猛暑と不安定な天候の2014年夏、今年で13回目の開催となるGPツーリングカーの真夏の祭典『O.S.8時間耐久レースinO.S.フィールド』が8月2・3の2日間、奈良県O.S.フィールドにて開催されました

8月2日(予選)
九州の西側をかすめて朝鮮半島へ進路を進める台風12号の影響で近畿地方は週末の天気予報を覆す雨模様となった。 それでもO.S.Fieldにはこの日を楽しみにして来た参加チームが開門を前に行列を作っている。 今年のエントリーは15チーム、従来のように20チーム越えは無いものの使用タイヤの本数制限・Tカーの廃止など主催者側の設定した新ルールにより、タイヤマネジメント、クラッシュをしない為の走行スタイルなどよりイコールコンディションでのレース展開がユーザーに受け入れられ、徐々にではあるがエントリーチーム数を増やしてきている。2年前決勝のスタート時に雨が降った事があったが、その時は1時間程度で晴天になり、ドライコンディションにすぐ戻った。
朝から降り始めた雨が昼になってもやみそうにない、主催者側にしても初めての経験でしかもかなりの確率で決勝は雨天、参加チームとミーティングを行う事とした。中止・順延・強行開催の選択肢を用意しチーム代表と話し合い、チームの意見をまとめてもらう事にした。主催者側は中止もやもなしと考えたが、参加チームからの意見は強行開催が一番多く、順延がその次、中止は1チームもないというありがたい結果 覚悟を決めて「雨でもやります!!」と主催者側の決定を告げると各チームの動きが急にあわただしくなった。今回の様に、かなりの確率で8時間の大部分をウェットコンディションになることが予想されるレースは初めてである。(スプリントなら別だが)

それに加えてタイヤの制限があり、5セットの内、何セットウェット用タイヤを仕込むかが勝負の行方を大きく左右する事になる。
又、メカ類の防水対策にも余念がない、もちろん標準でOリングは入っている、がしかし配線引き込み部分のコーキング、サーボ稼働部分のグリスアップはもちろんで、それに加えて水しぶきがメカにかからないようにする為の即席カウリングでカバーし、エンジンが水を吸わないようにエアクリーナー部分もカバー エキスパートドライバーが多いと言っても長時間の雨天走行対策は手探り状態である。
それでも、その状況を楽しむかのように各チームのメンバーがニヤニヤしながら、あーでもない、こーでもないと工夫を凝らす。
主催者側も予選をくじかジャンケンと考えていたが、雨の中の実走という意味でも短い時間ではあるが予選を行う事とし、インターバルをたっぷりとった15分の予選を2回行った。 個人的に非常に興味をひかれたのが即席ウェットタイヤである。 本来ならば硬度?が28の様に柔らかいタイヤでインナーを入れずに組むのが一般的なウェット路面用タイヤとして広く知られているが、今回の様にドライ、ウェットどちらに転ぶかわからないレースで尚且つタイヤの本数を制限しているケースではドライ路面では使えないタイヤを組み込むリスクを避ける為にドライタイヤに加工するチームが多数を占める ドライタイヤの真ん中をゴムタイヤ接着時の固定に使うゴムバンドで止めるのだ、見た目のイメージは昔あった某メーカーのサンドイッチタイヤを想像するとイメージしやすいと思われる、とにかく理屈は分からないがこれがウェットコンディションでもそこそこ走れてゴムバンドをとればドライタイヤとして使用できるそうだ。
予選開始時、各チーム水をかぶって吹けなくなったエンジンや、ノーコンまではいかないが誤動作を起こすチーム、しかし各チーム諦めることなく工夫に工夫を重ね、予選終了時にはほとんどのチームが雨の中でも安定して走行するようになっていた。
慣れとは恐ろしいものである、、、、、、

