O.S.WEB MAGAZINE Vol.21 2020 Apr.

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エンジン機を愉しむなら知っておきたい 適切なプロペラの選び方

日頃のメンテナンスに役立つアイテムのご紹介。

エンジン機を愉しむなら知っておきたい 適切なプロペラの選び方

2ストと4ストエンジンを搭載した 機体でプロペラを変えてその変化をテスト!

RC飛行機を飛ばす際に、どのようなプロペラを取り付けるか悩んだことのあるフライヤーも多いと思います。搭載しているエンジンやモーターによって推奨のプロペラは指定されているので悩むことはないのではないか、と思われがちですが、同じエンジンでも飛ばし方や飛行機のジャンルによってプロペラの選択は大きく変わってきます。プロペラを変えてみると同じエンジンで同じニードルのセッティングでもその回転数はまったく異なり、エンジンの調子や飛行の快適性、そしてサウンドまで何もかもが変わってきます。それだけプロペラの選択は重要であり、変更してさまざまな変化を楽しむ要素にもなります。
そこで今回は、2ストローク、4ストロークの2種類でピッチの異なるプロペラ2種類を使い、プロペラの回転数と飛行時のレスポンスの変化を見てみることにしました。なお、O.S.のエンジンについては当社Webサイトにプロペラサイズ表が掲載されており、これを参考にブレークイン時と飛ばし方(トレーナー、スポーツ、スタントなど)によっての推奨プロペラを確認することができます。こちらも合わせて活用頂ければと思います。
→プロペラ適合表へ 今回のテストは2種類のエンジンでおこなうことしました。2ストロークエンジンを搭載したのはFutaba「スカイリーフクラシック」、4ストロークエンジンを搭載したのは京商「フォッケウルフ」をチョイス。
1つのエンジンでニードル設定を変えず、2種類のプロペラの回転数を計測し、その違いを数値で見てみることにします。

正しいプロペラで快適飛行を目指そう!


さて、テストをおこなう前に、まずは自分の飛ばし方や搭載するエンジン、そして飛行機のスタイルに応じた正しいプロペラの選び方を紹介していきたいと思います。基本となるのは機体メーカーやエンジン、モーターメーカーが推奨しているプロペラを使用することです。特にエンジンやモーターのメーカーは使用するプロペラによる目安となる回転数や飛ばし方によって推奨するプロペラを指定しており、まずはこれに従って使用するようにしましょう。 エンジンの場合はブレークインする際と実際に飛ばす際で、プロペラを変えることがあり、推奨があるならばそのサイズに従ってエンジンのブレークインをおこないましょう。
次にプロペラを変えた方がいい場合というのはどういったシーンなのでしょうか。まずは、ワンサイズ大きなプロペラに変更した方がいい場合。例えば、推奨のプロペラを付けてみたものの引きがイマイチの場面。こういった際はプロペラを交換してみることで、きちんと適正なエンジンのパワーを引き出すことができます。具体的にはピッチやダイヤをひとつ上げてみることで、引きが劇的に改善するはずです。また、あまりにスピードが速く飛行してしまう場合もピッチやダイヤを上げて、大きなプロペラを付けてみることで適切な引きと速度で飛行が可能になります。 他ではアクロ機でトルクロールなどアクロバティックな飛行をする場合は、大径で小さなピッチのプロペラを好むフライヤーが多いですが、上昇力に不満を感じた場合に、もうひとつダイアの大きなプロペラを取り付ける場面を良く見ることがあります。 逆にひとつ小さなサイズのプロペラに変えた方がいい場合もあります。例えばスポーツ機なのに機速が思ったより出ない場合。これはエンジンがプロペラを回しきれていないことがあり、ひとつ小さなサイズのプロペラにすることで、しっかりとプロペラを回しきり、適正な機速を引き出すことができるようになることがあります。 こういった際に参考になるのがプロペラの回転数です。エンジンメーカーが発表している適正な回転数を参考に、自分の機体のプロペラがどの程度回転しているのかタコメーターで計測し、比較することでプロペラを回しきれているかいないか把握することができます。もしエンジンがプロペラを回しきれていないようならばワンサイズ小さなプロペラを、逆に過回転になってしまっているようならば、ワンサイズ大きなプロペラに交換して再度回転数を測定してみましょう。 RC飛行機は前述したように、機体のジャンルによって取り付けるプロペラが変わってきます。一般にスケール機は大きなサイズのプロペラ、スポーツ機はスケール機と比較すると小径でピッチが強めのもの、アクロ機はスケール機とスポーツ機の間くらいのもので、ややダイアが大きくピッチが浅めのものがよく使われます。

