特徴や取り扱いからニードル調整まで! グローエンジンとガソリンエンジンの違いを徹底紹介!
O.S.ではRC飛行機やRCヘリの模型用エンジンとしてグロー燃料で動くグローエンジンと、ガソリンで動くガソリンエンジンの2種類を発売しています。
この2種類、名前は聞いたことがあるし、何となくその違いについても理解できるものの、どういった特徴があり、どのように使い分けるのが良いのか、うまく説明できない人も多いことでしょう。また、その取り扱い方について、しっかりと把握できていますでしょうか?
そこで今回はそんな両エンジンの特徴と違いを紹介しつつ、最もフライヤーを悩ませるというニードル調整についても紹介していきたいと思います。ぜひこれを機会に両方のエンジンを楽しんで頂き、模型用エンジンを極めてもらいたいと思います。
①グローエンジンの特徴
弊社からも多くのラインナップをリリースさせて頂いておりますグローエンジンは、模型用エンジンの主力として長い歴史を誇るものです。小型の排気量から大型機を飛ばすようなビッグパワーエンジンまであり、さらに2ストロークと4ストローク、さらにはシングルシリンダーとマルチシリンダーといった種類がありますので、ご自身のフライトスタイルに応じたエンジンのチョイスをおこなうことができます。グローエンジンの仕組みはシンプルです。アルコールを主体とした比較的安全なグロー燃料を用い、圧縮された混合気にヒーターコイルをもつグロープラグによって着火する方式のエンジンで、始動時のみプラグヒートを用いてプラグのヒーターコイルを赤熱させ、一旦始動してしまえば、プラグヒートを外してもシリンダー内の燃焼爆発による熱でヒーターの赤熱状態を保ち、それによって次の点火を誘発して運転を持続するエンジンで、模型用エンジンのなかでも、最もポピュラーなエンジンと言えます。 グローエンジンの大きさはシリンダー内の排気量で区別され、その単位は立方インチで表現されます。一般的な呼び方は10(イチマル・0.10立方インチ)、15(イチゴー・0.15立方インチ)、20(ニーマル・0.20立方インチ)、というように呼ばれ、60(ロクマル・0.60立方インチ)でおおよそ10ccの排気量となります。 グローエンジンは始動性の良さと小型ながらパワーがある点、そして機体に合わせてエンジンを選べる豊富なラインナップで人気のエンジンとなっています。
②ガソリンエンジンの特徴
一方、ガソリンエンジンに関してもO.S.では飛行機用とヘリ用それぞれで製品をリリースしており、飛行機用に関しては2ストロークと4ストロークを選ぶことができます。グローエンジンほど豊富なラインナップというわけではありませんが、機体のサイズによってエンジンを選択することが可能です。後述の「グローエンジンとガソリンエンジンの違い」にもありますが、ガソリンエンジンはグローエンジンとは異なる点火方式を採用しています。ガソリンエンジンは、スパークプラグによって適切なタイミングで火花を飛ばして点火をおこないます。そのためアイドリングが安定しておりエンストの恐れも少なく、特に不意のエンストが即墜落につながる可能性の高いスケール機などにおいて、ガソリンエンジンは大きなメリットのあるエンジンといえます。 ガソリンエンジンの点火方式には、1次コイルへの電源供給をフライホイールに取り付けたマグネットとCDIなどの点火装置側のマグネットとの間で起電した電力によっておこなうマグネット点火方式と、1次コイルへの電源供給をバッテリーから供給するバッテリー点火方式の二通りの方式があります。 マグネット点火方式の場合には、点火用バッテリーが必要ないという利点があり、バッテリー点火方式の場合には、大きく重いフライホイールを必要とせず、模型用小型ガソリンエンジンの場合には重量的に有利となる利点があります。 もうひとつ、大きく異なる部分がキャブレターの仕組みで、グローエンジンはスロットルバルブとニードルバルブ、スローニードルなどで構成されており、毎回ニードル調整やスロー調整などを必要としますが、ガソリンエンジンの場合には、どんな姿勢でも適切な混合気の供給が可能なダイヤフラム式を採用しており、多くの場合には購入したままの状態で微調整だけで使用できます。そういった意味で、ガソリンエンジンはイメージよりも遥かに取り扱いやすいエンジンと言えます。