8月3日(日)決勝

どんよりした厚い雲に覆われた空の下O.S.Field開門である。 本日は予選とは違い、各チーム全メンバー+冷やかし人員+見学ギャラリー+まかない担当を含めかなりの人数のお客様がO.S.Fieldに来られました。年に一度のお祭りイベントでもあり、もちろん勝敗も大事だが、「まず楽しむ」、「次に完走」、「おいしい食事」、「そして打ち上げのビール」と優勝にかける意気込みはそれほど高くないのかもしれない。どれだけ準備しても運が悪ければ結果はついてこないのがこのレース、そこは割り切って楽しむことを一番大事に考えているチームがほとんどである。とにかく、8時間を楽しむ為の快適なピット環境を整える事、おいしい食事・おやつなどレースと関係のない事が結構重要だったりする(と思う、個人的に) せっかくのレポートなので予選結果順位を、、、、 1. ザ、ちょっちゅねーず2014 2. ヘッポコ吉本 3. アンビシャスファクトリー 4. 片岡防水 5. PROJECT-D 6. DAIWA 7. 春日ライト 8. フジモデルR 9. チームJ 10. OJI-THUNDER 11. トランスレーシング 12. チームムロオ 13. TeamQuattro 14. NSレーシング 15. 東田鉄鋼(予選欠席) ザ、ちょっちゅねーず2014は武空調サービスの具志堅選手のチームである、メンバーの中にツーリング世界戦ドライバーの松田拓海選手もいる実力派チームである、 ちなみに具志堅選手の奥様のさおり選手はPROJECT-Dのドライバーとしてライバルチームでの参加、旦那さんに何か恨みでも持っているのだろう(と思う、これも個人的に) 決勝当日はどんより曇り空、スタート時まで雨が降りそうで降らないどんより曇り空、そのまま8耐恒例のローリングスタートが始まる。一周200メートルそこそこのコースを15台が順番を守り、全車が適正な車間距離をとり隊列が整うまでなかなかアクセルワークも難しくスッとはいかない、レースディレクターのOS汐巻もフラッグを振るタイミングを計っている・・・・としていると・・・・・ !!突然フラッグが振られた!!そう突然フラッグを振られる、毎度の事ですがOS汐巻のタイミングで振られます。ですからドライバーの視線は車とフラッグを行ったり来たりするわけで、これはこれでなかなか大変!スタート!明らかに隊列を組んで走っていた時とは違う甲高いエキゾーストノートが一斉にコースに鳴り響き、各車一気にトップスピートまでマシンを引っ張る!
ビギナー向けエンジンとはいえ、そこそこメーカーの思惑以上にシビアな燃調でセッティングされた12TGは脳内にアドレナリンを分泌するには十分な加速を生み出す今までの慣熟走行とは別次元のスピードで周回を重ねる。不思議な事に8耐はスタートしてからある程度時間が経ち順位が固まるとゴールまでそれほど激しく入れ替わる事は少ない。その為か8耐ファーストドライバーほとんどのチームはエースドライバーの担当、まれに監督と称するスタートとゴールのおいしい所だけドライブする方もいますが、、、とにかく、ここからが長い8時間耐久レースのスタート、メンバーもわかっているのかスタピットではやることが山ほどある、ドライバーチェンジ・給油スケジュール、満タンでも10分も走らないマシンで8時間走る訳だからそれこそ給油の回数は計算するのが嫌になるほど、おまけにドライバーは走り出すとマシンのエキゾーストノートとピットの雑踏の中、給油や交代を告げる声が届かない。そこでドライバーは腰から紐をたらし下のピットマンはその紐を引くことでピットインのタイミングを知らせる。それを見て私は「ズボンがずり落ちればドリフみたい」と思っていたがそうはならなかった。(スイマセン!)あるチームはリモコンでキャップのつばに車のシフトタイミングランプの様なものつけており、下でボタンを押すとピカッ!と光って知らせるというハイテク機器を導入していた。「おぉ~!!」と感心したが作動範囲が狭くドライバーの真下までいかないと電波が届きにくいと言っていた。それを聞いて私は「あまり紐と変わらないなぁ」と思ってしまった。(ゴメンナサイ!) そんな中ちょっちゅねーずがトップを激走する、予選を欠席した東田鉄鋼が上位に食い込むレースは始終この2チームが引っ張る状況、途中何度かトップは入れ替わったが3位以下には大きく周回差をつけている。上位2チームに続いてDAIWA・春日ライト・フジモデルRが続く・・・ さて各チームともばっちり対策したウェットコンディションにならない、なりそうでならない。 階下では「10時ごろからゴニョゴニョ・・・」 「いや、雨雲が既にゴニョゴニョ・・・」 「せっかくゴニョゴニョ・・・」 「雨さえ降ればゴニョゴニョ・・・」 と雨を心待ちにしているチームもちらほらしているが正午を回っても降らない、ドライタイヤの温存の為、各チームかなり摩耗したタイヤで走行しているのか簡単にリアがブレイクしてスライドしてしまい、タイトなコーナではアンダーが出る為、他のマシンとラインがクロスして接触する事もしばしば・・・・
とすると残り約2時間30分を残して雨が降り始めた、やっと雨が降り始めた。普段なら「えぇ~!」となる所だが、今日に限っては「よっしゃ!」と喜びの声とにかく路面が黒くなり絶好のウェットコンディション?となった。
そうゲリラ豪雨ではなく「しとしと」と降るいい感じの雨といったところか?いい感じの雨でも降ると対策済みとはいえどうしてもいくらかトラブルが発生するようで、まずメカ関連、受信機に水が入る、バッテリー接続部分に水が入るなどノーコンになるチームも出てきた。しかし車を持ち上げると水が滴り落ちるほどマシンは水浸しにも関わらず安定して走るチームがほとんどで雨対策の効果を十分発揮している。またエンジンに水を吸い込み吹けなくなったチームもあるが、ほとんどがインダクションサイレンサーに即席カウルや京商製のカバー、ちょっちゅねーずに至っては石油ポンプ「正式名称 醤油ちゅるちゅる」のノズルを利用したシュノーケルを装着し快走を続ける。ともあれ、さすが各チームともに雨を予定していただけに大きく後退するチームはなく、あと1~1.5時間早く降っていればわからなかったが、ドライコンディションでの周回差はウェット路面で落ちるラップタイムではひっくり返せるほど少なくはない。雨に逆転を掛けたチームの思いも空しく無情にも打ち上げ花火の音と共に8時間は経過したのでした。



決勝結果
優勝  ザ、ちょっちゅねーず2014
第2位 東田鉄鋼
第3位 フジモデルR
第4位 DAIWA
第5位 春日ライト
第6位 アンビシャスファクトリー
第7位 チームJ
第8位 ヘッポコ吉本
第9位 片岡防水
第10位 PROJECT-D
第11位 OJI-THUNDER
第12位 NSレーシング
第13位 チームムロオ
第14位 TeamQuattro
第15位 トランスレーシング


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