プロペラを交換した際のニードル調整について

プロペラとニードルの関係性についても触れていきたいと思います。プロペラを交換するとエンジンのニードルも再度調整し直す必要があります。プロペラを交換してサイズが大きくなったりピッチが強くなると、ニードルがより開くようになるので、プロペラを変えた際は必ずニードルを基準の位置に一度戻して、そこからセッティングをし直していくようにしましょう。逆にピッチが浅いプロペラに変更した場合、ニードルが変更前と同じ位置でもプロペラが過回転してしまうことがあるので、この場合でも必ずニードルは基準の位置に戻した上で絞りなおしていくようにします。 また、グローエンジンはメインニードルを合わせて、アイドリングが問題なければそれで大丈夫ですが、ガソリンエンジンで、特にサイズの大きなプロペラ(重いプロペラ)に変更した場合は、メインニードルだけでなくスローニードルにも影響してシビアになってきますので、必ず両方とも基準位置に戻してからセッティングするようにしましょう
快適な飛行と密接な関係があるプロペラ。まずはエンジンメーカーが推奨するプロペラを取り付けていくのが基本です。 プロペラはエンジンサイズだけでなく、取り付ける機体のジャンルや飛ばし方によっても選択が異なります。 タコメーターを使ってプロペラの回転数を計測することで、感覚や音ではなく数値でエンジンが適切な回転数を得ているか確認することができます。

CASE① 2ストロークMAX-46AX II✕ 10.5✕6 & 12✕6プロペラ

2ストロークエンジンでテスト
■エンジンデータ■ 行程体積:7.45cc ボア:22.0mm ストローク:19.6mm 出力:1.65ps/16,000r.p.m. 実用回転数:2,000~17,000r.p.m. 重量:375g 価格:18,700円 まずはテストケースの1つ目として2ストロークエンジンを搭載した機体に2種類のプロペラを取り付けてその違いを見てみることにします。 今回は、Futaba「スカイリーフクラシック」に、OSの2ストロークエンジン「MAX-46AXII」を搭載し、2種類のプロペラを順番に取り付けて回転数を計測し、さらに飛行してみることにします。用意したプロペラは12✕6と10.5✕6の2種類。もともと機体には12✕6が付いており、快適な飛行ができることは確認しているが、ワンサイズ小さい10.5✕6を取り付けたことでどのような変化が起こるか見てみましょう。
2ストロークエンジンのモデル機としたのは、フタバ「スカイリーフクラシック」。高翼の練習機という位置づけですが、簡単なスタントまでできてしまう高い飛行性能を誇ります。 テスト機のエンジンはOS「MAX-46AXII」。このエンジンに2種類のプロペラを付けて回転数と飛びをテストしてみることにします。 用意したプロペラはAPC10.5✕6と12✕6の2種類。もともと機体には12✕6を取り付けていました。 エンジンを始動し、ニードルを調整したらフルスロットルにしてタコメーターで回転数を計測します。

12✕6プロペラの場合

まずは、12✕6をテストしてみます。さすがに普段飛ばしこんでいるエンジン✕プロペラの組み合わせだけあり、エンジンも難なく始動します。ニードルを調整し、アタリを出したらタコメーターを使って回転数を計測してみます。しっかりと機体を押さえ、フルスロットルにし、タコメーターで計測すると数値はグングンと伸びていきます。結果、マックスで約10,500回転(rpm)を計測。エンジンサウンドも非常によく、機体を押さえている手にも機体の「引き」が充分に伝わってきます。回転数を計測したらそのまま飛行へ。普段から飛ばしている組み合わせだけに、飛行は快適そのもので、機速もこの機体らしくゆっくりとしたもの。しかし、失速するような素振りもなく、非常に軽快な飛びが楽しめる組み合わせとなりました。 12✕6の回転数。マックスで約10,500回転。レスポンスもよく、エンジンも調子良さそうです。 12✕6のプロペラで快適な飛行をする「スカイリーフクラシック」。この機体らしいゆったりとした安定フライトが楽しめました。

10.5✕6プロペラの場合  

次にプロペラをワンサイズ小さな10.5✕6に取り替えて計測してみます。大きなサイズのものから小さなプロペラに変えると外観の雰囲気も随分と変わります。早速エンジンを始動しフルスロットルにしてみると、数値は12✕6以上に伸びていき、最終的には約13,000回転まで伸びました。先ほどが10,500回転だったので、かなり回転数が伸びていることが分かります。プロペラが小さくなっただけに、よりプロペラを回せるようになったことで回転数が伸びているのですが、サウンドもやや高くなり、見た感じでは過回転になってしまっている感じです。 念のため、そのまま10.5✕6でもフライトをおこなってみましょう。エンジンサウンドはすごいが、引きは先ほどより感じず、やや飛行が不安になります。離陸するもあまり余裕はなく、全開で機速を出して飛んでいないと失速しそうな不安にかられます。先ほどは高翼機らしくゆったりとマイルドな飛びが楽しめたが、10.5✕6ではどこかバタバタとした飛行になってしまいました。 このように単純にプロペラを変更しただけでも、同じ機体、同じエンジンとは思えないような違いが出ました。機体や飛ばし方によって適切なプロペラを選ぶことの大切さが分かると思います。 続いて10.5✕6に換装して計測してみます。約13,000回転とワンサイズ小さくなった分、回転数は大きく上がりました。 10.5✕6で飛行させてみると、非常にエンジンがまわっているが引きが足りないのと、先ほどより機速が速く、ややバタバタした飛行になってしまいました。エンジンのオーバーヒートも懸念されます。

