O.S.WEB MAGAZINE Vol.23 2020 June-July.

INDEX

ヘリ用エンジンの知っておきたい基礎知識 

RCヘリフライヤー必見! ヘリ用エンジンの知っておきたい基礎知識 

①ヘリ用エンジンとグロー燃料の関係性

燃料を変えたらニードル調整を!
グローエンジンの燃料として使用されているグロー燃料。その主成分はメタノール、ニトロメタン(ニトロ)、オイル、添加剤で構成されています。引火性が高く、さらに揮発性が高いメタノールを主成分として、ニトロを加えることで混合気を濃いめにすることができ、結果的に多くの燃料をエンジンに注入することができるためパワーが出るようにすることができます。 また、オイルは燃料内に入れておくことで、エンジン内の各部が円滑に動くようにするために入っています。このような成分でできているグロー燃料はその種類によって飛行機用やヘリ用、RCカー用といったジャンルで分かれており、さらにニトロとオイルの比率を変えたものや、オイルの種類や粘度を変更したものなどがラインナップされており、自分のフライトスタイルに応じたグロー燃料を使うことがオススメです。 さて、グロー燃料の種類を変えた場合、エンジンのセッティングはどうすればいいのでしょうか? 答えから申しますと、燃料を変更したら必ずニードル調整をおこなわなくてはいけません。これはオイルの成分が変わるためで、実際に燃料を変えてエンジンを始動してみると、それまでアタリの出ていたエンジンでもまったく調子が狂っていることがあります。
グロー燃料の選び方
グロー燃料の選び方はいくつかありますが、RCヘリの初心者ならばスタンダードなものを使うのが良いでしょう。まだ燃料の違いによる性能の差はあまり実感できないでしょうし、何よりスタンダードな燃料は扱いやすくできています。そしてリーズナブルな価格に設定しているため、気兼ねなく練習することができます。 一方で、飛ばしていてもう少しパワーが欲しいと思うようになることもあるでしょう。そういった際はニトロが多く入ったパワータイプの燃料を使うことになります。ニトロが多いと混合気が濃い目で飛ばすことができ、さらにパワーを出すことができます。 また、30クラスのような小型エンジンの場合、高ニトロの燃料を使うとパワーを得ることができ、混合気を濃い状態で使用する事により、パワーを出しつつ、エンジンの温度を下げ、オーバーヒート対策となるため、意図的にニトロが多めの燃料を使う人もいらっしゃいます。
30クラスに高ニトロ燃料を使用するとパワーは出るがコストやメンテナンス等のリスクが生じる

では、高ニトロの燃料は万能なのかというとデメリットもあります。まずは価格がスタンダードなタイプの燃料に比べてやや高くなります。ホバリング練習などで燃料を多く使用する初心者の方ですと若干コストがかさんでしまうことになります。また、ニトロが多いため硝酸ガスが出やすく、エンジン内部が錆やすくなる傾向にありますので、飛行後に防錆剤を注入し、定期的にメンテナンスを施す必要があります。これはどんな燃料とエンジンにも言えることですが、より注意してメンテナンスした方が良いというものです。 グロー燃料を変えてみて飛ばし比べをするのも面白く、その都度ニードル設定をすることであらゆる場面や燃料に対応できるようになることを考えますと、ひとつの燃料に固執せず、柔軟にさまざまな燃料を試してみるのも良いでしょう。 O.S.ではRCヘリだけでなく、RC飛行機用、そしてRCカー用の純正グローエンジン燃料として「NITRO-X(ナイトロックス)」シリーズを提供させて頂いています。スタンダードなものからハイパワーのものまで、さまざまなフライトスタイルに対応した豊富なラインナップを用意していますので、ぜひご利用ください。
→NITRO-Xサイトへ
グローエンジンを動かすために必要となるグロー燃料。その成分はメタノールにニトロ、オイルなどが含まれたものとなっています。 燃料は飛行機やヘリといったジャンル別だけでなく、オイルやニトロの量を変えたもの、粘度を変えたものなどフライトスタイルに応じたさまざまな種類が用意されています。 燃料を変更するとオイルの成分が変更になるので、必ずニードルセッティングをし直すことが大切です。 こちらはO.S.のグロー燃料「ナイトロックス」のスタンダード。ニトロが15%、オイルが18%含まれていると表記されているのが分かると思います。 こちらは同じく「ナイトロックス」のパワー。ニトロが20%、オイルが18%含まれており、ニトロがスタンダードと比べて多く含まれているのが分かります。