③グローエンジンとガソリンエンジンの違い
それではグローエンジンとガソリンエンジンを扱う上でどのような違いや注意点があるか、紹介していきたいと思います。 まず、大きな違いは燃費とランニングコストの違いとなります。ガソリンエンジンはグロー燃料よりもリーズナブルかつどこでも比較的簡単に入手することができます。グロー燃料も決して入手が難しいわけではありませんが、専門的なRCショップなどに行く必要があります。また、ガソリンエンジンは非常に燃費が良く、かなりの時間飛ばしたと思っても、地上に降ろして見てみるとまだ燃料が並々と残っていることも多いはずです。一方でラインナップとなるとグローエンジンのほうが豊富に取り揃えられており、自分の機体に合ったエンジンを選びやすいと言えます。ガソリンエンジンは排気量の大きなエンジンが多いのですが、燃焼温度の高いガソリンエンジンはグローエンジンと比べると冷却用の装備が大きく、さらに点火装置などもあるので、重量がかさばりやすい傾向にあります。同じパワーを得ようとするならば、グローエンジンの方が小型のエンジンで済むことになり機体全体の軽量化を図ることができます。そのような背景もあり、ガソリンエンジンを搭載する機体は比較的大きなサイズの機体が多い傾向にあります。 また、両者は点火方式も異なります。グローエンジンはグロープラグがエンジン内部の熱で熱せられることで、次の爆発が起こるのに対し、ガソリンエンジンはスパークプラグを採用しており、適切なタイミングで火花が散ることで圧縮された混合気に点火をおこなうようになっています。この方法を採用しているため、ガソリンエンジンはアイドリング状態でも比較的エンジンが止まりにくい傾向にあります。 ガソリンエンジンを搭載する際の注意点としては、グローエンジン以上に振動対策をしっかりとおこなう必要があることです。具体的には、ガソリンエンジンを搭載しているマウントや防火壁をしっかりと補強し、ガッチリと直接マウントさせて、エンジンから出る振動を機体全体で吸収できるようにしておくこと。また、飛行前は各部のボルトやビスの緩みをしっかりとチェックして、再度締め上げておく。飛行前、飛行後の締め上げは必ずおこなうようしましょう。
さらに、スパークプラグ周辺からはノイズが出やすいため、なるべくスパークプラグ周辺に受信機を置かないような搭載方法を考えてください。同様にセンサーやメカ類のケーブルも振動で擦れて破断しないように、しっかりと機内に固定するようにしましょう。機体の内部のメカ類は必ず周囲に振動吸収用のスポンを挟むなどして、振動に対して万全の対策をおこなって頂く必要があります。 最後にガソリンエンジン搭載機に使用する燃料タンクや燃料チューブについても見ていきましょう。見た目はほとんど変わらないものの、グローエンジン用の燃料タンクや燃料チューブは決して使用してはいけません。耐油性がグロー燃料とガソリンでは異なりますので、必ずガソリンエンジン用のタンクやチューブを使用してください。O.S.純正ガソリン用燃料チューブのご利用をお勧めします。
チューブについては年数が経過するとガソリンによって固くなりがちですので、定期的に交換することをオススメします。また、タンク内に不純物が混ざらないように、燃料を入れた携行缶から燃料を注入する際は、携行缶側の先端にフィルターの付いた吸込口を用意しましょう。タンクからエンジンへのチューブにフィルターを挟んでしまうと、不純物がそこで引っかかってしまった場合に燃料の流れが悪くなってしまう。そこで不純物を止めるのではなく、最初からタンク内に不純物を入れないような対策が必要となります。O.S.では純正の燃料缶用スーパーフィルターのご使用を推奨しています。ちなみに、燃料タンクはグローエンジンより燃費が断然に良いので、搭載するタンクの容量はグローエンジンの約2/3程度の容量のもので充分となります。エンジンそのものが重いので、このような部分で軽量化を図ると良いでしょう。