CASE② 4ストローク「FSα-56 II」✕12.5✕6 & 13✕6プロペラ

4ストロークエンジンでテスト
■エンジンデータ■ 行程体積:9.32cc ボア:24.0mm ストローク:20.6mm 出力:1.0ps/10,000r.p.m. 実用回転数:2,400~13,000r.p.m. 重量:419g(エンジン本体) 価格:37,200円

次にテストケースの2つ目として、4ストロークエンジンを積んだ機体でプロペラを変えて飛ばしてみることにします。4ストロークといえばやはりスケール機ということで、京商「フォッケウルフFw-190A-3」にO.S.の4ストロークエンジン「FSα-56II」を搭載し、この機体にAPCの12.5✕6と13✕6の2つのプロペラで、回転数を検証。実際に飛行させてレスポンスを比べてみることにします。 スケール機は一般的にやや大きめのプロペラを搭載して、ゆったりとしたスケールライクな飛行を目指すことが多く、今回は最初から取り付けていた12.5✕6から、ダイアを大きくした13✕6のプロペラに換装して、よりリアルな飛びを再現していきたいと思います。 4ストロークエンジンのテスト機としたのは、京商「フォッケウルフFw-190A-3」。オレオ式の引込脚を装備したリアルなスケール機です。 4ストロークエンジンのテスト機としたのは、京商「フォッケウルフFw-190A-3」。オレオ式の引込脚を装備したリアルなスケール機です。 テスト機の搭載エンジンはO.S.の4ストロークエンジン「FSα-56II」。このエンジンに2種類のプロペラを付けてみます。 2種類のプロペラを順番に取り付けて回転数やレスポンスを比較していきます。

12.5✕6プロペラの場合

まずは、機体に最初から取り付けてあった12.5✕6を試してみましょう。エンジンはスターターで回すと1発で始動。先ほどの2ストロークとは違った4ストローク独特の深みのあるサウンドがたまりません。こちらも普段から飛行しているのでニードル調整も難なく済み、フルスロットルにしてタコメーターで回転数の計測をおこなってみます。 エンジンは非常に好調でスローも安定しています。スロットルをフルハイにして回転数を計測してみると、最大で約9,500回転まで上昇。しっかりとした引きを機体から感じることができ、これだけでこの機体が快適に飛行しそうなのが分かるくらいです。 実際に飛ばしてみると、充分な伸びがあり、エンジンも決して無理をすることなく、しっかりとプロペラを回しきっているのがレスポンスとサウンドからも感じとることができます。上昇力もなかなかで機体とエンジン、プロペラがしっかりとマッチしているのがプロポを通して伝わってくるフライトでした。 12.5✕6の回転数。マックスで約9,500回転。もともと取り付けていたプロペラだけあって、しっかりとした引きと良好な4ストロークサウンドを聴かせてくれました。 12.5✕6のプロペラでスケール感溢れる飛行を見せてくれた京商の「フォッケウルフFw-190A-3」。青空に機体が映えます。

13✕6プロペラの場合

続いて、プロペラをひとつ大きなサイズの13✕6に換装して飛ばしてみることにします。12.5から13と大きなダイアの変更ではないので、回転数も大きく変わらないかと思いましたが、実際にエンジンを始動しスロットルを全開にしてみると、小さな変更でも回転数は落ち、約9,000回転となりました。しかし、エンジンサウンドは大きく変わらず、エンジンはプロペラをしっかりと回しきっているフィーリングが感じられます。回転数は低くなったものの、他で大きな違いは確認できないので、次に実際に飛ばしてみてそのレスポンスを感じとることにしたいと思います。 さて、テストフライトです。スロットルを上げて離陸を始める「フォッケウルフ」。引きは悪くなく、しっかりとした感触で滑走するとすぐに空へ舞い上がっていきました。上空で先ほどと同じような飛行をさせてみると、ダイアが大きくなった分、機速をやや落としながら飛ばすことができ、心なしかじっくりと「魅せるフライト」ができるような気がします。エンジンとの相性も問題ないようで、これはこれで充分に選択の余地アリなプロペラといえそうです。 次に13✕6に換装して計測してみます。ワンサイズ、ダイアが大きくなったことで回転数はやや落ち、約9,000回転となりました。 スケール機だけにやや大きなサイズのプロペラでゆっくりと飛ばすのもなかなか味があります。好みによってはこちらのサイズでもいいかもしれません。

スケール機は通常のプロペラよりやや大きめのものを使用するフライヤーも多く、しっかりとエンジンが回しきれるならば、機速を落としたスケールライクな飛行をさせるのに大きめのプロペラを選ぶのも良いのではないでしょうか。また、スケール機のプロペラを選ぶ際は、スケール感を落とさないために色を考慮したり、実機同様の3枚、4枚プロペラを選ぶこともポイントです。 今回は、プロペラサイズとエンジンの回転数の変化による飛行フィーリングの違いについてみてきました。エンジンメーカーが推奨する適正なプロペラサイズの範囲内で、自分のフライトスタイルに応じたベストな選択を目指してみてください。
O.S.ENGINE プロペラ適合表
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