②エンジンが始動しない場合に疑うべきポイント 

飛行場でエンジン始動をしてもどうしてもかからない場合、エンジンのどこをチェックすれば良いか、以下にまとめてみました。ひとつずつ原因を探っていき、潰していくことで始動しない理由がわかってくるはずです。いざという時の参考にして頂ければ幸いです。
パターン①:プラグが壊れている 
グローエンジンを始動する際に必ず必要なのがグロープラグの燃焼です。このプラグが断線していてヒートできず、エンジンが始動しないというパターンはたまに見かけます。プラグは消耗品ですので、定期的に確認して、断線しているようならば新品に交換するようにしてください。断線しているかは目視でも確認できますが細かくて見づらいので、プラグヒートをすることで赤く燃えるかを確認する方法がオススメです。常に工具箱の中に予備のプラグをストックしておくようにしましょう。 プラグヒートをしてもコイルが熱せられていない状態。断線などが疑われるので新品に交換しましょう。 正しくプラグヒートするとこのようにプラグ内のコイルが真っ赤に熱せられます。この熱によりエンジンが始動します。
パターン②:プラグヒートが適切にされていない
パターン1はプラグそのものに問題があったものでしたが、逆にプラグヒートに問題があり、適切にヒートされずエンジンが始動しないパターンも考えられます。グロープラグは混合気に触れる部分に白金製のコイルが露出していて、これをヒートさせることでプラグが赤熱し、その熱が混合気に着火することでグローエンジンは始動します。しかし、そもそもプラグヒート自体が壊れている場合、プラグが正常でもコイルは赤熱せず、結果的にエンジンも始動しないというパターンがあります。こうなったらプラグヒートを交換してもう一度トライしてみてください。 きちんとプラグヒートされているか、通常だと分かりづらいです。予備のプラグなどで事前にきちんとヒートするか確認するのも方法のひとつです。 ポケットブースタータイプのもの。先端にメーターがついており、しっかりヒートしているか確認できる製品もあります。
パターン③:混合気が濃い
混合気が濃い場合もエンジンがかからなかったり、かかってもすぐに止まってしまうことが多いです。これは生の燃料がプラグの火を消してしまうため、最初はエンジンが始動してもすぐに止まってしまうからです。対処法としてはニードルを絞って濃い状態を改善してやる必要があります。夏場は特に濃くなりやすいので、このパターンでエンジンが始動しなかったり、始動してもすぐに止まってしまうという状況を見ることが多いです。 混合気が濃すぎる場合はエンジンは始動してもすぐに止まってしまいます。ニードルを絞って状況を改善する必要があります。
パターン④:ニードルが開いていない 
O.S.のエンジンは出荷時にニードルが全閉になっています。始動する際は必ずニードルが開いているか確認するようにしてください。
パターン⑤:燃料がエンジンに行っていない。
グローエンジンはグロー燃料が届いていないと決してエンジンが始動することはありません。エンジンが始動しない場合、まずはエンジンに燃料が届いているか確認することが大切です。よく燃料ストッパーを使っている方がいらっしゃいますが、ストッパーが閉まっていると当然燃料はエンジンに届かず、いくらスターターをかけてもエンジンが始動することはありません。また、燃料チューブのフィルターにゴミが詰まっていて、燃料が供給されないという可能性もありますので、フィルターは一定期間で新品に交換することが大切です。 燃料ストッパーで燃料チューブが止められており、燃料がエンジンにいかない状態。これではエンジンは始動しません。 燃料ストッパーを開放した状態。これで燃料タンクからエンジンへ燃料が流れていくようになりました。
パターン⑥:スターターのパワーが足りない
特に大きなサイズのエンジンを始動する際に見かけるのが、エンジンスターターのパワーが足りず、エンジンを回しきれなくてスタートさせることができないというものです。90クラスのエンジンを取り扱うならば、ダイレクトドライブでリポのパワーを持つエンジンスターターがオススメです。特にエンジンの燃料供給システムが加圧式の場合は、パワーのあるエンジンスターターの使用が必須です。 エンジンのスタート作業。エンジンスターターにパワーがないと、エンジンを始動できないことがあります。

排気量の大きなエンジンをスタートさせるには、ダイレクトドライブでパワーのあるエンジンスターターがオススメです。

パターン⑦:キャブレターが開いていない
エンジン機を飛ばす際、スロットルの動きに合わせてキャブレターのドラムが全開、ハーフ、アイドリング、全閉となります。エンジンスタート時はアイドリング状態にしておきますが、たまにスロットルカットを設定していてキャブレターが全閉状態でエンジンをスタート使用とする人を見かけます。キャブが閉まっていたらエンジンはいくら回しても始動しませんので、スタートする前にスロットルとサーボの動きを良くみてキャブがアイドリングになっているかを確認しましょう。 スロットルの状況。これはキャブレターが全閉になっている状態。 こちらはアイドリング状態。ややサーボが動いているのが分かると思う。
パターン⑧:逆止弁が働いていない 
55HZ-Rや105HZ-Rのように加圧式エンジンは燃料チューブに取り付けた逆止弁が壊れてしまったことで、燃料タンクに圧がかからず燃料が送り込まれないためエンジンがスタートしないというパターンです。これも消耗品なので、逆止弁を新品に交換した上で、圧抜き栓を抜いて空気が「プシュ」となるようならばきちんと働くようになっている証拠です。こういった消耗品に関しては、ある程度の時期が来たら交換するようにし、いつでも予備をストックするようにしておくといいでしょう。 燃料チューブに取り付けられた逆止弁。これが壊れていると燃料タンクに圧がかからず、燃料が送り込まれない。 燃料タンクに圧がかかっているのを判断するためには圧抜き栓を抜いてみること。「プシュ」と音がしたらしっかりと圧がかかっていることとなる。

エンジンのニードル調整について

ヘリコプターエンジンのニードル調整については O.S.WEBマガジンVol.05で説明していますのでそちらをご覧ください。
ヘリエンジンのニードル調整について

エンジンヘリの飛行後に必ずおこないたいこと

電動ヘリと異なり、エンジンヘリは飛行中、自身が出す排気をずっと被っていることになります。排気が付いたままだと機体が錆びたり、動きが悪くなったりする原因となります。まずは飛行後は残った燃料をすべて抜き去りましょう。そしてアルコールを噴いてきれいなウェスなどで排気を拭き取るようにしてください。また、定期的にエンジンに防錆剤を注入するなどメンテナンスを施すことも大切です。 飛行後は残った燃料をすべて抜き去りましょう。残っているとタンクがダメになってしまったり、燃料が内部で固着してしまいます。 また、機体についた排気は、アルコールを噴いたきれいなウェスを使ってしっかりと拭き取りましょう。 エンジンは定期的に防錆剤を注入してやることで内部の錆を防ぐことができます。 O.S.SPEEDメンテナンスオイルをお勧めします。
→O.S.メンテナンスオイル製品ページへ
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