④グローエンジンのニードル調整
エンジンは、その日の気象条件や使用する燃料の違いによって、最高回転数やアイドリング、低速からの吹き上がりなどが微妙に変化するため、繊細なエンジン調整が必要えす。ここではグローエンジンの基本的なニードル調整を見ていきたいと思います。グローエンジンの調整は、エンジン始動後のニードル調整に加え、アイドリング回転と低速からの吹き上がりを安定させるためのスロー調整が必要です。まず、エンジンを始動し、回転が安定したところで徐々にスロットルスティックを上げ、フルスロットルの状態で、最高回転のニードル調整をおこないます。 この時のポイントは、ニードルをゆっくりと閉めていき、最高回転になったところから、わずかに開ける点です。どの程度戻すかは、エンジンによってもさまざまですが、一般的には数コマ戻す程度です。 これは、地上から上空へ上がると、混合気が若干薄くなるためで、地上ではわずかに濃い状態に調整しておく必要があるからです。また、燃料ポンプのないエンジンの場合、機体を持ち上げて機首を上向きとし、もっとも燃料が薄くなる状態でニードル調整をおこなうのがポイントです。
最高回転が安定したならば、次にスロットルを最スローにして10秒程度待ってから、スロットルスティックを素早くハイにします。このときのエンジンの吹き上がり方を観察して調整します。多めの排気煙を出し、もたつきながら吹き上がる場合は混合気が濃い状態ですので、スロー調整ネジを回して薄くします。また、音に力がなく息つきをしながら吹き上がるか、エンストする場合は、逆に混合気は薄いのでスロー調整ネジを回して濃くする必要があります。これを繰り返すことで最適な状態を作っていきます。
⑤ガソリンエンジンのニードル調整
ここからはガソリンエンジンのニードル調整を見ていきたいと思います。今回モデルエンジンとするのはO.S.の「GT33」です。このエンジンにはメインニードルとスローニードルの2つがついており、この2つのニードルを調整してエンジンを最高の状態に持っていきます。「GT33」の場合、正立の状態で右がメインニードル、左がスローニードルとなります。
まず最初にスローニードルを調整していきます。エンジンを始動した状態で最スローより3コマほどスロットルを上げた状態でエンジンを回転させると、回転が不安定でエンジンサウンドもブツブッツっとした感じならば濃い状態です。この場合はスローニードルを30度ずつ絞っていきます。すると先ほどのブツブッツとした音が消えていきます。また、エンジンの回転も一定の回転となります。回転計を使って回転数を計測するのも有効です。
スローニードルの調整が終わったらメインニードルの調整となります。ニードル調整はピークが出るまで何度も繰り返して、最高のセッティングを目指しましょう。
続いてメインニードルの調整に移っていきます。まず、スロットル全開でエンジンを回してみます。先ほどと同様に回転が不安定でエンジンサウンドもブツブッツとしていないでしょうか。ここからメインニードルのピークを出していきます。 最初にメインニードルを絞っていきます。先ほどのようなブツブッツとした音が消えていくはずです。エンジンの回転も一定のものとなり、エンジンサウンドも落ち着いたマイルドなブオォーというものに変わってるはずです。次にメインニードルを30~40度開けていきます。先ほどから回転数が落ちているのがサウンドで分かるはずです。回転計を使って計測すると300回転ほど落ちているはずです。ここでメインニードルを設定します。これは上空に機体を上げた際に地上よりもプロペラが回転してしまい、高い設定の場合、エンジンが焼き付いてしまうことがあるためです。以上でガソリンエンジンのニードル設定は終わりとなります。