季節が変わればニードルも変わる!
四季を通じたニードル調整の基本!
模型用グローエンジンにはサウンドや排気、パワー、トルク感、そして内燃機関としての構造や見た目などさまざまな魅力がありますが、マニアにとって大きな魅力といっていいのがエンジン調整ではないでしょうか?
その日の気温や湿度に合わせてエンジンのパフォーマンスをフルに発揮できるよう、適切なニードル調整を施していくことは、手間がかかる反面、その過程を通じて模型用エンジンの醍醐味を味わうことができるはずです。
グローエンジンのニードル調整ほど千差万別、各人によって違うものはありません。なぜならば、目に見える判断基準が少ないことがその要因となっており、思うようにエンジンが回ってくれない、飛行中にエンストしてしまうなど、思うようにエンジンが回ってくれない経験をされた方も多くいることでしょう。そこで今回は季節を通じた最適なニードル調整方法について紹介していきたいと思います。 ニードル調整に入る前に
①タンク配管は正しくおこなわれているか
②燃料フィルターは所定の位置に取り付けられているか
③ニードル内部にゴミが詰まっていないか
④配管が長すぎたり、途中で折れ曲がっていないか
⑤プラグフィラメントは劣化または不良になっていないか
このように、ニードルとは直接関係のないところの問題は、前もって解決しておくことが大切です。調整に入る前に、ぜひチェックしてみてください。
また、タンク内部で問題が発生していることもあります。タンク内部の配管のつぶれ、シリコンチューブの折れ曲がり(キンク)などもエンジン不調の原因となるほか、タンク内部のオモリが外れているときなどは、満タン時は調子よく廻っているが、燃料が少なくなってくると途端に調子が悪くなったりエンストしたりしている光景を良く見ます。
他にも、マフラープレッシャーを抜いたまま離陸させてエンスト、最悪はオーバーヒートさせてしまった経験も少なからず経験している方が多いのではないでしょうか。ご自分なりの方法でこれまでうまくいっていたのに、なんだか最近エンジンの調子が悪いという方はニードル調整の前に、これらのことをまず調べてみるようにしましょう。
プロペラを交換した際のニードル調整について
季節を通じた基本的なニードル調整
1年間を通してニードル調整が特に必要になってくる時期は、秋を過ぎて冬にさしかかり気温が低くなり始めた時と、冬から春になって気温が上昇してきた時です。燃料中に含まれるオイル分は気温の変化によってその粘度が変化し、一番狭くなっているニードル部を通過する流量が一定ではなくなるためです。
徐々に暖かくなってきた時は、エンジン始動時には気づかないものの、スロットル全開で飛行させても今ひとつスピードに乗ってこない場合があります。しかし、パイロン機ならいざ知らず、通常であればそんなに神経質にならず、寒い時に作ったセッティングで年間を通じて飛行させている方も多いでしょう。ただ、エンジンの性能をフルに引き出したい時には、やはり適切なニードル調整をおこなうべきです。
夏場は燃料がサラサラになることで流れが良くなり、燃料が多く流入されることで濃くなりがちです。冬場のセッティングから比較するとかなりニードルを絞っていくことになります。一般的に濃い状態ですと下記のような症状が出ますので、これがなくなれば正しいニードル設定になったと言えます。
■「濃い」場合の機体の状態■
・排気が多い・スロットルハーフでも浮かない
・スティックに機体が追従こない
・エンジン音がゴボゴボしてこもっている
・エンジン音が4サイクルエンジンのようになっている(2ストロークエンジンの場合)
逆に冬場では、夏場ならば始動してすぐにエンジンは気持ち良く吹き上がっていたものの、寒くなってきたらスロットルスティックを上げても回転が付いて来ず、そのままにしているとやがて「スコンスコン」頼りない音とともに止まってしまうような現象が現れます。この状態はニードルのセッティングが薄くなっているために起こるものです。ほかに薄い状態でのエンジンは下記のような症状が出ます。
■「薄い」場合の機体の状態■
・排気が少ない・機体に振動が出ている
・テールがハンチングを起こしている
・エンジン音がカリカリとして甲高い
・エンジンが過回転となっている
エンジンが冷え切っていることもありますが、こういった場合は2~3コマニードルを開けてみて、少し混合気が濃い状態にしてやれば、ほとんどの場合は快調に吹きあがるようになります。 また、飛行機のニードル調整時にピークまでニードルを絞っていってそこから数コマ戻すだけ、といったお手軽調整のみで飛行させている方は、意外に多く見かけます。しかし、機体は離陸直後、高度を確保するまではやや上を向いた姿勢で飛行することになります。その時のタンクの位置はエンジンよりも低い位置にありますので、地上でピークを出したときよりも「薄め」になりがちです。このときのエンジンの調子を注意して観察してください。2ストロークでは「回転が徐々に下がってくる」「エンジンが止まりそうになった」など、4ストロークでは「カリカリとノッキング音がしている」、2ストローク、4ストロークともに「マフラーからの排気煙がほとんど出ていない」というような場合はニードルが絞りすぎになっていることがほとんどです。「おかしいな?地上では良かったのになぁ」と思うでしょうが、エンジンの搭載角度や燃料配管の長さによって機体ごとに同じではありません。特に倒立搭載の場合はキャブレターの位置が正立マウントよりも低い位置になりますので、そのことも考慮に入れてニードルを決める必要があります。また、燃料の配管は長くなれば長くなるほど流路抵抗が増えてニードルの合う調整巾が狭くなりますので、必要最低限の長さに留めるような配管を心掛けたいものです。

飛行機用エンジンのニードル調整は動画も参考にしてください。
RCヘリ用エンジンのニードル調整
ここから先はどこまで絞ってよいのか判断しづらくなってきますが、まずは排気煙の量を見ていきましょう。燃料にもよりますが、ほとんど煙が出なくなってしまった場合は絞り過ぎです。また、やたらにツンツンとスロットルが敏感になっているときや、一定の高さでホバリングしているのに段々エンジン回転が上がってくる場合も同様に絞り過ぎです。
ヘリコプターは飛行機以上にエンストは致命傷になりますので、エンストを怖がってしまうあまり、絞り過ぎの状態で飛行させている人は多いものです。しかし、メインニードルのセッティングがよほど濃くない限り、濃すぎてエンストすることはまずありません。この場合はスロー側のニードルで調整をすることになりますが、ポイントはいつまでもエンストしないセッティングではなく、スロットルを立ち上げるときにモタつかないセッティングにすることです。
よく見かけるのはエンジン始動後、スタートポイントに着くまでにエンストしてしまうために、それを防ごうとして止まらないようにドンドン絞ってしまう人です。あくまでも飛行に最適なセッティングとは、いつまでも止まらない位置ではなく、20秒ほどアイドリングを続けると止まってしまうぐらいのポイントであるということを覚えておきましょう。ベテランになればなるほど、できる限りの「濃いめ」の調整で飛行させているということを知ることが大切です。でなければ3DやF3Cの演技中にエンジンは悲鳴を上げてしまうことになります。
ヘリコプターエンジンの調整に関して「O.S.ヘリワールド(PDF)」に詳しく解説していますので一度ご覧になってください。
「O.S.ヘリワールド」