合は、メインニードルを絞っていき、適切な濃さになるように設定します。2コマくらいずつ絞って、その都度ホバリングをして確認してみましょう。

混合気が薄い状態の症状と対処法

 混合気が薄い状態でエンジンを回すのは非常に危険です。内部が焼き付いて壊れてしまうことがあり、適切な調整を施してやる必要があります。  混合気が薄い場合の症状としては、排気が普段よりも少なく、過回転気味になり、機体に振動が出ることが特徴です。また、エンジンからカンカンとカン高い嫌な音が聞こえてくるのも特徴で、明らかにエンジンが異常な状態になっているのが分かります。  また、気温の低い冬場は薄くなりがちで、夏と冬を比較すると8コマくらい差が出てくるものです。  対策としてはメインニードルを開いていき、適切な混合気の状態にしてやる必要があります。エンジンを壊してしまっては元も子もないので、薄い状態では決して飛ばさないようにしてください。

 

排気が通常よりかなり少ない状態の機体。機体からはカンカンと嫌な感じの金属音が聞こえ、場合によっては機体が振動する症状が出てきます。明らかに混合気が薄い状態だと分かります。

 

気温が下がる冬場は普段より燃料が回らなくなり、薄くなる傾向にあります。比較すると夏と冬では8コマくらいニードル調整の幅があり、季節によって適切なニードル調整が必要なことが分かります。

 

もし、混合気が薄いようならば、メインニードルを開いていき、適切な濃さになるように調整していきましょう。
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